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西洋医学の限界

今回は、東京大学大学院医学部客員研究員であり、医師でもある
岡部哲郎先生の著書「西洋医学の限界 ~なぜ、あなたの病気は
治らないのか~」という本の内容を紹介します。

薬はよく効くが、漢方薬を飲んでもあまり効果がないと思っている方、
多いのではないでしょうか・・・・、実はそれ、誤解です。

現役の医師である先生が西洋医学に限界を感じ、正直なところを
執筆してくれた本ですので、岡部先生はどのように思っているのか
聞いてみましょう。




医者はあなたの病気を治せない

老化現象のスタートというのは、老眼が始まる時だとお考えください。

早い人だと40代を迎えるころから老眼の症状が出始め、近くに
あるものが見えにくくなります。
以後、心臓や胃腸など、だいたい10年周期で他の内臓の機能が
弱まっていき、肺、脳、そして最終的にすべての内臓の機能が
ダウンします。
このようにして、人は老衰に至るわけです。

ですから、長生きをしたいのであれば老眼になったことを
自覚し始める前から積極的にアンチエイジング対策を取ることが
必要であり、放っておいたら、あっという間に
老化は進んでしまいます。

老化防止のために、まず初めに意識していただきたいのは、
脳の老化を抑制するということです。
脳はすべての内臓をコントロールするという役割を担って
いますから、脳がおかしくなってしまうと、内臓も
おかしくなってしまうのです。

特に危険なのは、精神安定剤を飲んでいる人です。
精神安定剤というのは、脳の働きを抑えてしまう効果が
ありますから、寝たきりや痴ほう症になりやすくなって
しまいますので、頭の体操をするなどして脳を活性化させ
なければなりません。
また、それに加えて脳のエイジングをブロックしてくれる
漢方薬を飲むことが効果的です。

西洋医学の薬は、どこかが悪くなったときに飲むものですが、
漢方薬は健康時に飲むことによって機能の向上やサポートの
役割も果たしてくれます。
有り難いことに脳以外にも、心臓、胃腸、肺、筋肉、骨など、
体を構成するあらゆる臓器や組織の老化を抑えてくれる
漢方薬が存在しています。


老眼のほかには、代表的な老化現象として血管の老化があります。
50歳を過ぎたあたりから、血管の内部に血栓が出来やすくなりますので、
血管が細くなったり、狭くなったりすることで、血液が詰まり
やすくなってしまうというのが動脈硬化です。
動脈硬化というのは、心筋梗塞や脳梗塞に直結してしまうため、
放っておいてはいけません。

しかし、血管の老化に対しても効果的な漢方薬があります。
血管内に分泌されるタンパク質分解酵素を増やしてくれるもので、
50歳を過ぎてからこれを飲んでいれば、血管障害を伴う病気には
ならないと言われています。
アンチエイジング系の漢方薬は、個人個人の身体状況に合わせて、
多種類の生薬を組み合わせて調合されています。

漢方薬はアンチエイジングだけではなく、病状の改善にも
効果があります。
さすがに万能という訳にはいきませんが、西洋医学の薬では
対処しきれない病気を治すことができます。
漢方薬を飲み続ければ今まで不調だったものが、まるで
嘘だったかのように元気になることもあるのです。


一方で、西洋医学の薬の目的は痛みを和らげたり、体に害を与える
成分の数値を下げたり、症状が悪化するスピードを遅らせる
ことなので、良くて現状維持ということです。

西洋医学は対症療法の医療なので、根本から病気を治すことは
できません。
新薬が次から次に発売されていることを逆説的に考えれば、
それまで使われていた薬は品質的に劣っていたということであり、
常にベストな薬が作り出せていないとも言えます。

このような差が発生する要因は、医学そのものに対する両者の
考え方の違いにあるのですが、西洋医学の基本スタンスは、
目に見えるもの、数字で証明できるものが全てですから、
原因が判らない病気や、原因が判っても対処法が確立されていない
病気を治療することはできません。
良くならなくても、悪化するのを少しでも食い止められる
方法があれば取り入れるというのが西洋医学の薬です。

大した回復効果が期待できず、その上副作用のリスクも抱えて
いるのが薬の実態ですから、その薬をいくら飲み続けても
病気から回復することはありません。


これに対し、中国の伝統医学である中医学は、年齢や性別、
体形や体質などをトータルで診て、ベストな対処法を
探っていきます。
病気の症状にマッチした漢方薬を飲み続けることで、症状の
改善が図られますので、西洋医学では病名がつかない
病気であっても対処することができるのです。

「自分の病気は一生治らない病気だから
西洋医学の薬を飲み続けるしかないんだ・・・・」

「多少でも体が楽になるし、薬を飲むと安心する・・・・」


今日から、このような考えは改めてください。
病気を治せない薬を飲み続けることは、百害あって
一利なしです。あなたの時間、お金、体力がもったい
ないので、飲み続けて治る薬と治らない薬の選択を
間違えないようにしましょう。




長い待ち時間と短い診察時間

「病院って、すごく待たされるなぁ」と思いませんか?

