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オリジナル小説│端役の徒然 4 夏の音

皆さんは何を見て、何を聞いて、夏を感じますか?
私は、子どもの植木鉢を持ち帰るお母さんと、子どもの声。

私の頃は自分で持ち帰っていた気がするのだが、今時の小学生はそうなのだろうか。
よく分からない。




「ひーろ、ひろくん」

バタバタと子どもが店内を走り回る音、おもちゃを買ってもらえなくて泣き叫ぶ音、我が子の名前を呼びまくる音…
この時期は、いつにもまして色んな音で溢れかえる。

セミの鳴き声もそうだし、なんならここ数年で急激に増えたハンディファンの音も。

「元気だなぁ」

暑さと忙しさで元気の出ないこの時期、羨ましく思う。
うるさいけど。

ただ、子どもの名前を叫ぶのは個人情報だし危ないからやめたほうがいいと思う。
〝あの子、〇〇って名前なんだ〟って、今店内にいる殆どの人が認識したと思う。
連れ去られちゃうかもよ。




バーン、バーン

夜、閉店の準備をしている時間帯、夏はよくこの音がする。花火だ。

音が聞こえる距離で花火が上がっているが、周りの建物で隠れて見えない。
おこぼれも見られない。音しかしない。


ひゅーバーン

音だけする。夏の思い出は、音だけの花火。

さ、片付け終わらせて帰ろっと。
帰る頃には終わってるんだけどね。



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完結済長編小説


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