2022年の抱負と

枡英児

0.新年の挨拶

あけましておめでとうございます。
2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

1.はじめに

2021年も新型コロナウイルスの影響が根強く残っていたが、後期には全国での文学フリマをはじめとした対面でのイベントも再開し、現行のオンラインイベントと合わせて活動が多様になっている。(*1)魅力的な歌集も多数出版され、界隈としても充実した1年であったと断言しても良いだろう。
個人的にはあらゆる面で結果を出せず不甲斐ない一年だったと感じている。とはいえ客観的に見たら前向きな要素もあったとも感じているので、昨年の目標をベースに振り返りをし、また今年の目標を定めることで短歌への取り組み方を再考し、活動に活かしてゆきたい。

2.昨年の目標の振り返り

昨年の目標をひとつづつ振り返る。(*2)

2.1.投稿する

まずは昨年の投稿に関しておさらいする。昨年の投稿の実績は、短歌研究新人賞、角川短歌賞、歌壇賞、笹井宏之賞、粘菌歌会、うたらばであった。新人賞の結果に関しては結果が出ていないものもあるがあらかたお察しである。とはいえ定期的に作品を作り4つの新人賞に作品を提出できたことは、今年一番の収穫だったと考える。作品自体の出来としては、笹井宏之賞以外は投稿時点で納得ができる作品ができた。ひとまず及第点とも思えるが、笹井宏之賞では満足がいく作品ができなかったことは後悔の種でもある。加えて、作品を洗練させていくための努力ももっとしなくてはいけないのだろうと感じるところであった。
粘菌歌会とうたらばのネット投稿に関しては反省が多い。まず採用作は昨年は一つもなかった。加えて当初は毎月応募しようと考えていたのだが、実際は半分ほどしか応募できなかったと思われる。毎回採用がなかったことで落ち込み続けていたが、十分な準備ができていないというのが実際の所だろう。目標と意欲・活動内容に乖離があったのだろうと推測できる。

2.2.書く

これは明確にできていなかった。毎週の投稿は4月で止まり、記事の投稿がちょうど6か月止まってしまっていた。(*3)今現在この記事の筆がなかなか進まないことも、その事実を明確に表しているといえる。
ただこれに関しては確実に理由があって、ひとつは書くのに時間がかかりすぎてしまっていたこと。もうひとつはパソコンの調子が悪く、重くなったり記事が消えてしまったりすることがあったこと。そういった影響があり、書く意欲を維持できなかった。とはいえ、私は飽き性だということが分かっているので、目標設定時の毎週投稿という設定に無理があった事が一番の要因と考えられるだろう。

2.3.繋がる

繋がれたと感じる出来事を一通り挙げてみたい。数回のオンライン歌会の参加、アルデバラン歌会の司会、2度の無法歌会の主催、文フリ札幌への参加、アルデバラン歌会フリーペーパーの参加、雨とランプへの訪問、以上である。(*4)
これを多いと考えるか少ないと考えるか、一般的に見れば少ない方かもしれないが、個人的には私にしてはよく機会を持てた方だと考える。そして回数よりも強調したいのは、次につながるような縁を作れたことだろう。無法歌会は2度開催することができ、ありがたいことに参加していただいたり告知を手伝っていただいたりする方に恵まれた。無法歌会が初めての歌会だという方もいらっしゃって、そのような機会を作れたことも嬉しく思う。また、文フリ札幌と雨とランプさんの訪問と、リアルでの交流の機会も次につながるような交流だろう。確かこの目標を立てたときに意識していたのは札幌での活動だったため、それを実行したことは大きく評価したい。

3.考察

昨年の目標の中で達成できなかったものに関しては、目標設定時の見通しの甘さが原因であったように思う。もちろん努力が足りていないということもあるのだが、努力不足で片づけるよりも自分のことをよく考えて適切な目標を設定する方が建設的だろう。つまり、何をしたいのか、何を成し遂げたいのか、そのために何ならできるのか。実際の行動をベースにして本年の目標を立てていくのがよいと考えた。

