見出し画像

【不定期連載】後輩のお悩み相談室③〜落ち着かないクラスへの声掛け


お悩み相談は、肩こりをほぐすマッサージに似ている。

これは、夫婦生活15年になる
妻のマッサージをしながら、
よく連想していることです。

肩周りはもちろん、
首筋や背中、腰のあたりまで、
全身を触診しながら、
妻が「あー、そこ!そこをぐりぐりしてー!!」と歓喜の声をあげたスポットを
重点的に押してあげると、
妻も喜び、僕も少しだけ誇らしくなるのです。

プロならいざ知らず、
僕みたいな専門外の人間は、
マッサージを共同作業だと捉えています。

相手の反応やリクエストに絶えず応じる形で、
ツボをほぐしていくイメージでしょうか?

お悩み相談も、
「回答者(解決する人)」と
「質問者(課題のある人)」という
明確に区分けされた役割で考えるのではなく、
一つの「お悩み」を
二人で一緒に、
あーでもない、こーでもないと
考えていったほうが、
(仮にお悩みが解決できなくても)
二人の関係性は濃く強くなります。
それなら、それで結果オーライだな、と。

ひょっとしたら、
僕たちが抱えている課題に対して、
一発で解決に導く処方箋があるかもしれません。

いや、たぶんあるのでしょう。
だけど、それでたちまち問題がなくなると、
実は、それが原因で、
僕たちの関係性が壊れていくってこと、
よくあるんですよね。

実は、お悩みや課題を共有することで、
私たちはつながっているんです!

さて、毎回、前置きばかりが長くなるので、
そろそろ本題に入りたいと思います。

前回までのあらすじ

異動して今は別々の職場で働いている
後輩から、

自分が担任しているクラスが落ち着かない。
授業中、携帯をいじくる、居眠りする、
おしゃべりするなど、
集中しない生徒たちが3分の1いる。
どのような声掛けをすればいいか?
枝瀬のアドバイスを聞きたい。

そんな相談がありました。

詳しくは下記の記事をご参照ください。

大切な視点

悩みを聞き、
彼女の感情も一通り受け止めたと思えたとき、
僕の中で(おそらく彼女が気がついていないであろう)ツボが見えてきました。
そして、どうしても、
そのツボを押したくなりました(笑)

それは、

当人たちはどう思っているんだろうね??

という質問です。

そして、ずっと疑問に思っていた内容を
ぶつけてみました。

・落ち着きのない生徒たちは、
 なぜ落ち着かないのだろう?
・授業がつまらないのか?
・先生に反発しているのか?
・あるいは全く内容が理解できないのか?
・親や友達との人間関係がよろしくないのかも
 しれない

・クラスの学級委員、リーダーはクラスを
 どうしていきたいのか?

・3分の1の生徒は落ち着かないというけど、
 じゃあ、3分の2の多数派は
 どんな思いでいるのか?

要するに、彼女の話を聞いていると、
彼女の担任としての
考えや悩みはよく伝わってくるのだけど、
肝心のクラスの生徒一人ひとりの思いというか、
生の声がいまいちわかってこなかったのです。

少なくとも僕と同じ職場のときの
彼女は(何度も繰り返しますが)
熱心で生徒思いの教師で、
一人ひとりの生徒をよく見ているし、
厳しい指導も臆さずできる、
今どき珍しいしっかり者です。

でも、異動した先は、
当然ながら生徒の質も、同僚の質も変化します。

ざっくばらんにいえば、
彼女にとって、
今の生徒たちが「物足りない」ように
感じられたのかもしれない、
そういう印象を僕は受けました。

目の前にいる生徒たちは、
彼女にとって「当たり前のこと」が
全然できません。
そこに彼女の悩みのツボがあるように
思えたのです。

でも、それはあくまで
「彼女」が主役の考え方、捉え方であって、
それでは、らちがあかない。
学校は、
言うまでもなく
「生徒」が主役なのだから。

彼女が変化していく

僕との会話の中で、
彼女自身も、そのことに気がつき、
今までとは違う内容の発言を
口に出すようになりました。

・生徒たちは現状に満足しているかもしれない。
 →でも私はそれで満足なんてしてほしくない。
・今の生徒たちは高校生じゃない。
 まるで小学生みたいだ。
 →でも、小学生なのだとしたら、
  私もそこに合わせていけないのかも
・私の要求するラインばかり押し付けている
 から、うまくいかない。
・生徒たちの許せる、許せないラインを
 まずは知るところから
・一番よくないのは、
 私がイライラしていることなのかも
・余裕がなさすぎた
・期待しないようにしよう。
 期待するから裏切られる。

会話の流れが一気に変わって、
彼女自身が思ってもみない感情を
発見した瞬間でした。

そういえば、
今の彼女にちょうどふさわしいアドバイスを
先日、noteに投稿したばかりだったなあ、と僕
も思い出し、その内容を伝えました。

下記コラムをご参照ください。

電話は30分ほどで終了しました。
放っておくと、長話になるので、
あらかじめ、30分くらいにしようね、と
約束していたのです。
(お悩み相談は、あらかじめ時間を決めておくことがオススメ)

いずれにせよ、
彼女のクラスの課題は一朝一夕には
解決しないと思いますが、
でも少なくとも彼女の心境は、
僕との共同作業で、
ほんの少しだけ変わりました。

この「ほんの少し」の変化を
(共同作業者として)
僕は、めいいっぱい喜びながら、
彼女のこれからを応援していきたいと思います。

また続報がきたら不定期ですが、
ここに記したいと思います。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました!
これを読んでくれたあなたに、
少しでもお役に立てたら嬉しい限りです。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?