エニヲ

小説と音楽を愛するシンガー このページでは、 オリジナル小説や童話のアレンジなどの コ…

エニヲ

小説と音楽を愛するシンガー このページでは、 オリジナル小説や童話のアレンジなどの コンテンツを発信しています。

最近の記事

【オリジナル】君の話 その4

小学校の頃から、友達はほとんどいなかった。 父親の転勤で学校を転々としていたからだ。 いつしか、自分の中でも「どうせまた転校するんだし」という諦めがあったから、 最初からわざわざ友達を作ったり、声をかけたりとか、しなかったな。 まぁ。 そのおかげで、今日の僕の人格が形成されてきたわけなんだけど。 そんな小学校時代、たまたま同じクラスになった庄司咲耶。 僕の苗字は「岩永」彼女の名前は「咲耶」 イワナガヒメとサクヤヒメ。 古事記に出てくる姉妹の神様と一緒だった。 ほとんど

    • 【オリジナル】君の話 その3

      多分、僕らはお互いに好きとかではないような気がした。 わからないけども、 それでも、何となく居心地が良かった。 正直、損得勘定なんだと思った。 お互いに高校生活を安定させるためのサプリみたいなもんかな。 いつものように裏門を出たところで別れた。 裏門にある遅咲きの桜も、もうだいぶ花を散らしていた。 少し冷たい風に舞ったオレンジ色の花びらが、 どこか寂しげに散っていった。 その夜、サクラの予想通り、 というか、天気予報通り? 大雨が降った。 次の日から、サクラは学校

      • 君の話 その2

        疑問点がある。 サクラは、クラス内では印象の薄いキャラだったように感じた。 休み時間も机に突っ伏して寝てるし、 クラスメイトともあまり談笑している印象がなかった。 とはいえ、僕が学校に通い始めたここ二、三日のことだけど。 なのに、、、 初対面でグイグイ来てたのは何だったんだ? クラスでは本性を隠してるってことか? 明るいキャラなら、すぐに友達もできるだろうに。 (僕と違って、、、) 相変わらず、ボッチだった僕は昼休みを 図書室で過ごすようになった。 何となく、教室

        • 【オリジナル】君の話  その1

          僕は高校デビューに失敗した。 いや、目立ちたいとか、人気者になりたいとか、 リア充になりたいとかではなかった。 ただ単に、普通の高校生活を送りたかっただけ。 4月の後半に差し掛かった今。 僕は友達はおろか、学校で言葉を発することすらないのだ。 こんなはずじゃなかった。 そう思って僕はこの状況を打破するために勇気を振り絞りある行動に出た。 彼女はついにやってこなかった、、、 確かに下駄箱に入れたはずだった。 同じクラスの馬場さんの下駄箱に。 人生初のラブレターを

        【オリジナル】君の話 その4

          白雪姫 新解釈

          今回は、白雪姫について語ろうと思います。 理不尽なこと、腑に落ちないこと 童話って、そういうものが多々ありますよね? 「まぁ、でもそういうところも含めてファンタジーですから!」 そんな、あなたの意見もわかります。 ただ、この「白雪姫」かなりの曲者!w というか、「なんでそうなった?」のオンパレードです。 ツッコミどころ満載です! 考えれば、考えるほどなんでこの物語が人気なのか、 謎は深まるばかりです・・・・ 気になってきました? では早速、いってみましょう!

          白雪姫 新解釈

          鶴の恩返しについて、改めて考えてみよう!

          今回は、僕が童話アレンジをするキッカケになったお話、 『鶴の恩返し』について、語ろうと思います。 童話などのストーリーを改めて考えることで、 新しい気づきだったり、学びを得られると感じたからです。 なので、良かったら他のアップされている エニヲの童話アレンジを、 読んでみてください! ということでw 鶴の恩返しという昔話で 気付いたこと。 実は、 鶴は2回救われている。 ということです。 え、そうだっけ? というストーリーだったはず。 それだと、 救ったのは

          鶴の恩返しについて、改めて考えてみよう!

          オオカミ少年の真実  あとがき

          今回から、作品だけじゃなく、 コンセプトや僕自身の想いも含めて、 後書きとして、載せようと思います。 背景情報なんかもあると、 より楽しんでいただけるんじゃないかなーと。ね! いやー、難しかった・・・w っていうか、毎回難しいんですけどね・・・ 童話とか寓話って、かなりシンプルに作られていて、 かつ完成されているものなので、アレンジが・・・・w とはいえ、 新しい解釈を得る上で、トライしてみたいな!と思ったので、 ちょいちょいアップしていくつもりです。 今回のコン

          オオカミ少年の真実  あとがき

          オオカミ少年の真実 その7

          ナドレを作ったのは、ヤックル。お前の心なんだよ。 本当は存在しないのさ、そんな人間は。 自分と同じように、右腕と左足がない傷痍軍人。 父親がわりに作った人間だ。 頭がクラクラする・・・・気分が悪い・・・・ 「う・・・・ぐぅ・・・おええええ!」 今までのナドレとの思い出が、全部僕自身が作り出したものだと? 俺だって、お前が作り出したに過ぎないんだぜ。 人につく嘘なんて、たかが知れているよ。 自分につく嘘に比べればさ。 嘘をつくのは得意だろ? 自分自身さえそうやって、騙し

