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楡
2022年10月14日 21:59
どこが好き?わたしのどこが好き?なんて聞かなくても分かる彼はわたしの眉をよく撫でる眉の緩やかな曲線を優しくなぞったあとは決まって優しくキスをする彼はよくわたしの眉に見惚れていてわたしはそんな彼の視線に熱くなるこの熱は、照れからじゃなくきっと嫉妬に似たものから出来ているわたしはわたしの眉にさえ嫉妬しているそれがおかしいことは分かっているわたしの眉はわたしの
2022年10月15日 21:15
覗き込んで5秒くらい経ってからやっと彼が喋った「寝れた?」まだ半分しか開いていない目で空のほうを向いていた彼がこちらに視線を向ける 顔が近い「うーん、割と寝れました」と応えながら今度は私が空の方を向いてみる「そう。良かった」と言って彼もふたたび空を眺めるあーほんと、名前なんだっけ「寝れましたか?」「割とどこでも寝れるタイプだから寝れたよ」「良かった」
2022年10月21日 22:56
僕の彼女は僕のうちに来ると必ず夜はベランダでビールを飲む。つまみは目の前に浮かぶ月僕より飲むけど、僕より弱い。酔うと決まって、「今日も月が綺麗だね。 ここから見る月が1番綺麗」と彼女が言う。曇りの日や雨の日月のない日はうちにはこない。うちじゃない場所なら会ってくれるのかというとそういうわけでもない。会えない理由を聞いても、彼女は「なんとなく。」としか答えな
2022年10月25日 11:08
家に帰ると玄関に2足大きいスニーカーと小さいサンダルが並んでいたわたしが履いている靴のサイズはその2足の中間玄関に大中小と上手く段階を踏んでいる3足が揃うと嬉しくなる。昨夜、凪ちゃんちの狭い玄関に靴が散乱してたのを思い出す。でも1足だけはきちんと揃えられていた。眼鏡をしたまま眠っていた彼の靴だけは。部屋に上がると大好物の香りがした。香辛料が鼻をくすぐる。「カレーだ、、、
2022年11月10日 22:20
晴れたほぼ毎年のように雨が降るのに今年は晴れたしかも昨日までは雨予報だったのに晴れた嬉しいたぶん主役よりもそのことが嬉しい蒼くんも1日中嬉しそうにしていた。おはようのあと、「雨降らないじゃん。良かったね。晴れたね。」モンブランのホールを買って家に帰る途中、「いやー、ほんとに、晴れて良かった。」夕方、スーパーまで歩いているとき、「いつもより夕日綺麗だね。」蒼く
2022年11月30日 23:46
なにか声のようなものが現実を連れてきて閉ざされた音の世界に入り込む。 それが、だんだんと同じ言葉を繰り返しているように聞こえて、目を開けてヘッドホンを外す。それはのんちゃんが私を呼ぶ声だった。 なーにー?どこ?お風呂?と返しながらベットから下りて風呂場に向かう。 少し戸を開いたのんちゃんが、濡れて、一層艶めく白い肌を覗かせた。そして、わたしの目を見て部屋から化粧
2022年12月1日 14:33
上着を羽織ってスマホと財布だけをポッケに突っ込み家を出る日曜日、しかも天気が良いのにも関わらず近所の古本屋に行く途中にある公園には人ひとりいなかった。公園が寂しそうに思えて、自販機で暖かいココアを買い黄色いベンチに腰掛ける。今日は何にしようかな古本屋の外に置かれた棚の中で文庫本が窮屈そうにしているところを思い浮かべるクリーム色の外壁には1冊100円と手書きで書