日本の病院は、受付を済ませてから診察までの待ち時間が長く、
それに反比例するかたちで、診療時間が極端に短いのが
大きな特徴です。現在では、ネット予約の導入や厚生労働省に
よるかかりつけ医の制度が普及してきたことなど、待ち時間対策は
講じられてきていますが、診療時間の短さに対しては
昔から変わっておらず、3分診療がスタンダードになっている
病院が多というのが現状です。

・・・・たった3分で何が分かるというのでしょうか?

医療の生命線は問診ですから、本気で病気を治そうと思う医療で
あるならば、問診にこそ時間が割かれるはずです。
たくさん待って、やっと診察してもらったのは良いものの、結局
「病名が分からない」「原因が判らない」「検査も特に異常が
なさそうだ」で終わってしまったという経験がある人も
いるかもしれません。

中医学には、未病という考え方があります。
病名を特定できる病気の発症には至っていないものの、その1段階
手前で体の調子が悪くなっている状態を指す言葉です。

見た目に異常は無くても、体の調子が悪い本人がおかしいと感じて
いるのならば、どこかにその不調の原因があるはずです。
その原因を放っておくと、大きな病気につながるリスクもあるので、
病気の進行を食い止めるためにも、患者さんからしっかりと話を聞き、
適切と考えられる処置を施すのが中医学の基本スタンスです。

これに対して、西洋医学には未病という概念がありませんので、
原因が判らなければ病気ではありません。
検査結果に異常が見られないと、「病気ではないので安心して
ください」と言い切ったり、「とりあえず痛み止めを出して
おきますね」という医者もいますが、そのような医者には
注意が必要です。



ここまでの話を聞いていただいて、漢方薬にも興味を持った方が
いれば漢方外来を掲げている内科医か、漢方薬局を経営している
薬剤師の元を訪ねてみましょう。

西洋医学しか知らない医者は、医師国家試験のときに
漢方については全く勉強しませんが、薬剤師国家試験には
漢方に関する問題が必ず出題されるので、薬学生たちは
西洋医学の薬だけではなく、漢方薬についてもしっかり
勉強しなければならず、漢方に関する知識については、医者は
薬剤師に遠く及びません。





医者が治せない病気

その1 ガン

皆さんは、ガン治療と聞けばどのようなものをイメージしますか?
ガンの3大療法は、抗がん剤治療、放射線治療、外科的手術の
どれかを思い浮かべるのではないかと思いますが、他にも
免疫療法や遺伝子療法などさまざまな治療法が存在します。

そのなかで、近年注目を集めているのがホルモン療法です。
ホルモン療法とは、性別、症例別に応じたホルモン剤を投与
することによって、ガン細胞の増殖を抑えることを目的と
しており、男性の場合は前立腺がん、女性の場合は乳がんに
対して主に用いられる治療法です。
ホルモンと聞けば、なんとなく自然っぽくて、放射線の
ような化学的治療よりも、体に優しそうだと思うかも
しれませんが、実際は違います。

ホルモン療法は放射線治療よりも、はるかに副作用が多く、
男性の前立腺がんに最も多く使われるカソデックスという
ホルモン剤は、夜間頻尿、貧血、白血球減少、血小板減少、
肝機能障害、腎機能障害などの副作用があります。
夜間頻尿によって不眠症になってしまうことは大変悩ましい
ことで、十分な睡眠ができずに体が弱くなってしまいかねません。


女性の乳がんに対しては、タモキシフェンというホルモン剤が
使われることが多く、これを投与されると、のぼせやほてりを
感じる状態、いわゆるホットフラッシュを引き起こす
場合があります。
他にも、無月経、月経異常、血栓症、子宮体がん、
子宮内膜症の増加など、重篤な副作用のリスクがあります。


このように、病気を治療するためのホルモン剤が、求められても
いない悪い作用をしてしまうというのが実態なのにも関わらず、
ホルモン療法を勧める医者は多数存在しているようです。
その際には重大な副作用があることを、しっかりと説明されない
ケースもあるみたいなので、いざ治療を開始した後に、
放射線治療よりも重い副作用で悩まされてしまうことに
なってしまうのです。