4.本年の目標

そこで、本年の目標を例年通り3つ立てようと思う。

4.1.披露する

昨年は自作を歌会以外の場でほとんど見てもらえなかったことに対しての寂しさを大きく感じた。新人賞に応募した歌は今後も使いたいためストックに回しているが、自分が本当にいいと思っているいわゆる本気の歌を見てもらえていないというストレスは自分で認識する以上にあるのだと思う。そのため今年はより良い歌を多くの人に見てもらうことを目標にして1年間頑張っていこうと思う。なので今年も新人賞への投稿は続けたい。ただ新人賞に関しては頑張りは報われるという言葉は通用しないので、披露することへのウェイトを新人賞や投稿に依存せずに他の方法も作りたいと思う。具体的には、自分のSNSでの投稿、短歌結社への参加、作品批評会への参加などを考えている。またnote記事の投稿も続かなかったとはいえ、自分らしく趣向を凝らして書くのは性分に合っていたと感じたので、引き続き行えたらいいと考えている。

4.2.読む

短歌を作ることに関しては私の生活のひとつとしてなじんでいる実感があるが、読むことに関しては昨年はあまりできなかったと思う。それは自分の中の短歌観がある程度作られ始めており、それに外れるような歌を面白がれなくなっているのを感じていることが大きいと思う。歌会でも面白がれる歌が減ってしまっていることを痛感することが何度もあった。やはりそれは悲しいことだと感じるし、自分の歌が制約に縛られてしまい成長が止まってしまうという方向でも影響が出るのではないかとも危惧しているのだ。
なので具体的な達成の方法としては、毎月歌集を○冊読むといった方向性ではなく、ネットの作品などもカジュアルな気持ちで読み、少しだけ歌を味わう時間を取っていいところを感じるというように鑑賞することを意識するような方法を挙げようと思う。またこれまでは自分の好きな歌をメモするということをほとんどしなかったので、Twitterで一首評などをするのもよいかもしれない。

4.3.洗練する

3つ目は非常に迷ったが、あえて実際に行動するのが難しい「洗練する」を挙げようと思う。洗練したいことは2つあり、ひとつはもちろん自分の歌、そしてもうひとつは自分の短歌観である。
まずは自分の歌について、とてもいいと思う短歌ができたとき、私は心地の良い余韻に浸ることができる。が、その感覚は月に2回あれば多い方で1度も無い月もあるというのが現状である。ならば、自作を推敲していかないと何度も挙げている新人賞も現実的ではないのは一目瞭然である。推敲は苦手なのだが、未発表の自作も溜まってきているので、力を入れて取り組みたい。
もうひとつの自分の短歌観について、この短歌観に関して4.2で形作られていると書いたが、これに関しても自分のフィルターだけを通して残った価値観だと実感している。(*5)また、自分の短歌観を他の人に話したことは一度もないのではないかと思う。つまり、自分の短歌観を洗練させるため、他の人と短歌について、色々な歌や作者の良いところ、短歌を作る喜びや辛さ、そういったことを話す機会を作る、また話せるように自分の価値観をよく見つめ直すといったことをしたい。そのために昨年よりもさらに他の歌人との繋がりを大切にしようと思う。

5.おわりに

昨年はあまり活動ができなかったと感じていたが、年末に2021年の自薦5首をまとめている際に思ったより短歌を作っていることを認識することができた。分かりやすい形で自分の成長や成功を実感することはほとんどないが、確実に成長しているのだと思う。
本年は仕事など他の面でも「やる」1年にしたいと考えている。なので短歌も充実したものになるよう、自分なりに地に足を付けて活動をしたい。

いろいろ頑張るのでよろしくお願いします。ぜひ仲良くしてください。

6.参考(*6)

*1:文学フリマ 公式サイト
(bunfree.net)
*2:2021年の抱負と|枡英児|note
*3:枡英児の投稿は2021年7月11日の文章力定期検診を最後に更新が止まっている。
枡英児|note
*4:「雨とランプ」は札幌の琴似にオープンする大きな本棚のある美容室。店主の久石ソナさんは2021年に第一歌集『サウンドスケープに飛び乗って』を上梓した。
札幌の美容室「雨とランプ」|note
*5:もちろん自分の短歌観には歌人の歌集や歌会での評といった他人の影響も多分に含まれている。例えば、一番初めに読んだ歌集『最初からやり直してください/宇野なずき』は今でも大きな影響がある。
*6:論文 書き方(画像検索)

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