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弾ける雨音②

第十四話

(ユリ)

空から落ちる水滴は、地上に向かって真っ直ぐと落ちる。
君が帰る支度を終えるのを待つ間、ずっと窓の先にある美しい世界を眺めていた。


一緒に帰ろう。
その一言だけなのに、とてつもない心の準備を要した。

まずどうしたら自然に会話を始められるかを考え、何度も何度も脳内シュミレーションをする。散々時間を使って悩んだけれど、結局私の小さな脳みそで得られる最適解は傘を持ってきていないらしい君と傘をシェアして帰ることぐらいだった。憂鬱な天気に助けられ、初めて雨に感謝する。


もう少しだけ長く、この居心地の良さの中にいたい。

ただ、それだけ。


雨の中、君と静かに歩く道はとても心地良い。
いつもは思考が止まらなくてうるさいのに、安心した気持ちで静かになれる。相変わらず君は無愛想だったけれど、それでいい。私には関係ない。


その時、君の携帯電話が鳴った。
表示されたであろう名前に一瞬、いつもと違う君を見る。明らかに目が泳いでいた。何かに動揺している?

そして君はその電話を取って、少し話した後すぐに切った。君の奥にあるものってなんだろうと気になってしまったけれど、聞いてはいけない気がして何も触れられないし、触れたくない。私にそんな権利はないのだから。


いつも冷静で、ぶっきらぼうだけど優しい憧れのような君の触れてはいけない人間味を初めて感じる。私と似た感情かもしれない。徐々に湧き出す親近感。共通点を見つけた気がして、トクントクンと心が踊る。


傘に弾ける水の音が
リズミカルに
私の心と共鳴していた。

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