2024年7月後半の読了本+感想と、活動報告
こんにちは。暑い日が続きますが、お元気でしょうか?
7月後半もたくさん本を読み、実はまだ感想を書ききれてないものもあるので、書きがった分だけ!
充実した読書ライフを過ごしております〜!!
執筆しつつ、日記なども書きつつ、読書にも励んでいます〜!
なんでも習慣にすることが大事で、なんとか1週間続けたら徐々に楽になってきますね。
香川の文学フリマが大盛況だったようで、行きたかったな〜と思ったり。
今年は12月の東京文フリ以外に、他の会場も参加できそうな予感。
文芸誌『第一芸人文芸部』持っていくので、ぜひ近い方はお越しください。改めて告知もします。
読書の感想の前に、二つほどお知らせさせてください。
① 地元・徳島県のタウン誌『CU』さんの最新号が発売されました!
連載させてもらっている書評コラム『やっぱり読書はやめられぬ』では、岡田悠さんの『0メートルの旅』を紹介しています!
徳島県の本屋さん、コンビニで発売中(一部、淡路島も)。
お近くの方、ぜひゲットしてください^_^
通販でも購入できます!徳島県へ旅行予定のある方などにめちゃめちゃおすすめのタウン誌です!
② カレーをゲット!!
カレーと文学が融合したおもしろ企画「華麗に文学をすくう?」で誕生した尾崎世界観さん、高山羽根子さんのカレーをいただきました!
小説の中に登場するカレーをレトルトカレーとして実際に発売したものです。読んでから食べるか、食べてから読むか——はたまた読みながら食べるか。めっちゃ楽しみです!
執筆メンバー
第一弾(尾崎世界観さん、高山羽根子さん)
第二弾(青木杏樹さん、オルタナ旧市街さん)
第三弾(浅生鴨さん、第一芸人文芸部)
なんと僕らも参加予定です!
今年の後半、お楽しみに!!
第一弾の購入はこちらから↓↓
それでは読書の感想です。
2024年7月後半に読んだ小説
①『軽いノリノリのイルカ』
これはすごいわ。すごい。めちゃくちゃ面白い。2024年ベストの1冊。圧巻。
僕は後輩だけれど、そんな関係性抜きにして、本当に素晴らしい。
全くタレント本じゃなく、しっかり文芸。かといってカジュアルに気軽に読める良さも持ち合わせている。ぜひ読んでほしいと心から思う本。
まず満島ひかりさんの回文がすごい。「物語を作る余白を残してほしい」というのが又吉さんからのオーダーだったそうだが、ほのかに情景が浮かぶような回文が多く、どうやって作ったの?って思う。回文がこんなに面白く、奥が深いと思わなかった。
そして又吉さんが綴る短編小説。弱パンチなどひとつもなく、強パンチの連続。まさに自由自在に言葉とストーリーを操っていて、言葉もそれを喜んでいるかのよう。そして回文のおかげで物語が思わぬ方向にいってしまう事が多く、予想を裏切られまくり。ふだん近くにいたり、文章を読んだりしてその凄みは十分わかっていたつもりだけど、又吉さんってやっぱりすげえなと勝手に再認識。
息抜きのページもあり、短い回文と超短編(これもすごい)と、ほっこりしたイラストもとても良かった。
一生のうちに何度も読みたい。
②『転の声』尾崎世界観
クリープハイプの尾崎世界観さんが綴った『転売OK』の世界。
第171回芥川賞候補作。
面白い!尾崎さんが見てきた世界を血生臭い言葉で、生々しく書いている。さらに「転売OKの世界」という要素が加わることになり、どこまでも想像の向こう側に連れていってくれる。
【あらすじ】
主人公の以内右手は、ロックバンド「GiCCHO」のボーカリスト。
転売OKの世界では【Rolling→Ticket】という会社が台頭し、転売アプリ【Rolling→Voice】(通称「転の声」)を使って転売されたチケットには、ミュージシャンにキックバクが入る仕組みが存在する。
まだ「定価」でしか売れたことのない以内は、絶対にプレミアになりたい。しかし転売を批判する声も多く、自分のスタンスや心のうちを世の中に公開できていない。おまけにボーカリストとして致命的なのは、声が思うように出なくなってきたことだった。
自分の声の評判、チケットの売れのこり、転売でのし上がってきたバンドLIVE IS MONEYのこと、何もかもが気になりSNSでエゴサーチをしまくる毎日を過ごしている。
【感想】
設定が面白いのはもちろん、やっぱりバンドマンが見ている風景の解像度が高い。特に夏フェスのシーンと、主催ライブのシーンの描写が心に残った。別のバンドのタオルを目の前で掲げるファン、不本意にも始まってしまう手拍子、新幹線の出口改札で出待ちしてサインをねだる転売ヤー。めちゃくちゃ細かい描写のひとつひとつ、それを表現できる文才があることが羨ましい。それでいてかなり悩んで、苦しんで書いただろうなあとも伝わってくる。ミュージシャンの叫びのようなものがある。
また満たされない毎日を悶々と過ごす以内右手を追うと同時に、「転売OKの世界」の設定自体が進化していくのも面白かった。
・実力のある転売ヤーが出てくる。
・転売ヤーも有名になり、有名転売ヤーのファンなども出てくる。
・転売ヤーに会えるカフェとかもある。
・プレミアで行っても定価で行ってもライブはライブだから、プレミアで購入して「行かない」ということが本当のプレミアなのではないか、というところまで行き着く。
・「無観客ライブ」の向こう側
ここからは読んでのお楽しみ。転売OKによって狂っていく世界がめちゃくちゃ面白かった。
③『変な家』雨穴
話題の『変な家』やっと読みました!
