パンデミックの最盛期、旅が出来なかった期間、私は一台のコンパクトデジタル・カメラと常に一緒であった。このカメラで4K動画を沢山撮り、会えない日本の家族と親類に、この町の四季を見せようと駆け回っていた。
しかし、家族は(町内会活動等に走り回っているため)インターネットさえも滅多に使用せず、動画を鑑賞する習慣も無い。私は動画を撮ることを止めた。そして、ミラーレス・カメラを購入したと同時にこのコンデジ・カメラを娘の一人に譲った。
八か月ぶりに再会した娘は、このカメラを二回しか使っていないと言う。携帯電話の方が彼女にとっては使いごごちが良いのだそうだ。
それならば、と返してもらうことにした。一旦人に譲り渡したものを返してもらうと言う行為は好まないが、
このコンデジは、私が何度も石畳に落としてしまっても、健気に頑張ってくれていた。リタイアするにはまだ早すぎる。
そして、先週末、バルト海沿いの庭園へ長距離サイクリングをした際に、昔のようにこのカメラを一緒に連れて行くことにした。
カメラ懐古談にお付き合い下さり有難う御座いました。