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ぼくが聖書を好きな理由

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キリスト教の礼拝でするお話の原稿はこちらにまとめています。そんなに「新しい」とは自負していませんが、「正統派」に疲れた方々に届けたい聖書のまた一味違った魅力を書いています。
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#クリスマス

浮ついた明るさとは裏腹な新年〜虐殺、そして貧困の2024年を迎えるにあたり〜(2)

浮ついた明るさとは裏腹な新年〜虐殺、そして貧困の2024年を迎えるにあたり〜(2)

マタイによる福音書にある王による嬰児の虐殺の物語はまるで出エジプト記という書物にあるモーセ誕生の物語のようです。モーセが生まれた時、誰が鞭を受けていたでしょうか。エジプト王は奴隷の人口が増え、力が増すのを恐れました。そして生まれた男児を殺害すると命令します。その時、シフラとプアという助産師は命令には従わず、市民不服従運動、CDMしたのです。CDMへの参加は自分自身が迫害されることを意味します。CD

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クリスマスに読みたい聖書の話⑩〜出エジプト記1章〜彼女たちは丈夫ですから

クリスマスに読みたい聖書の話⑩〜出エジプト記1章〜彼女たちは丈夫ですから

ちっとも明るいクリスマス、メリークリスマスには同調できないですね。
 (2023年12月15日(金)キャロリングフォーピースでの「メッセージ」です。ほぼ変更なしで掲載しています。原稿になくて話したのは途中急に思い出して自己紹介をしたところだけです。自分が何者かを全く言わないで話しても伝わらないのではないかと思ったのと、みんなが私を知っていると自負していると思われてはならないとブレーキがかかったから

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クリスマスに読みたい聖書の話⑨〜イザヤ書9章1−6節(3)最終

クリスマスに読みたい聖書の話⑨〜イザヤ書9章1−6節(3)最終

イザヤ書9章1−6節についての分かち合いの最終稿です。ここまでの記事はこちらから。

イザヤが、見たものについてのお話です。

ずっと向こうにあるものとは、

「ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた」(5)

です。
 様々に解釈が可能です。ここに書かれているこどもは

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クリスマスに読みたい聖書の話⑧〜イザヤ書9章1−6節(2)

クリスマスに読みたい聖書の話⑧〜イザヤ書9章1−6節(2)

前回に引き続き、イザヤ書9章1−6節からの分かち合いです。

「深い喜び」「大きな楽しみ」(2)、預言者イザヤが語る言葉とは真逆のリアルに直面しているのは2700年ほど前のユダ地域の支配者アハズ王だけではないでしょう。聖書は歴史的な書物です、というのはその通りと思います。だからこそ聖書は今の私たちのあらゆる営為に関係しているという点が落とされてしまうことが多いとも思います。
歴史とは何かについては

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クリスマスに読みたい聖書の話⑦〜イザヤ書9章1−6節(1)

クリスマスに読みたい聖書の話⑦〜イザヤ書9章1−6節(1)

アドベントの第二週が始まります。第二週目はイザヤ書9章1−6節から。ところがこの箇所は読みようによってはとんでもなく好戦的に響く可能性があります。

特に6節の「ダビデの王座とその王国に権威は増し…」から、ユダ地方(ヨルダン川南西部地域)の勝利宣言を読み取り、それを2700年近く引きずってダビデの王座こそが秩序と安定であると信じそれ以外を徹底的に攻撃することがまかり通るからです。読み違えも良いとこ

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クリスマスに読みたい聖書の話⑥〜イザヤ書7章10−17節(4)最終

クリスマスに読みたい聖書の話⑥〜イザヤ書7章10−17節(4)最終

イザヤ書7章10節〜17節からのお話の続きです。

https://note.com/figtreegarten/n/n5dde5187066c

前回は「見よ、おとめがみごもって」の「おとめ」について書きました。イザヤがアハズ王に指した「その女」が、誰だったのかは分かりません。その女性が、

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クリスマスに読みたい聖書の話⑤〜イザヤ書7章10ー17節(3)

クリスマスに読みたい聖書の話⑤〜イザヤ書7章10ー17節(3)

イザヤ書7章10−17節からのお話の続きです。

沈黙がもったいない、1秒を惜しむ有り様を是とすると、誰かが自分を助けてくれるかもしれないという想像力はわきません。時間をかけて良くなっていくという希望はありません。このあり方は、自分が結果を見なければ気が済まないのです。それは世界が自分を中心に回っているという感覚と同じです。自分の命をこの人が抱えて生きてくれるという思いになれれば、沈黙に価値がある

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クリスマスに読みたい聖書の話④〜イザヤ書7章10−17節(2)〜

クリスマスに読みたい聖書の話④〜イザヤ書7章10−17節(2)〜

イザヤ書7章10−17節から考えたいテーマは「恐れと沈黙」です。
 王となった一国の支配者が恐れのあまり手っ取り早く自分よりも強いと思えるものたちに取り入ろうとする話です。よくよく考えてみると、

私たちが危険を回避したい、なんとかして目の前の難局を乗り越えたいとあたふたとするときどうするでしょうか?一番簡単な方法で、即効性のあることに手を伸ばして早くこの局面から脱出したいと願う私の有り様がそのま

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クリスマスに読みたい聖書の話②〜イザヤ書7章(2)

クリスマスに読みたい聖書の話②〜イザヤ書7章(2)

ユダの王は、近隣諸国と同盟を結んだペカがエルサレムへ迫ってくるとの情報を得て狼狽した時の話がこの箇所です。王の動揺は「森の木々が風に揺れ動くよう」(7:2)と描写されています。それもそのはず、おそらくユダの王の目にはこの同盟軍というのはアッシリアをあしらうこともできるようにすら思えたでしょう。そこで、考えてしまうのです。同盟軍によって攻撃されるぐらいなら、

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クリスマスに向けて読みたい聖書の話①〜人の弱みにつけ込む王の話:イザヤ書7章(1)

クリスマスに向けて読みたい聖書の話①〜人の弱みにつけ込む王の話:イザヤ書7章(1)

アドベント第一週目。聖書日課にそって礼拝式順を組み立てているので聖書箇所も指定箇所。10月からイザヤ書を読み始め、66章ある大規模な書巻のあちらこちらへと振られ、アドベントの最初の日曜日がこの箇所です。おそらくマタイによる福音書1章のイエス誕生に関する記事でイザヤ書のこの箇所が引用されているためかな〜?

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