ポケミク18連作

2月21日から3月9日までの18日間、X（旧twitter）上で毎日公開していた作品をまとめたものです。
ポケミクとは、ポケモンと初音ミクのコラボイベントproject voltageにおいて生み出された、ポケモンの18タイプからインスピレーションを受けた、18人のポケモントレーナーの初音ミクのことです。
project voltage公式サイト

エスパーミク連作『鉛筆と旋律』

ヘッドホンを机に置けば教室の隅にチリーン揺れて朝礼

合唱は受け止めてくれるから好き私が弱ければ弱いほど

バトル学に筆記テストはいらないと言い張る友のボロボロの靴

数学の期末テストはケーシィに任せることにして星を見る

いにしえのうたを歌って泣いている君と一緒に泣くテレパシー

くさミク連作『Drum,Yell,Attack!』

ハネッコと一緒にはねる！意味のない応援なんてないと信じて

ドレディアとはなびらのまい！いつだって自分のペースで進めるように

陽だまりのニャオハのように華やいでチャームボイスよみんなに届け

祈りって届いたときに消えるから大丈夫っていい言葉です

情熱よ弾めや弾め蒼天にグラスフィールド広がってゆく

ほのおミク連作『魂極る』

沸々とした悲しさが溜まりゆく自主制作の伸びないMV

感情が熱気が音が溢れ出すゲームコーナーホールのバイト

破壊衝動とでも言おうかヒトモシの炎煌めく丑三つ時に

いつも側に魂がいて大の字の炎は猛る覚悟の証

灼熱のライブハウスに魂極るフレアソングは響き続ける

みずミク連作『海に歌姫』

泳ぐのが苦手な魚ポケモンに寄り添うことが私の役目

キャモメの影がはつらつと過ぎ日焼け止めクリーム塗ってくれる白い手

うたかたのアリアを君が歌うとき月の湖水を見ているようだ

釣り人を君に任せて干からびているメノクラゲを助けに向かう

海さえも一つの命　海神に捧ぐ二人のこのシンフォニア

でんきミク連作『Plasma Trickshow!』

鮮やかに稲妻走るフィールドで何人たりと飽きさせないよ

最後にはでんじふゆうのイリュージョン怖いものなど何一つない

休日もビリビリ行くよロトり棒持ってライモンドームを巡る

フラッシュ！静かな夜が明けるのを待つ暇なんて私にはない

The showmen must go onトリックを極め目映い王道となれ

ノーマルミク連作『爆恩派』

ノーマルにしか生きれないだとしても歌はとどまることを知らない

いいことがあるよタブンネの波動で頑張っている人も休んで

愛してる言わないなんて損してる日向で昼寝するエリキテル

ヒメグマが両手の蜜を舐めるように平和は一人ひとりが作れ

おかえりと言って帰ってくる君とかけがえのないおしゃべりをする

こおりミク連作『漂流』

今ここに来たことにしか興味ない機械に顔の写真を見せる

新しい取引先の担当の妙になれなれしいヒヒダルマ

先輩と一緒のサンドイッチ屋でまた聞かされるタツベイの比喩

素晴らしい弊社のノルマは氷山のようにホワイトボードに浮かぶ

メール打つ私を乗せるラプラスにハートのウロコくっついている

いわミク連作『オーロラをほどいて』

いんせきがふってきたよるオーロラがそらいちめんにかたまっていた

メレシーのような孤独に泣いていた少女はディアンシーの夢を見る

冷房を強く効かせたスタジオで投げたバトンが天井を打つ

心の中の尖った岩を払いのけ今ステージに歩き始める

オーロラをほどいて柔く身に纏うその咆哮は残響となれ

じめんミク連作『精霊のゴスペル』

太陽が熱砂の粒に反射するスナヘビたちの鼻息深し

嵐にて映える命の数多あり私は永き休息を取る

冷たさは静寂のごとしバクーダを引いて星夜の幻を征く

迷いたる人を残して歩み出すここより北へ向かえと告げて

精霊の歌は大地にボーカロイドの歌は大気に還ってゆきぬ

ひこうミク連作『風のハミング』

山風はずっと私のそばにいて耳元でハミングしてくれる

ムックルが合唱みたいに整列しそれぞれ違う歌をさえずる

姿が違うオドリドリたちが飛んできて互いに蜜の味を教える

ファイヤーを見たと噂が広まって雨後とり達の空は賑わう