ホルモン療法を行うと、ほぼ例外なく生活の質が低下して
しまうため、利点(効果)と欠点(逆効果)を考慮して、
慎重に選択するようにしなければいけません。



その2 高血圧

血圧に関する正しい知識を持っている方は少なく、現在では
上が140を超えると高血圧と診断されますが、そもそも血圧の
数値というのは一日を通じて上げ下げを繰り返しています。
血圧の高い低いに一喜一憂するものではないので、上が140を
超えたから降圧剤を飲まなければならないと考えるのは
間違っています。
このケースだと、薬による副作用の方がはるかに危険です。

また、血圧は下げればいいというものではなく、下がり過ぎて
いることで発症率が上昇する病気も存在します。
例えば、上が85以下になると心臓疾患のリスクが高まり、
下が75以下になってしまうと、脳萎縮が起こりやすくなるという
報告もあります。

そして、血圧を見る際には年齢も考慮する必要があります。
人間は年を取ると自然と血圧が上昇していくものですから、
高齢になってくると血圧が高くなってくるのは自然な事です。
70歳以上であれば、上が160,下が100以下であれば正常値と
考えて大丈夫です。
さらに、80歳を過ぎると高血圧の人と正常値の人を比べても、
脳卒中や心筋梗塞になる確率はほぼ一緒であるということが
分かっています。

血圧を下げても死亡率の低下に繋がらないのであれば、副作用の
ことを考えれば降圧剤はむしろマイナス要素にしかなりません。
実際に降圧剤が必要なのは、慢性的に高血圧状態にある方、
あるいは下の数値が110を常に上回っている方です。
血圧を測定する患者の状態(汗をかいているなど)には
目を向けず、数値だけを見てホイホイと降圧剤を
処方したがる医者は世の中にたくさんいます。


その3 脂質異常症

コレステロール値が高い状態が続くと、動脈硬化が促進され、
脳梗塞や心筋梗塞などが起こりやすくなるというのは、
聞いたことがあるかもしれません。
コレステロール値が著しく高い場合は、薬を飲んで数値を
下げるのが最適解とされてきました。

しかし2012年、ノルウェーの研究機関により、その常識は
覆されました。
男性は、コレステロール値が高すぎても低すぎても死亡率が
上がりますが、女性の場合は、コレステロール値が上がるに
つれて、死亡率は下がると発表されました。
この研究チームが導き出した結論は、女性は更年期を迎えると
コレステロール値が上昇するため、中高年女性の
コレステロール値が高いのは当然で、むしろ下げるべきでは
ないということです。

ところが、日本の脂質異常症のガイドラインでは、今もなお
男女一律に同様の対処をするのが良しとされています。
これに拍車をかけているのが、自らが持っている医学の知識を
最新のものにアップデートできていない医者の存在です。
患者さんに誤った情報を伝え、不要な薬を処方するというのが
最新の知識を知らない日本の医療界の悲しい現実です。



その4 うつ病

うつ病ほど誤診の多い病気はありません。
うつ病は心の病で、精神科や心療内科の専門領域であると
いうのが一般常識です。
血液検査、CTやMRI検査によって体に異常がない状態、
つまり何らかの病気でないことが確認できたうえで、
倦怠感、不安感、疲労感、情緒不安定、不眠といった不調を
訴えてくる人をうつ病と診断しています。

見た感じが病んでいるようには見えなくても、うつ病に
かかっている人はいます。
うつ病というのは精神面だけではなく、頭痛、めまい、肩こり、
便秘、下痢、食欲不振など体の異常がみられる病気なのですが、
精神科の教科書では、このような肉体の症状は、
仮のうつ病だとされています。

精神科や心療内科の医者は、肉体面の症状が出ている
患者さんが現れても、うつ病とは診断せず、多くの医者はうつ病の
本質を誤解したままで診察を続けております。
しかし、例え精神面の症状からうつ病と診断されても、
西洋医学には解決の道がありませんので、精神安定剤や抗うつ剤を
飲んでも一時的に症状が収まるだけです。
治ったと思って薬を止めてみたものの、その後に再発という
ループの繰り返しで、完治は非常に困難です。

薬の副作用も無視できません。
薬によっては副作用の少ないものもありますが、使用量が
多いとか、使用期間が長いとなれば話は変わってきます。
よく見られる副作用は、悪心(おしん)、吐き気、嘔吐など
ですが、酷い場合は、不安、焦燥、興奮、敵意といった感情を
覚えるようになり、パニックに陥ったり、
攻撃的な行動に出たりします。


