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個人ネプリ『疎密欄』に寄せて

はじめに

『疎密欄』は2023年2月から3月にかけて配信された、僕こと枡英児の作品を載せた個人のネットプリントです。
この文章は、そんな『疎密欄』の制作や作品を振り返りながら書いた文章です。
現在はPDFでご覧いただけます。A3用紙推奨となっていますが、可能な方はぜひ印刷して至る所までお楽しみください。

『疎密欄』PDF

タイトル『疎密欄』について

疎密欄というタイトルは、オリジナルの言葉です。この言葉は「疎密」の部分と「欄」の部分に分けられることが想定されています。
「欄」は新聞の文芸欄のようないろいろな作品がごちゃまぜになった一枚をイメージしていたので、それに寄せるような形で名付けました。多いは楽しいだと思います。
「疎密」は疎密波で使うように密集したところと空いているところの両方があるという意味がある用語ですが、必要ではないものがたくさん詰まった作品集という意味も込めて名付けています。

各作品について

タイトルの説明でも話したように、いろいろな種類の作品集を載せました。
ここからは各作品について、内容の直接的な言及はせずに少し話したいと思います。
本編を見たほうが絶対に楽しめる内容だと思うので、繰り返しになりますがぜひ一度ご覧になってください!

短歌連作①

最近の作品の中から、自分では気にいっているけれど連作には入れづらいなというものを寄せ集めて連作を作ってしまいました。
まさしく粗密欄といった感じだと思います。
そんなわけで歌同士に全く関連を持たせていないつもりです。
今まで連作を作っているときにはある程度テーマを決めてそれに合うような歌を集めたり作ったりすることが多かったのですが、この連作のように好きな歌を寄せ集めて作る連作もそれはそれで味があって面白いかなと思いました。
次の新人賞はそんな感じで作ってみようかなと。まぁそういうのが評価されるのかどうかはあんまりわからないですが。

川柳

川柳は、最近読むのも作るのも少しだけハマっています。
本当にただただ言葉だけがある感じが僕に合っているのだろうなと思います。
とは言え、今回は僕がこれまでに作ったおよそ川柳30句の中から、テーマが近しいような20句を選んで連作にしました。
ちなみに、川柳にハマったのは暮田真名さんの『ふりょの星』を読んだ影響が大きいです。
七七の句の存在を知ったのもこの本を読んでからで、連作にも特徴的に挿入しています。

短歌条例

僕が短歌を好きなところは何といってもその韻律によるところが大きく、連作①の感じからしたら説得力がないかもしれませんが、そんな僕にとって短歌条例は好きな表現方法の1つです。
今回の作品群の中で1番不穏な雰囲気の作品になっているかもしれませんが、僕としてはただ単純に短歌条例の中でループをやってみたくて考えていたらこういった形になっただけです。
ちなみにこれも余談で、今回のようないろいろな作品の詰まったネプリを作ろうと思ったのには、ねむけさんの『フルーツネムケット』と言うネプリによる影響がとても大きくそしてそのネプリにも短歌条例が入っていたのですが、それを読み返して想像以上に長くて驚きました。
長さは純粋に良さだと思ったので、今度作るときはもっと長い短歌条例を作ろうと思います。

コント

コントを書きました。小説でも戯曲でもなく、コントです。
お笑いが好きですが、さすがにコントを作ったのも初めてです。
実は今回の作品群中で、一番こだわった作品かもしれません。
無駄なセリフがほとんどないように作ったつもりですが、オチ前の会話はコントの中に漫才っぽいやりとりを入れたくなって蛇足と思いながら入れました。
あと、コントとは書いていますが、実際にこれを演じているところを見るよりも、文章として読んだ方が面白いように意識して作ったつもりなので、そういうところも楽しんでもらえるとうれしいです。

短歌連作②

僕は短歌を作っている人間なので、短歌連作がもう1個あってもいいと思って、最後にもう1つの連作を入れています。
そしてこれはTwitterでお題を3つ集めてそれを読み込んで連作を編む企画、三題短歌としてつくりました。
ちなみにその題とは、「みかん」「参考資料」「絶対零度」です。お題をくれた3名の方々ありがとうございました。

この3つの題をもらってどんなテーマで連作を作るか考えたときに、自然と僕の仕事のことが浮かんできて、今までそんなことを思った事はなかったのですが、初めて自分の仕事で歌を作ってみようと思い、なんか作っていました。少し気恥ずかしいです。
一応、一連の歌はフィクションだと言っておくことにします。(守秘義務があるので)
思い切り冬な連作なのですが、全国的にすっかり春なんですね。
こちらはまだまだ冬です。と思ってたら今日はだいぶ暖かかったです。少し間に合いませんでした。

ナンバープレイス

僕の地域の新聞の文芸欄には週替わりでパズルが載っていて、載っているものだと思っていたので、今回のためにナンプレを自作しました。
数字が入っている部分が57577になっているのですが、気づいてくれたでしょうか。
そして難易度を少し難しめに作ったつもりでしたが、皆さん解けましたでしょうか。
紙面に余裕がなかったため答えを載せることができなかったので、こちらに回答を出させていただきます。

解けなかった方もためにヒントを書いておくと、ナンプレの少し高度な解法「Xウィング」を使うと良いかと思います。

ちなみに、ネプリにかけた作業量の割合は、文章5:編集1:パズル4です。

自己紹介

作品ではないですし、ここは要素のネタバレに繋がることを含むのですが、共有したいと思ったので書いてしまいますね。

ChatGPTは疎密欄の作成にあたって初めて触れたのですが、楽しいですね。娯楽としてとても優秀だと思いました。
一応言うと、敬体の部分が僕で常体の部分がAIです。
ネプリにも載せた文章をそのまま書いてこれに続く自己紹介の文を代筆してくださいというように送ったら、最初はChatGPT自身の性能について話し出したので、色々伝えて条件をつけたりと調整して何度目かの出力を使用しています。
それでも細かく指定したわけではないんですけど、僕が絶妙に言わなさそうな感じだったり、常体にすることで境目が分かりやすくなったりと、本当にちょうど良い感じになったなと思います。何より休日はベッドの上でゴロゴロして過ごすので言い当てられて面白かったです。

ちなみに、トリデプス街裏ぴんくペアノの公理がわからない方はこちらを見てみてください。

編集について

がんばりました。
素人の仕事なのでこれがいいのかは分かりませんが、少なくとも読みやすいものになっていればいいなと思います。
また余談として、僕のネプリは絶対にセイコーマートの印刷機でも出力できるように登録しようと思っていましたがうまくいきませんでした。
その原因として、使用したフォントがあります。
作品以外の部分は、新聞っぽくなる様にデフォルトのフォントではなく無料のフォントをダウンロードして使用していたのです。
おそらく複数のフォントを利用していたせいで印刷画面上でうまく読み込まれず、なくなくセイコーマートでの登録を諦めました。

最後に

他の形態も含めて、僕の作品集を作ったのはこれが初めてなので、ひとつのまとまった形で発表できたと言う安心感と喜びを感じているところです。
今の自分の100%近くをこのネプリに注ぎ込むことが出来たのではないかなと思います。
発表してから数日経って、僕はしっかり他の人に作品を見られたいと言う気持ちを持っていたのだなと実感しています。
見てもらうためにも、コンスタントにいろんな方法で気軽に作品を発表していきたいですね。
この文章も最後まで読んでいただきありがとうございました。
よければみなさんの感想も教えていただけるととてもうれしいです!

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