TAICHI FUJIMOTO

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マガジン

  • ホームレス社長体験記

    2013年6月から150日間、ロンドンでホームレスだった社長の体験記です。普通のホームレスとは少し違いますが、お金がないことは一緒です。是非御覧ください。

最近の記事

18_世界で一番幸せなホームレス?

おそらく、ホームレス界のワールドカップがあったならば、ぼくは幸せ部門で言えばトップクラスだったのではないか、と思う。 まわりのみんなからは「お前、ホームレス社長になってすごく楽しそうだな。お金がないやつの生活とは思えないし、なにより明るいよな。」とよく言われた。もちろんなるべく悲観的にならないように心がけていたし、実際にいろいろなひとと会えて、いろいろなひとの生活をみることができて、とても楽しかった。 しかし、ぼくもたまには不安になる瞬間だってあるのだ。なかなか泊めてくれ

    • 17_ホームレスになるとモテ期が訪れました

      元々モテるひとの条件として、お金があるってひとつ大きく含まれるものだと思っている。未だに。でも、それでもです。お金がなくてもモテるってことが起こった。お金がなくても、ホームレスになってもモテる。そんな話。 あれは、ホームレス社長になって約1ヶ月経った頃の話だった。突然友人のマルコから 「タイチ!お前ホームレスやん?タダ酒とタダフードがつくイベント発見したんだけど、一緒にいかないかい?ゴールドスミスという大学主催のイベント。内容も面白そうだし、ただで飯食えるし、ひとにも会える

      • 16_ぼくよりもすごいホームレスに弟子入りを試みる

        世界にはたくさんのすごいひとたちがいる。なので、世界にはたくさんのすごいホームレスがいる。ホームレス社長の企画を始めた当時は「イギリスでホームレスをするのなんて、日本人ではぼくぐらいでしょ?」と本気で思っていたし、多分そうだ。でも、人間は欲深いものだ。すぐに日本人でただひとりのイギリス在住ホームレスの肩書きじゃ満足できなくなった。夢は広がるばかり。「世界で1番のホームレスに!」が目的になり始めた。 そこから、日々の生活を作りながらも、様々な世界に広がるホームレスの研究を始め

        • 15_ホームレスという肩書きを使って、憧れのひとにやっと会える

          日本のメディア「greenz.jp」を通じて憧れていた会社があった。スウェーデンのウェブデザインの学校Hyper Islandの卒業生6人で結成された任意団体(現在は株式会社)「Pop Up Agency(ポップアップエージェンシー)」だ。 彼らは、学生は平日は学校の課題などで忙しく週末でしか仕事ができない、ということを逆手にとり「48時間で企業の課題解決をする」という奇想天外な発想をもとに、エージェンシーを立ち上げた。 そして、彼らはその突拍子もないビジネスモデルを基に

        18_世界で一番幸せなホームレス?

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        • ホームレス社長体験記
          19本

        記事

          14_ドキュメンタリーを撮りたい!とカフェで叫ぶ

          「ホームレス社長のドキュメンタリー映画を撮りたい!」 とずっと思っていた。純粋にホームレス社長がドキュメンタリーになったとき、この企画を日々追ってく必要があるな、と思い毎日ブログを書いていた。しかし、文章だけでは1日の断片しか伝えることができない。そうではなく、僕が毎日どのように過ごしているのか、を映像で伝えることができないだろうか、と日々考えていた。 なので、しょっちゅう僕はあらゆるところで「ドキュメンタリー映画を撮りたいんだ!」ということを言ってきた。「YouTube

          14_ドキュメンタリーを撮りたい!とカフェで叫ぶ

          13_じぶんのできることで価値を提供する

          ホームレス社長だ。あくまでも社長なのだ。仕事をする、様々なプロジェクトを抱える。ただ他の社長と違うのはお金と家がない、ということだけ。なので、他の社長さんや会社の方々と同じように仕事をするためには、ちょっとだけ頭を使う。 まずは、普段の仕事場について。『普通』の会社は、どこかしらにオフィスを持っている。オフィスを借り、家賃を払い、社長と社員は毎日そこに通う。しかし、僕にはお金がないからそれができない。そして、最近流行っているノマドワーク。特定のオフィスは持たず、カフェなどを

          13_じぶんのできることで価値を提供する

          12_お金が本当にゼロになったら、お金をもらった

          ホームレス社長のテーマは「人とのつながりで生活する」というもの。多くの人とつながることで、生活ができるのかどうかを自分自身を使って実験をしたのだ。なので、決して「お金を使わずに生きる」ということに焦点を当てていたわけではない。言い訳のように聞こえるが、言い訳ではない。本当にそうだったのだ。でも、僕のなかで「人と生きる」というのは「お金で生きる」ということのアンチテーゼのような感じでもあったので、確かに自然とお金を使わないような生活にシフトしていった。 しかし、現実はそうも簡

          12_お金が本当にゼロになったら、お金をもらった

          11_聞きながら伝える天才との出会い

            僕は、あまり目標となる人を定めて人生を歩むタイプではない。理由はいくつかあるが、憧れの人を作ると自分自身の限界を作ってしまうし、自分の中での創造力が乏しくなるような気がするからだ。なるべく自分らしく、自分でしかできないこと、自分でしか思い付かないことをひたすら追求していくことに尽力している。しかし、ホームレス社長を通じて、1人本気で尊敬する人ができた。それは、若干26歳のタヒチ出身フランス人で、世界の社会起業家コミュニティを束ねるクリスチャンという男だ。  ロンドンの大