2023年最も売れた小説らしいよ!納得の面白さ。
間取り図から空間を想像し、どんな暮らしをしていたのか仮説を立てる。論理と感情を行き来しながら謎にどんどん迫っていくのにドキドキして一気読み。図解も多いし、文字も大きいし、めちゃくちゃ読みやすかった。
【設定】
間取り図の違和感から始まる 謎ときホラー
【あらすじ】
主人公の知人が購入を検討している都内の一軒家。築浅でまだ新しい。
間取り図を見ると、二階建てで窓が多く、明るく開放的な物件だと思われる。
しかし1階部分にはどう考えても必要なさそうな、壁に囲まれた空間が存在する。
2階はその中心に子供部屋があり、周りを別の部屋でぐるりと囲われている。子供部屋に窓はなく、部屋専用のトイレが……。
この家で1年余り暮らした家族はどこに消えたのか?
そして、家の近くの雑木林で発見された死体の真相は———。
【感想】
違和感→解消→違和感のタイミングがバッチリで話題も豊富で、どんどんページをめくってしまう。めちゃくちゃ面白い。2時間くらいで読破してしまった。
特に後半の展開は圧巻。間取り図からこんな重厚なミステリーに繋がっていくとは。雨穴さんの別の作品も読みたい。
冒頭部分は「オモコロ」の記事でも読めるし、雨穴さんのYouTubeでも見られるので、未読の方はぜひ!
④『桜桃』太宰治
まさに太宰やな〜と思える一作。入水自殺をはかる前に書いた小説で、この小説に由来して太宰の命日は『桜桃忌』と呼ばれている。
【あらすじ】
『子供より親が大事、と思いたい。』という衝撃的な書き出しから始まる。そんな事言っちゃっても良いんだと思った。
それから子育てや生活の苦しさについてぐだぐだと書かれ、後半に『実はこの小説、夫婦喧嘩ふうふげんかの小説なのである。「涙の谷」それが導火線であった。』と続く。ふざけ合っている時に妻が発した『涙の谷』という言葉が引き金となり、太宰は後ろめたく感じながらも「仕事がある」と言い、家を出る。向かった先は行きつけの居酒屋だった……。
【感想】
僕は物語には全く共感できないのだが、人気があるのもわかる。
『人間失格』のテーマの一つでもある道化についてここでも書かれていて『私は家庭に在あっては、いつも冗談を言っている。それこそ「心には悩みわずらう」事の多いゆえに、「おもてには快楽けらく」をよそわざるを得ない、とでも言おうか。』と記されている。
時として、笑いは『逃げ』になる。真剣なこと、真面目に考えないといけないことに直面した時、そんな状況を煙に巻くために利用されるのである。ここはめちゃくちゃ理解できる。
その自覚があるのに酒に逃げ、女に逃げてしまう弱さ。快楽を選んでしまうのは太宰の弱さか、人間の弱さか。肯定的に書かれてはいないけれど、「書く」という行為を通して開き直っている感はある。
僕は「頑張れや」「しっかりせえや」と思うタイプだし、旧来から日本人は真面目にコツコツ頑張ることを美学としてきたので、アンチテーゼにもなっているこの小説が発表された時は衝撃を与えただろうな。
ダメな自分に気が付きながらも封印している人、目を背けている人、僕もその一人だ。そんな状態から少しでも向上すること、強くなることを目指すのか、弱さの全て曝け出して生きていくのか。何を格好良いとし、何をダサいとするのか。読む人によって感想が分かれる、生き様をテーマにした小説かもしれない。
文章や描写はあまりにも巧くて美しい。
⑤『葡萄水』宮沢賢治
大正~昭和期の童話作家・詩人である宮沢賢治の短編童話。生前未発表らしい。短くて愉快なお話。
あらすじ。
主人公は耕平。
ウキウキで畑に葡萄をとりに行き、夕方までかけてたんまりと収穫する。
家に帰ると妻とともに葡萄をむしり桶に入れ保存する。
三日後、少し萎れた葡萄の粒を両手ですくい、しぼり始めた。真っ黒な果汁はみるみるうちに溜まっていく。
耕平はこれに砂糖を入れ、お酒にしようと提案する。
妻は「税務署に見つかると罰金を取られる」と答えるが、見つかったら見つかったときということで話がまとまり、密造酒を作ることに。
そして六日後……。
感想。
少し間抜けなストーリーはもちろん、なんといっても言葉選びが面白いなあ。夕焼けを「群青いろのごくおとなしい海鼠(なまこ)」と例えるとか天才すぎる。確かにナマコみたいな夕焼けあるけど!
