15_ホームレスという肩書きを使って、憧れのひとにやっと会える
日本のメディア「greenz.jp」を通じて憧れていた会社があった。スウェーデンのウェブデザインの学校Hyper Islandの卒業生6人で結成された任意団体(現在は株式会社)「Pop Up Agency(ポップアップエージェンシー)」だ。
彼らは、学生は平日は学校の課題などで忙しく週末でしか仕事ができない、ということを逆手にとり「48時間で企業の課題解決をする」という奇想天外な発想をもとに、エージェンシーを立ち上げた。
そして、彼らはその突拍子もないビジネスモデルを基にワールドツアーに出掛けたのだ。15週間で15カ国を周り、15社の課題を解決して回る旅。素敵過ぎるでしょ。会いたくて会いたくてしょうがなかったので、いま世界ツアー中なのでどこにいるのか知らなかったが、とりあえず「会いたい!」という旨のメールをした。
記事を発見したのは、ホームレスになってほんと直後であったと記憶している。友人からの「たいち、こんな面白いひとたち発見したよ!」というメールがきっかけである。この友人は、昔からよくこうやって面白いことがあると情報共有をしてくれる優しい先輩だ。本当にありがとう。
そしてウェブで拝見したとき、すごくなんだかそわそわした。ものすごく関わりたい!と思わせてくれるようなワクワク感が彼らにはあった。なんというか、ぼくが持ち得なかった発想を持ったひとたちだと直感したし、ホームレス社長企画終了後に何をしようか、を考えている時期だったことも重なり、なにかそこに対してヒントをくれるのではないだろうか、と予感したのだ。
しかし、彼らも旅の最中。なかなか連絡が帰って来ることはなかった。
「あー、残念だな。せっかくならこのホームレス社長企画で知り合う有名で影響のあったひとのひとりにカウントできたらいいのになー」
なんてぼんやり考えながらメールの返信をひたすら待った。
ホームレス社長企画終了まであと約1ヶ月に迫ったとき、メールが返ってきた。こんなに淡々と冷静に文章を書いているが、このときの興奮をどうしたら伝えるのが1番いいのか考えているのが、わからないので淡々と書かせてもらう。
メールが返ってきたのだ。
「はじめまして!連絡してくれてありがとう!あなたも面白そうなことやってるわね。うん、ぜひ会いましょう!」
メンバーのうちのひとり、ジュリアという女性から返信があった。会えるだけではなく、ぼくの企画にも興味を持ってくれてるようだ。嬉し過ぎる。すぐに返事をうった。
「返信ありがとうございます。はい、ぜひ話しましょう!ぼくももっとホームレス社長のこと、説明しますね。ところでロンドンに来る予定とかありますか?もしもあればそのときに会いましょう!それか難しければ、せめてスカイプでもいいので話せれば幸いです。」
ポップアップというので、多分世界中のどこかでウロウロしているんだろうから、なかなか会えないかもなーと思い、このようなメールを送った。そしたら意外な返事だった。
「実は、わたしたちもう世界ツアーは終了したの。そして、現在はロンドンに拠点を持つことにしたのよ。ノマドスタイルのエージェンシーにとっては大ニュースよね。オフィスを持つって。笑 でも、今は東ロンドンにオフィスを構えているわ。もしも宜しければこちらでお茶でもしようか?金曜日の午後とかどう?」
確かに。ノマドがオフィス?と思ったが、そのあたりの話も聞かせてもらおうと思った。何よりも、ホームレス社長の企画の間で、憧れていたポップアップエージェンシーに会えるなんて想像もしていなかったんで、はねるように喜んだ。いや、実際ちょっとはねた。
そして胸を躍らせながら、彼らのオフィスに向かった。そこは、最近できたクリエーター専用のコーワーキングスペースだった。さすが、ポップアップエージェンシー。オシャレなひとたちだ。
まずはオフィスについて、ジュリアが出迎えてくれた。
ジュリア「改めてはじめまして。わたしはジュリアね。他のみんなもタイチに会えるのを楽しみにしてたから!早く入って!」
嬉しいことを言うなー。ありがとう。ぼくも会いたかったよ。みんな。
オフィスにはいってからまずは挨拶。
たいち「はじめまして。ホームレス社長のタイチです。突然お邪魔してごめんなさい。でもみんなに会えてすごく嬉しい!今日は色々と話を聞かせてください!」
みんな笑顔で迎えてくれた。そのうちの代表のアレジャンドロを中心に会話が始まった。
アレ「はじめまして。ホームレス社長の企画、ウェブで少し見させてもらったよ。なんだか面白そうなことやってるね!いま何日目?お金とか使ってないの?」
たいち「はじめまして。今は◯◯日目。お金は使わないわけではないんだけど、極力使ってない。普段は色々と泊まらせてもらったり、飯を食わせてもらったり。本当にみんなには感謝をしているんだ。でも、面白いことに既に100日超えたけど、まだ健康的に行きてるんだよね。」
アレ「おお、もうそんなに経ってるのか。あ、ごめん。ぼくら今日はスウェーデンの得意料理のステーキとか準備してると思った?すまない。イギリスの紅茶でいいか?」
たいち「ははは。ステーキだったら最高だけどね。笑 うん、ありがとう!紅茶をいただくよ。」
そこから込み入って、彼らが体験したワールドツアーの話になった。
アレ「僕らは、当時まだ学生でね。何かやりたいんだけど、案外芸大って時間がない。土日だけならなんとか時間が確保できるけどって感じ。いや待て。土日には時間が確保できているんなら、土日にしかできないことを考えよう。ということでポップアップエージェンシーが生まれたんだ。その後、ただ立ち上げただけではしょうがないし、ストックホルムにずっといても、大した仕事が降ってこないだろうなーと思ってね。オレらはメンバーと話し合って、世界中の企業と仕事する機会をつくろうってことになったんだ。」
すごく素敵な取り組みだなって思った。時間がない、お金がない、などを言い訳にせずにしっかりとじぶんたちにしかできないプロジェクトにした。この発想は、すごく共感をした。なぜならホームレス社長と思考プロセスは似ているな、と感じたからだ。さらにアレは続けた。
「学校もホリデーに入ったし、インターンが義務づけられてたから、その期間を使って旅に出ることにした。15週間で15社と仕事をする旅。利益はいらないけど、交通費と宿泊費・食費のみを出していただければいつでもどこでも飛んでいくよ、というスタンス。でもこんなかっこいいことをいいながら、旅に出たときはクライアントは最初の行き先の一社しか決まってなかったの。そのあとは、普段仕事をしながら、同時に次のクライアント探しもしなければならなかった。なかなかタフだったよ。でも、最終的に旅は達成できた。ペイフォワードだよね。今のクライアントさんが次のクライアントさんを紹介してくれる。そうすることで、数珠つながり的に一気に広がって、ツアー成功でおさめることができた。」
ただただ圧倒された。すごい。そして、同時にとても感謝した。
何故なら、ホームレス社長の次の企画として、世界ツアーが視野に入れることができたからだ。これは本当に素敵なことだった。
そして、彼らが「ホームレス社長もとても素敵だよね。刺激をもらえたよ。ありがとう。これからもなにかあったら一緒に仕掛けていきましょう。」と約束してくれた。
思ったときにメールをしていなかったら、このような刺激も得れなかっただろうし。そのときに行動をして良かったと思っている。
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株式会社sakasa | sakasa inc.
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