          11_聞きながら伝える天才との出会い

          10_「お金は必要なんだよ」という言葉に対する違和感

           「生きていくために、お金は必要なんだよ」この言葉は、生まれてからずーっと聞いてきた言葉だ。違和感しか感じない。でも、かと言ってお金が要らない!と声を大にして反論するだけのロジックがあるわけでもない。ただただ違和感を感じていた。この違和感を感じていたからこそ、起業家として活動していく中で、一切“クライアント”に対して、お金を請求しなかった。ギフト経済のようなカタチで、お金ではないなにかを得ていたような気がしていた。その大半が“仲間”とかそういったつながりの類いが多かったが。そ

          10_「お金は必要なんだよ」という言葉に対する違和感

          09_いきなり女の子の実家に招待され、両親とご飯を食べる

          「結婚の挨拶って、こんな感じなんだな」という体験を、全然彼女でもなんでもないただの知り合いの女の子で体験した。 基本的には、ホームレス。当日いきなり寝る場所がない!ということが頻繁に起こったわけではなかったが、そういう日ももちろんあった。 というのも、ヨーロッパが全体的に帰省シーズンにはいる夏。ホームレスのぼくは困っていた。移民の街、ロンドンはこのシーズンはみんなこぞって自国に帰ってしまうのだ。家が、あくじゃん!ラッキーじゃん!そんなに甘くない。よほど仲の良い友達は、もし

          09_いきなり女の子の実家に招待され、両親とご飯を食べる

          08_ちょっとユニークなホームレス仲間とつながる

           「類は友を呼ぶ」と昔のことわざがあるけど、それは本当だと思う。しかもインターネットで世界中がつながっている今の時代、類は世界中から友を呼べるんだ。ホームレス生活をしていく中で、イギリス国内はもちろん、ヨーロッパ全土、そして母国日本でも似たような人と知り合うきっかけをもらったのももちろんインターネット。その中でも衝撃だったのは、やっぱりあの彼かな。  ホームレス生活○○日目の時に、スウェーデン人の友達が唐突にこんな話を始めたんだ。  「タイチ、ホームレスと言えば私の国に不

          08_ちょっとユニークなホームレス仲間とつながる

          07_困っているひとを助けれなかった話

          生活に関する全てのことに関して、友人知人を始め、全くの初対面の人にも助けてもらいながら生活をしている。洗濯や、風呂、ご飯なども全てお世話になっている。ということもあり、見た目はほとんど“ホームレス”というほどではない。しかし、生活空間はほぼ外である。たまに疲れたりすると迷惑のかからないところを探して、ふらっと座り込んだりしていた。なので同志であり大先輩でもあるロンドン市内のホームレスの方ともたまにではあるが話す機会があった。 「おう、元気か?」なんて具合だ。軽快なトークをす

          07_困っているひとを助けれなかった話

          06_お金がなくなったら、とても生活が裕福になった話

          お金がなくなって、どんなに安い家賃も払えないような経済状況だったのでホームレス生活をせざるを得なくなった。 僕は、家を借りて生活するということが当たり前だと思っていた。だからどれだけお金がないと言えども家賃分ぐらいは常に確保していた。家があることは、当たり前。だから家賃分のお金は、あって当然。その分を勝手に頭の中で差し引いた金額が『自分のお金』という感覚だった。しかし、どんなに頭の中で計算をしても家賃分のお金が残らないという非常事態を迎えることになった。 「まずい!生きれ

          06_お金がなくなったら、とても生活が裕福になった話

          05_お前は社長じゃない、でもただのホームレスでもない。

           「お前、社長やめたら?」と泊めてもらった知人に言われた。ホームレス生活50日目のことだ。  確かに僕は英国ロンドンで会社を立ち上げて2年、お金を稼いだことはなかった。『社長といってビジネスをやっているくせに、お金を生み出すことに興味やモチベーションを感じれてないことは間違っている』だから「やめたら?」と言われても仕方ないことだ。しかし、どこからわいてくる自信なのかわからないが  「なに、この時代にまだカネカネって言っているんだ。やることは他にもあんだろが。ビジネスはお金

          05_お前は社長じゃない、でもただのホームレスでもない。

          04_要らないものを要るひとにあげることでタダ旅行券ゲット

           モノを手に入れるためには、お金が必要だと思っていた。服が必要ならば、1万円握って服屋さんへ。食べ物が必要ならば1000円を持って定食屋さんへ。パソコンが必要なら10万円持って電気屋さんへ。旅行に行きたいなら相当額を持って旅行会社へ。これがあたりまえだと思っていた。 ホームレス社長を始めるにあたって、じぶんの所持品をバッグパックひとつにまとめる必要があったので、不必要なものを大量にリサイクルショップに持っていったり、ひとにあげたり。それでも余ったものは忍びないが、ゴミの日に

          04_要らないものを要るひとにあげることでタダ旅行券ゲット

          03_お金は、悪くないらしい。

           正直な話、僕はお金が嫌いだった。理由はいくつかある。  まずは、社会的な意義として。  「やっぱり世の中、金だよ。金がないとなにもない」といっている人たちの論理が全く理解できなかった。むしろ僕には、お金が世の中に起こるたくさんの問題を引き起こしていると思っていた。醜い争いや、騙し合い、そして神経をすり減らしていくような過酷な労働、とかね。「このお金があるから、問題が起こるんだ。お金がないほうが、もっとハッピーにみんな生きれるのかも」と本気で思っていた。  そういえば、

          03_お金は、悪くないらしい。