柔らかい羽で私を包み込む君の元にも風のハミング

フェアリーミク連作『うたうゆめ』

ポケモンと出来ないことをしてみたいパフェを無限に食べまくるとか

君の歌で眠くなるのは私への信頼感が分かるからだよ

ポケモンと同じ言葉で話せたらもっっと一緒にいられるのにな

キュワワーにもらった花をバスタブに浮かべる生きるって祝福だ

夜だから君が最初に眠る番いっしょの夢でずっと歌おう

むしミク連作『さざめき』

むしを知ればさざめきさえも心地よい私もむしの歌を知りたい

色々なむしと話して来たけれどいまだに逃げられるコソクムシ

ビビヨンの翅の違いは気候の差だけどこうしてみんな集まる

ツチニンの抜け殻一つ落ちているどこかの星をさまよういのち

君はきっとさみしいときも鳴き声を奏でるんだね　満月の差す


どくミク連作『toxic labo』

ドラミドロドオードガースドヒドイデどうも道理は毒と同類

グレッグルイトマルビードルキラフロル滴る汁で知るマテリアル

モルフォンの鱗粉エンニュートの吐息朧夜に照るタギングルの絵

マルノームの胃袋の中スボミーが花開く夢ゲンガーの影

パンクロックパンデミックシーケンスハートスイーツオーバードライブ

ゴーストミク連作『無限暗夜の百鬼夜行』

始めから幽霊として生まれれば何を恨めば良いのでしょうか

この星に暮らす者から道連れにされたのでしょう醒め足りないわ

万聖節前夜の祝祭のように毎夜歌って踊りましょうか

霊が凍える無限暗夜には思い思いの百鬼夜行を

実体を持つ亡霊の囁きは明るい呪いになるでしょう

あくミク連作『護る者』

ジャズバーの舞台を降りて前室を越えてアジトへ続く階段

ファーコート黒いカウチに投げ置いて私のことは彼に尋ねて

チョロネコがこちらを測るように見て王冠ひとつ咥えてゆきぬ

狂信者共の歩いてきた道よされど私も私の僕

光さえ切り裂くような咆哮にただ守られるだけではならぬ

はがねミク連作『歌、巡る』

洞窟の先で出会ったさすらいのギアルが回るペースで歩く

ハガネール笛で起こせばお好みの採掘場へ運んでくれる

何回も旅の話をねだられてまだ古民家を出れないでいる

夢は叶うと言う少年を見送っていろんなメロディーをつけてみる

千年後君が目覚めるときのため一番好きな歌を知りたい

かくとうミク連作『葱がないと』

暁の練習場に一筋の光が差して砂埃舞う

葱がないと技に気合いが入らない　切れ味鋭いリーフブレード

葱がないと歌に気持ちがこもらない　腕をまっすぐ振るエルレイド

誠実な私を化かすスキャットを今日があるから明日もあるさ

その葱が枯れて初めて来た道を追想しようスターアサルト

ドラゴンミク連作『ミライの速度』

オンバットにリンゴをやれば私にも聞こえる音を返してくれる

命削るソウルビートはライバルの強い覚悟を認めた証

ドラゴンの長い命が尽きる日も私の歌は残ってしまう

強さとは好きでいること波となり電気に乗って世界を巡る

感情が君に増幅されている　ミライが更に速度を上げる

あとがき

ポケミクが動き出したのが9月で、その時からやりたいなとは思っていたのですが、色々な作品の公開がゆっくりだったので、ちょっと高をくくっていたら2月に入って公式のペースが急に速くなってきたので、焦って作り始めてみました。ほとんど作りためはせず毎日作ってました。
それぞれの連作で基本的にそれぞれのミクさんを主体にしたので、それぞれの個性を出せるように文体を含めて変化をつけるのを頑張りました。
それぞれのミクさんについて話せることもあるのですが、長くなるのでやめますね。

ここからはただのポケモン好きとして。
一番好きになったのはあくミクです。相棒のタチフサグマがネヅさんの時とはまた別の雰囲気でマッチしているのですごいなと思ってます。
元々どくミクが好きで、こちらもでんきどくタイプの相棒ストリンダーを組ませるのに実験好きなりかけいのミクさんにしたのは凄すぎると思ってました。
なので連作を作るのが楽しかったのもこの二人でした。どくミクに対してはもっと実験的な作品にしたくもあったけど、さすがに時間が足りませんでした。

作ってて楽しかったです！ポケモン、これからもよろしくお願いします。