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理想と現実 ~話し合い万能論の終焉~

憲法9条の理念は理想の上に成り立ち得るもので、その理想が現実を規定するのであれば、ウクライナに例えると、いつの時点でどのような外交をすべきであったのか、明確に言えないと可笑しいわけです。

少なくとも、現実に戦争を止めるべき外交というのを、ウクライナがどの時点でどのような人とどのような外交をすればよかったのか…

果たして憲法9条の理念を持って、その理想を掲げるならば、何故その外交が唯一の解決策と言い切れる政治家や言論人などがそれを告げることができないのでしょうか?

わたしは今回のロシアがウクライナに侵攻した大きな引き金は2つの要因があり、その一つはバイデン氏の発言によるものと思っています。もう一つは、軍事的脅威の認識ギャップです。

話し合い解決万能論とタイミング

まずは前者のバイデンの発言についてです。ウクライナに対して直接米軍を派遣することをしないというのは、ロシアにとっては前のめりになる理由の一つになったと思います。

さて、それに対して、日本でも良く左派の人たちが口にする話し合いによって解決できるとする、まるで話し合いさえできれば全てのことは良きに計らうことができるとする話し合い万能論のようなものがあります。相手が対等な立場で相互に優劣がなければ、ある程度うまくいくのかも知れませんが、現実には相互に優劣があり、何らかの大きなギャップ(例えば軍事力の差など)があれば、その優位性を担保に相手をねじ伏せようとするわけで、仮に自分が劣勢の立場であれば、何とか話し合いを維持するためだけでも何らかの大きな犠牲を強いられることは不可避かと思われます。
つまりは必然的に対等な立場という前提のない中での話し合いの解決という極めて難しい中で、それを制することができる論者たる代表者がいるかという問題もあります。
まあ、左派の団体には内ゲバがつきもののように、話し合いで全て解決できるのであれば、そもそも内ゲバ騒動のようなものは存在しないはず…
例えば、日本でも旧民主党が立憲と国民に分断するようなことは、お得意の「話し合いで解決できる」論が機能すれば、なかった出来事だったのではないでしょうか?

話し合い万能論と憲法9条万能論

それはさておき、話し合い万能論を掲げる人たちには是非明示していただかないといけない問題があります。
ウクライナに例えて、その話し合いという外交努力というのをいつ、どこで、どのようにすれば回避できたのかということを…
今となっては後出しジャンケン的な問いですが、答えられない訳はない話し合い万能論をもつ政治家、言論人、専門家は、同様に、例えば、中国の台湾侵攻が現実味を帯びている現状で、いつ、どこで、どのようにすれば回避できるのか明確に言い当てていただきたいですね…

もしかしたら中国の台湾侵攻より尖閣の方が先なのかも知れない…

既に韓国に占拠されている竹島を、いつ、どこで、どのように外交努力すれば回避できたのか、また、いつ、どこで、どのようにすれば返還してくれるのか、憲法9条と絡めて論述していただきたいものです… 憲法9条を声高に信条のように捉える人たちには、その義務、いや、その論を主張する以上その責任があるのではないでしょうか?同様に北方4島についても…

このように憲法9条の理想は理想として、現実との乖離は既成事実として存在する以上、理想と現実の2面で考えることは必然かと思います。

もし、理想と現実は齟齬もなく一致するものだという強い考えがあるのであれば、今すぐ、その外交手腕を使って、ロシアに駆け込みウクライナ戦争を憲法9条の理念を用いて解決できるであろうし、少なくとも北方4島は返還できるのではないでしょうか? すぐにやってくださいませんか?

同様に、竹島もすぐにその外交で解決してくれませんか? すぐに…

できるのであれば、すぐにでも取りかかれるはずですし、できることもやらないのでは怠慢以外の何ものでもないので、はやく議員バッチを外して、努力できる人に交代していただきたい…

軍事的脅威の認識ギャップ

今回のウクライナ戦争においては、軍事的ギャップという見方より、その脅威の認識ギャップの方が強いのではないでしょうか?

NATOの拡大に関して、ロシアはかなり脅威に思っていたという点で、彼らにとってはウクライナが緩衝地帯ないしマージナルラインであり、そこがNATOに参画するのは死活問題と思っていたのかも…

その点は、アメリカも他のNATO諸国も認識が甘かったのだろう…

ただ、皮肉なもので、ロシアがウクライナに対し起こした戦争によって、フィンランド、スウェーデンは、ある意味北側の緩衝地帯だったはずが、集団的自衛権にすがりつき、一気にNATOに色を染めたことになる。

つまりはロシアが感じたNATO拡大への脅威のギャップ、ウクライナが攻め込まれたことに対するロシアの侵略行為が発生したウクライナ・ロシア間の軍事力のギャップ、これらの脅威は、またウクライナへの各国の支援にも現れているわけで、脅威のギャップは十分に戦争にエスカレーションしてしまうことが今回の事象で確認できたのではないだろうか…

脅威に鈍感な日本

日本は、中国やロシアの軍艦が周囲を取り囲むように回っても、未だ鈍感な様子。どうやら岸田総理がNATOの会合に参加したことに呼応するように中国とロシアが連携し始めた様子…

クワッドにしてもアジア版NATOにしても、日本では集団的自衛権を行使できるだけの法的整備ができていない…

そのためには国連並の自衛権がフルに行使できる国にならない限り、無理だろう… 
同様に日米安保に反対している議員もいるけど、それならば、自衛権のフル行使が可能でなければ、なおさら自国の生命と財産を守ることは不可能だろう… 
それともお得意の話し合い万能論を持ち出しますか????? 
しかも”後出しジャンケン”で…

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