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星語り その2

しかし・・・・

僕の意識はすぐに戻った。現実に戻ってしまったんだ。

結論から言おう。


『僕にはまだ名前がない。』


神様曰く、
「名前を決めるのは、私ではない・・・人間だ。
人間に見つけてもらって、
初めて君も名前を授かることができるだろう。


今の私は、支配者ではなく、あくまで傍観者なのだ。
君に名前をあげることはできないが、
そのチャンスをあげることはできるかもしれない。
そして、それを掴めるかどうかは、君次第だよ。」

とそんな感じのことを言っていた。気がした。
厳密には言っていたのではなく、「感覚として理解した。」
が正しいのだろう。

青い血を宿す星。地球。
そこにいる君はとても矮小で、覚束無い存在だ。
人間ってやつはさ。
いつだって、自分のことで一杯なんだな・・・
光も声も届かない・・・
言葉を交わすことは尚更ない・・・
それでも、僕はここにいると
伝えることはできるのだろうか・・・・


僕の命だって永遠じゃない・・・

それはそうか、空を見上げたって、お腹は膨れない。
裕福にはなれない。

結局、この地球ってところに来たって、
僕は僕のままなんだ・・・・

結局、相も変わらずの日々だった。


太陽系の星は、ほとんどは嫌なやつばかりだったけど、
中には親切な星もいた。

「君は名前がないらしいな・・・
でも、頑張っていれば、
きっと誰かが見つけて名前をつけてくれるさ。
だから、今は一所懸命に光を宿すことさ・・・

運が良ければ、星座にだって。」

「そうですか。
星座というものは、良いものですか?」


「あぁ、良いものさ。たとえ君が死んだとしても、
その名前も星座も残る。」

「おお、それは素晴らしいことですね。」

「ただ・・・気をつけろ。」

「何です?」

「あんまり夢中になって地球に近づきすぎると、重力に飲まれる。
井戸の底へと落ちて死んでしまう。」

「はい、気をつけます。有り難うございます。」

また、星にとっては辛く苦しい日々が続いた。

容赦なく、命の灯は影を縮めていった。


その3へ続く


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