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インドラの真珠:序と目次

 インドラの真珠はフラクタルのひとつ。宝石をちりばめた首飾りのような図ができます。
 2013年3月に、10年がかりで翻訳が行われた「インドラの真珠ークラインの夢見た世界」が小森洋平氏の訳で日本評論社から出版されました。

原著の「INDRA'S PEARLS The Vision of Felix Klein」(David Manford, Caroline Series , David Wright )は2002年に出版されています。
 一方,幾何ソフトの Cinderella が 大変革を遂げたCinderella.2 となってリリースされた2006年、Cinderella.2は「インドラの真珠」に出てくる図を描くために必要な機能を内蔵しました。そして、MatheVital というWebページの中に、この本に沿って進むように、数多くのツールが掲載されたページがありました。しかし,Cinderella.2 が使っていたJavaアプレットがブラウザで使えなくなり,このページは一時削除されてしまいました。Cinderellaの開発者のひとりである,Ulrich Kortenkamp さんは,これを「Javaは死んだ」と表現しました。
 Cinderellaは,その後,Cinderella.3 となるとともに, JavaScriptで記述したCindyJS でWeb上で動かせるようになりました。MatheVital の Indra's Pearls   も復活しました。ただし,CinderellaとCindyJSは完全互換ではないために,失われたままのアプレットもあり,元の Indra's Pearls の面影はかなり失われています。

  筆者は,CindyJSが登場する前に, MatheVital にあったツールを移植しながら、簡単な解説を付け加えた日本語版を制作していました。2012年のことです。このほど,CindyJSを用いて,Web上でも操作できるように,note 上で再構成することとしました。目次からリンク先にいくと,解説とともに Web上で動かせるようになっています。MatheVital で失われてしまったアプレットもCindyScriptでプログラムを書いて,不完全ながらCindyJSで復活させました。各ページには,Cinderellaを使って描く方法も記述しました。Cinderellaについての説明は,Cinderella Japan のページをごらんください。Cinderellaのダウンロードは,こちらのページから可能です。Windows,macOS,Linux で動作します。ぜひダウンロードしてやってみることを勧めます。

 「インドラの真珠」に出てくる図を描くために必要な数学的知識は、高校数学+αです。複素数平面や行列を使った幾何変換などを使いますので、高校数学の上にいくつか(+α)学んでいくことが必要です。行列は今の高校数学にはなく,複素数平面は数学Ⅲの内容ですが,高校の数学IIまでの知識でも取り組めるように,解説を詳しくしていきます。次のメニューで第1章から順に見ていくのがよいでしょう。「インドラの真珠ークラインの夢見た世界」に準拠しているので,本が手元にあればなおよいのですが,価格がかなり高くなっています。

目次

第1章 幾何変換
 平行移動 
 回転・相似変換 
 鏡映変換

第2章 複素数と複素平面(複素数平面)
 複素数の和と積 
 共役複素数  
 複素数の累乗       
 複素関数(1)
 複素関数(2)
 複素関数(3)
 反復関数系

第3章 メビウス変換
 メビウス変換 
 メビウス変換の逆変換
 3点で決まるメビウス変換
 2つの吸引的固定点を持つメビウス変換 
 メビウス変換の流れ
 メビウス変換と立体射影

第4章 変換群
 2つの変換
 鏡の部屋のスティックラー博士 
 角度をつけて鏡を置く
 万華鏡
 変換群
 相似変換の反復

第5章 反復関数系
 ちょっとした予告   
 反復関数系による植物モデル
 反復関数系による極限集合の生成 
 確率の役割          
 2つのアフィン変換と極限集合
 バーンズリーのシダ 

第6章 反復メビウス変換
 2つの円
 ショットキー円
 ショットキー・ダンス 
 ショットキーの極限集合

第7章 インドラの真珠
 インドラの真珠:帯 その1
 インドラの真珠:帯 その2
 首飾り1
 首飾り2
 自由な首飾り
 アポロニウス・パッキング
 おばあちゃんのレシピ 
 パラメータで遊ぼう
 ヨルゲンセンのレシピ