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【散文詩小説】時代遅れの寵児シリーズ

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観察眼も文章力も感性もないのですが、とにかく書いてみようと、散文詩と小説の掛け合わせのような作品をひたすらに書いてます。重ねるごとに上手くなって行けたらいいなと思います♪
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#自叙伝

【散文詩小説】時代遅れの寵児⑨挑戦

【散文詩小説】時代遅れの寵児⑨挑戦

四ヶ月もかかったのか、
四ヶ月で済んだのか…。

兎にも角にも、再就職活動にその時間を費やした。

視点を少し変えれば、
長い社会人人生においては
1、2年程休んでもバチは
当たらないだろうし、
もう少し広い視野で社会を
見渡す事もできたかも…と、思うとやや残念に思う。

だが、そもそもが「休むため」ではなく、「這い上がるため」の時間なのだから、
そんな発想は浮かぶ訳が
なかったし、そんな悠長な

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【散文詩小説】時代遅れの寵児④青蛙

【散文詩小説】時代遅れの寵児④青蛙

「日東駒専」

個人の実力以前に、
入り口からランク分けされる
学生にとって、氷河期の就活がどれだけ苦戦するか、
想像に難くない。

無論、
大学受験の比ではなかった。
面接や採用枠はもちろん、
書類選考で篩にかけられる。

そう、
試験すら受けれないのだ。

それでも、
世間知らずの前向きさで、
どうにかこうにか内定を
もらった会社は、
同族経営の中小企業。

上司は、社長の息子。
一期一会をい

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【散文詩小説】時代遅れの寵児③妥協

【散文詩小説】時代遅れの寵児③妥協

1勝6敗…

団塊Jr.が蔓延る受験戦争。
俺は、一年浪人の末に、
なんとか1つ合格通知を
手にれた。

工場の職人の末っ子で、
風呂なしアパートで育った。

そんな家庭に金なんてない。

奨学金で進学した俺は、
4年間バイト三昧の日々。

大学へはほとんど行かず、
代返とコピーで単位を取る。

ギリギリの成績で卒業するといった有様だったが、学業以外の勉強は充実した。

バイト先は、
食べ放題の焼

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【散文詩小説】時代遅れの寵児②過信

【散文詩小説】時代遅れの寵児②過信

「あなたが一番輝いていたのはいつですか?」

もし、そう聞かれたら、
俺は「いつ」
と、答えるだろうか?

7歳上の姉と、
3歳上の兄に続いて、
工場で働く職人の
末っ子として生まれた。

風呂なしアパートの
狭い部屋で家族五人暮らし。

親子で銭湯に通ひ、
兄弟三人、並んで眠る。

一人の時間なんてない。

姉の会話の中で、
兄のペースに併せて暮らす。

いつも身の丈にあってない。

気がつけば

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