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■「春はあけぼの…」好きなものは好きと胸を張って言っちゃおう―『枕草子』のこと

わりとフツーに見えるけれど、考えてみれば凄まじくすばらしいことだと思うことがあります。それは。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

1000年前に清少納言によって書かれた『枕草子』の冒頭です。多くの方は、中学2年生あたりで暗唱した(させられた)と思います。

でも、この「春はあけぼの」というフレーズ、何気なく、あるいは、いやいや覚えさせられたにもかかわらず、思いの外、たくさんの方が大人になっても覚えているんですよね。そして、会話の端々に顔を出したりもする。

これって凄まじく素晴らしいことだと思いませんか?

中学生時分には、ほかにも「つれづれなるままに…」とか「月日は百代の過客にして…」など覚え(させられ)ます。どれも印象的な冒頭です。でも、大人になってからの浸透率を考えたとき、これらは「春はあけぼの」と比べると、ずいぶん落ちるようにも感じるのです。

それくらい「春はあけぼの」というフレーズは、明確で明朗で快活で、際立って印象的なんですよね。しかも、それが1000年経っても色褪せず、誰もが口に出来ることばとして定着している。

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『枕草子』は平安時代中期、清少納言によって書かれた随筆です。平安時代中期、つまり、摂関政治の最盛期に、清少納言は藤原道隆の娘である一条天皇の后定子に仕えました。

清少納言、藤原道隆、一条天皇、定子とくれば、そう、来年の大河ドラマ『光る君へ』ど真ん中の時代です。この作品のなかで、清少納言はファーストサマーウイカさんが演じられます。

ウイカさん、劇中のお衣装姿を想像しただけでもすてき。

また、何度も書いていますが、ワタクシ、平安時代の最推しが、清少納言が仕えた(定子の父である)「藤原道隆さま」なんです。ただでさえ、そんな最推しの受肉化に極楽浄土転生を試みたくなっているところに。

『光る君へ』における中関白家の絵面があまりにも強くて! 今から超どきわくしているのです。…という、私のテンションの高さはともかくとして。

今回は、そんな『枕草子』についてご紹介したいと思います。

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【参考記事】

これらの記事はこちらのマガジンにまとめてあります。


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