書評 『体温と雨』木下こう(私家版)
本書を買うために、前から行きたいと思っていた小さな本屋を訪れて、どきどきしながらインターホンを押した記憶がある。
とは言いながら、本書を買うまでこの作者のことを僕は知らなかった。
今まで何度か行こうと思ったけどなんとなく行けなくて機会を逸していた冷たい場としての本屋、そのtwitterでおすすめされていた本書の紹介文と青や紫が目立つ表紙、それらが重なることで不思議な引力が生まれて、小さな僕を引き付けたのだなと思う。
そしてこの本を開けば、いつでもあの扉の前での心許なさを思い出