中医学では、うつ病は心の病気ではなく、脳の神経系の細胞が
障害を受けることでもたらされる神経細胞のシステムダウンと
考えています。
分かりやすく言うと、脳が栄養不足になっているということです。

衰弱した脳に栄養を運んで元気にさせることで、神経伝達物質の
セロトニンやノルアドレナリンの生成が促され、
体が正常な状態へと戻っていきます。
そのために、中医学では栄養を送り込む役割を果たしてくれる
漢方薬を使うので、神経細胞には負担を掛けません。

これに対して、西洋医学の抗うつ剤は、神経細胞を無理やり
動かしてセロトニンやノルアドレナリンを増加させるように
働きますので、神経細胞にさらに負担を強いることに
なってしまうのです。

中医学の熟練の漢方医は、うつ病の症状や患者さんの体質に
合わせて効果が出やすい漢方薬の組み合わせを導き出すことが
できます。
漢方ならば、少なくとも西洋医学よりは、うつ病を完治させる
可能性が高いでしょう。

そして、全ての人に知っていただきたいのは、西洋医学で
処方される睡眠導入剤などの精神安定剤は認知症の呼び水に
なるということです。
精神安定剤としてスタンダードなベンゾジアゼピン系薬剤は、
鎮静作用、催眠作用、筋弛緩作用により、物忘れが激しく
なったり、動作が緩慢になったり、筋力が低下したりする
ことから、日常生活に影響を及ぼす可能性があります。


うつ病に限らず、医師の指示によって薬をたくさん服用して
いるのは高齢者の方に多いと思いますが、異なる医療機関に
通い、内科や整形外科などを掛け持ちすると、
それぞれで薬を処方されます。
薬の飲み過ぎは良くないと理解していても、医者に飲めと
言われているから、用法や容量をしっかり守って飲んでいると
思いますが、その考え方はもうやめましょう。

高齢者は、腎臓や肝臓の機能が低下していて、体内に薬が蓄積され
やすいので、薬の飲み過ぎにより薬剤起因性老年症候群という
症状を引き起こす可能性があります。
そうなってしまうと、めまい、うつ病、便秘、物忘れ、不眠症、
むくみなどに悩まされることがあります。

漢方薬にも副作用はありますが、飲み続けて認知症を引き起こす
ようなことはありませんので、同時に多種多様の薬を飲まれている
高齢者の方、なかでも睡眠導入剤を日常的に服用している方は、
漢方内科を受診して漢方薬に切り替えることをお勧めします。






病気を治すのに病名は必要ない

現代では、「医療 = 西洋医学」というのが常識とされて
きましたので、医療関係者以外の人にも全く同じ感覚が
植えつけられてしまっています。
症状の原因を特定し、病名をつけることができない限り、
病気であると診断されません。

病名が無ければ病気ではないと考えるのは患者さんも同じ
ですから、病名が判明しないと不安になります。
「私の症状は、病名が不明の難病で死の危険もあるのでは?」と
ネガティブに考えてしまう人もいるかもしれません。

しかし、病名探しは無意味以外の何物でもありませんので、
今日で終わりにしてください。大切なのは、病名を特定する
ことではなく、体の不調を治すことです。
不要かもしれない検査に時間やお金をかけても
仕方ないことなので、仮に病名が特定できたとしても、
対症療法しか講じられない西洋医学では、
その病気が治るとは限りません。

病名探しの旅は止めて、あなたが抱えている違和感や
症状についてしっかりと時間を掛けて問診してくれる
お医者さんを探してください。




ここまで西洋医学の限界をテーマにして、西洋医学が抱える弱点や
問題点、中医学でできることなどを書いてきましたが、
中医学と言えば漢方?というくらいしか知らなかった人でも、
中医学の利点や西洋医学との違いが伝わったでしょうか。
誤解しないでいただきたいのは、西洋医学が中医学よりも
劣っていると言いたいのではありません。

最後に、著者はこのように主張しています。

病気が完治する方法があるのならどんなことでも
取り入れるべきである。

この世に存在する医学の知識や技術を総動員して、
ベストな医療の実現を目指すのが我々医者に課せられた
使命であると確信している。

今までは漢方薬に対して、怪しい、効かないといった誤解が
あったかもしれないが、個々の病気の症状に合わせた
オーダーメイドで処方される本物の漢方を
一度体感すれば分かるでしょう。

著者が自信を持ってこのように言うのは、西洋医学と中医学の両方を
学んできたからこそです。


終わり










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