葡萄が発酵する音の例え(秋田の鳥海山の噴火)も秀逸すぎた。
今後の予定
① 8/13 BSよしもと 『第一芸人文芸部 俺の推し本。』公開収録
こちら第4回の公開収録です!
3本撮りで、各回ごとにゲストが登場。
4人で推し本について話すイベントです!『第一芸人文芸部 創刊準備二号』もチケットについてきます。ぜひお越しください!!
場所:下北沢B&B
時間:2024/08/13(火)19:00〜
メンバー:ピストジャム、ファビアン、野沢直子
ゲスト:ネイチャーバーガー三浦、インディアンス田渕、天津飯太郎
第一芸人文芸部のレギュラー
① 毎週水曜22時〜 stand.fm生配信
今週読んだ本の紹介、そのほか文学ニュースについて語ったり、活動報告も行なっています!
お便りコーナーもあるので、質問等お待ちしております!
第一芸人文芸部の活動のベースとなっております!
② 毎週日曜16時30分〜BSよしもと『俺の推し本』
7月7日から、毎週レギュラー放送が始まりました!
アーカイブはBSよしもとのサイトから登録いただけると見ることができます!また放送から1週間後に、BSよしもとのYouTubeチャンネルでも公開されます!
YouTubeは記事の下の方にまとめているので、ぜひ!
放送予定
8月 4日 ♯5 バイク川崎バイク(BKB)、糸原沙也加(つぼみ大革命)
8月11日 ♯6 バイク川崎バイク(BKB)、石井ブレンド
8月18日 ♯7 村上(しずる)、西田(キンボシ)
8月18日 ♯8 村上(しずる)、九条ジョー(レ・ヴァン)
9月 1日 ♯9 村上(しずる)、トニーフランク
文芸誌『第一芸人文芸部』の発売店まとめ
『第一芸人文芸部 創刊準備号/創刊準備二号』ともに一般流通していませんが、以下の本屋さんで取り扱ってくれております。
自信作です! ぜひゲットしてください!
※在庫は各店舗にお問い合わせください。
拙著について
① 『きょうも芸の夢をみる』
2023年3月に発売した“芸人”をテーマにして書いたショートショート&短編小説集『きょうも芸の夢をみる』について、こちらに発刊への想いを綴っています。
そして以下のリンクから芸人の解散をテーマにして書いたショートショート『エルパソ』を無料公開しているので、ぜひ読んでみてください!
② 小鳥書房『本屋夜話』(「小鳥書房文学賞」詞華集: とりをめぐる12話の物語)
こちら小鳥書房さん主催の小鳥書房文学賞を受賞させていただき、その後発売されたアンソロジーです。
“とり”をテーマにした12作。僕の『私・芸能人・鳥』という作品も掲載していただいています!
小鳥書房さんのページはこちら↓↓
アーカイブ
①(2024年7月〜)『第一芸人文芸部 俺の推し本』
#1
#2
#3
②(2024年3月) 特番『第一芸人文芸部 俺の推し本』
④ (2023年10月〜2024年3月)Amazon Audible 『本ノじかん』
2023年10月〜2024年3月までの半年間、パーソナリティを担当させていただきました!豪華なゲストと本や創作について語っているのでぜひ!
また番組内の『クチヅタエ』という企画で、バイク川崎バイク(BKB)、しずる・村上、3時のヒロイン・福田、ニッポンの社長・辻、レインボー・ジャンボたかおのリレー小説の連載が完成し、第23回では全員集まって反省会をしています!各回の朗読は、声優の白井悠介さんです!
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