          オオカミ少年の真実 その7

          オオカミ少年の真実 その6

          ナドレの葬儀は慎ましやかに行われた。 村の人たちは一緒に悲しんでくれた。 僕は意気消沈していた。 しかし、絶望の影は確実に忍び寄っていたのだ。 しばらくした、風の強い冬の日。 この村は相変わらず、食糧不足だった。 それでも、ヤックルは変わらず、いつもの「オオカミが出たぞ!」 の嘘をつき続けた。 その日の昼下がり、村の裏の方で、 火の手が上がった。 アイツらのリーダーの仕業だった。 自分の家に火をつけたのだ。 でも、なんていうか・・・アイツらへんなんだ。 狂った

          オオカミ少年の真実 その6

          オオカミ少年の真実 その5

          ナドレはあまり出歩いたりしなかった。 だから、村の人からしょっちゅうナドレのことを聞かれた。 「元気にしてるか?」「体調の方は?」とか。 僕のことなんて興味ないのさ。 だったら、お見舞いでも来ればいいのにさ。 果物でも持って、ついでに掃除や洗濯も手伝ってくれればいい。 しかし、そんなことをされて 僕とナドレの間に入ってこられても嫌なんだけどさ。 そのうち僕も一日家で過ごすことが多くなった。 僕も看病や、家事をして、家にいることが多くなった。 それは歓迎すべきことだ

          オオカミ少年の真実 その5

          オオカミ少年の真実 その4

          ナドレは戦争で家族を亡くしていた。 戦地に行き、負傷し、家に戻った時には、 彼の村は丸ごと焼き払われ、遺体だけがなんの弔いも受けず、 放置された状態だったそうだ。 胸が苦しくなるな。 なんで、人は戦争なんてするんだろう? 良いことなんてひとつもないのに・・・ 「戦争は儲かるんだよ!」ナドレは言った。 僕には言ってる意味がわからなかった。 都にいる人はみんなお金を持っていて、 食うに困る状況じゃないはずだ。 「なのにもっとお金が必要なの?」 「都にいる奴の大半は貧しい

          オオカミ少年の真実 その4

          オオカミ少年の真実 その3

          この神葉村の名前の由来は、 村の周りに群生する『神の葉』と呼ばれる植物からきている。 この葉をすり潰し、調合してできる薬は、 どんな傷や病気にも効く。 実際、件の僕の骨折も薬をもらい治療した。 そのため、遠くからわざわざ傷を癒しにくる人がいる。 そして、年に数回、この村から都の薬屋へ卸しに行く、 この薬は神葉村でしか作れない貴重なものだ。 だから、とても高値で売れる。 村の人たちは農業もやっているが、 主な収入はこの薬によるものだった。 元々、この村には名前なんてなか

          オオカミ少年の真実 その3

          オオカミ少年の真実 その2

          「おい!ヤックル!」 背中で声がした。嫌な声だった。 振り返ると、アイツらがいた。 ここは村から少し離れた丘の上、僕は一人になりたい時、 いつもここにきていた。 「何か用?」僕はうざったそうに、 (というか本当にうざったいんだけど・・・)言った。 「ここはオオカミが出るから来ちゃいけないんだぞ。」 アイツらのリーダーが言った。アイツら・・・名前は覚えていない。 僕は都合の悪いことは忘れるようにしている。 『アイツら』は僕にとっては関わり合いたくない存在だった。 ア

          オオカミ少年の真実 その2

          オオカミ少年の真実 その1

           よぉ、ヤックル・・・ 暗い顔して、どうしたんだ? 「また一人ぼっちになっちゃった・・・」 一人ぼっち・・・か・・・まぁ、仕方ないさ。 「悲しいんだ。」 ・・・・でも、 この結末は、ヤックルが望んだことでも、 あったんだろう?違うか? 「違うよ!『一人になりたい』って言ったけど、 嘘だった・・・ 確かにそう言ったけど・・・ 本当はそうじゃなかったみたいだ」 「村の人たちとはあんまり仲良く出来なかったけど、 みんな死んじゃって、 はじめて、悲しい、寂しいって思った

          オオカミ少年の真実 その1

          星語り その3

          やがて、 星の命は残り少なく、光も弱くなっていった。 それでもまだ、人には見つけてもらえず、 彼には名前がなかった。 神様は結果を与えない。 試練を与える。 腕を犠牲にしなければ、光り続けることはできない。 それでもやるか? はい。 このままではダメだ。今度は目を犠牲にしなければならない。 それでもやるか? はい。 今度は耳だ。二度と音を聞くことはできなくなる。それでもやるか? はい。 名もなき星の命は風前の灯でした。 それでも、彼は名前を得るために光

          星語り その3

          星語り その2

          しかし・・・・ 僕の意識はすぐに戻った。現実に戻ってしまったんだ。 結論から言おう。 『僕にはまだ名前がない。』 神様曰く、 「名前を決めるのは、私ではない・・・人間だ。 人間に見つけてもらって、 初めて君も名前を授かることができるだろう。 今の私は、支配者ではなく、あくまで傍観者なのだ。 君に名前をあげることはできないが、 そのチャンスをあげることはできるかもしれない。 そして、それを掴めるかどうかは、君次第だよ。」 とそんな感じのことを言っていた。気がした。

          星語り その2