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カンケーを楽しむ、カンケーから育つ②

関係づくりは「順番」が大事

前回のコラムから、
「私たちは『関係』を生きている」というお話をしています。

クラスや部活動、人が二人以上になって
「関係」の生じる集団になったとき、
その集団の雰囲気・ムードは「土」と一緒。

その集団の雰囲気、ムードがよく肥えた栄養たっぷりの土壌であれば、
良い作物がすくすく育ちます。
その逆で、その集団の雰囲気、ムードが劣悪なものであれば、
どんな良い種を撒いても枯れて、終わりです。

私たちが生きる関係性の質、
これをよくすることが、
そのグループの中のメンバーを
やる気元気本気で、いきいき育てる必要条件といえます。

関係性が良好なら、
メンバーの「思考」の質が高まり、
メンバーの「行動」の質がたかまり、
メンバーの出す「成果」が良くなります。
「成果」が高まるので、
いっそう、メンバーの「関係」の質もよくなる。
そんな好循環のサイクルが回り出せば、
ぐんぐん生徒たちは(自ら勝手に)成長しだします!

関係性に着目し、
関係性を手入れすることは本当にオススメ!!

さて、そんなわけで、
関係性の質を高めていきたいわけですが、
その前に大切な視点を、僕は過去にメンターから教わりました、
それは、「順番」です。

これは、関係性に限らず、
なにごとにおいてもあてはまることではあるのですが、
「順番」を意識して実践するって、
ものごとを順調に進めるための秘訣。

たとえば、
料理の下ごしらえを怠ると、味が落ちますよね。
運動もウォーミングアップをしないとケガにつながります。

くどいですが、
関係性づくりも、順番を大切にしてください。

さあ、では、関係性を良好にしていくために
僕たちが、まず初めに取り組むべきことは・・・・

・・・・

「約束づくり」!

です。

これは「ルール」と言い換えてもいい。

やり方は以下の通り。
 
 ①その集団内にいる全メンバーに個別でアンケートをとる。
 ②アンケート用紙をもとに1on1で話を聞き、思いを受け止める。
 ③全体ミーティングし、約束事を「言語化」する。

時間と手間のかかる作業ですが、
このプロセスを大切にするか否か、で
その後の集団のムード・雰囲気は一変します!

説明しますね。

①その集団内にいる全メンバーに個別でアンケートをとる。


アンケートでは主に
 (1)あなたにとって理想の集団はどんなものですか?(状態)
 (2)あなたにとって理想の集団はどんなことをしていますか?(行動)
 (3)あなたにとって望ましくない集団はどんなものですか?(状態)
 (4)あなたにとって望ましくない集団はどんなことをしていますか(行動)
を聞きます。

「理想の集団」と「望ましくない集団」を「状態」と「行動」の観点から、
箇条書きさせていくのです。

どんな生徒も、過去に集団に属していたことがあるはず。
クラス、部活、委員会。
もちろん、家族や、その他の集団も含めて、
今まで帰属していた集団を思い浮かべ、
「理想」と「望ましくない」に仕分けしていくイメージです。

これをまず、アンケートで書かせます。

②アンケート用紙をもとに1on1で話を聞き、思いを受け止める。

その上で、一人ひとりと面談をしましょう。

アンケートでは書ききれなかった思いがあるかもしれません。
面談する中で、新しく引き出される観点もあるでしょう。
低学年だとうまく自分の気持ちを言葉にできなかったりするので、
そこは教師が質問してあげるといいと思います。

それらをまた拾い出してアンケート用紙に加筆していきます。

そして全メンバーと面談を終えたら、
そのアンケート用紙の結果を全体にシェアします。

参考までに
僕が去年、ある部活の立ち上げのときに
まとめた用紙をシェアします。

これは8名のメンバーのアンケート用紙を、
匿名で重複を避けながらまとめました。
(匿名のほうがいいと思います)
これが全体ミーティングの資料になります。

③全体ミーティングし、約束事を言語化する。

仕上げに、全アンケート結果を
事前に読ませた上でミーティングを行います。
一人ひとりの考えや思いを生徒たちは
熱心に読むものです。
その上で、たとえば
「◯◯部理念」および「約束事5か条」
なんてものを作らせます。

これは、生徒たちに自ら作らせます。
生徒たちの言葉を尊重します。

先述した部活動立ち上げの際、
8名のメンバーは以下のような
「理念」および「約束事5か条」を作りました。

【理念】
「協調性を大切にしてコミュニケーション能力を育んだり、礼儀を身につける。県大会優勝を目標に掲げて、大会に向けて楽しく練習の取り組む」

【約束事】
 (1)一人ひとりが部員としての意識を持ち、
    全員で同じ目標に向かって活動する。
 (2)報連相を大切にする。
 (3)時間を守って行動する。
 (4)意見を言いやすい空気を一人ひとりがつくる。
 (5)一日のノルマやルーティンを決めメリハリをつけて
    有意義な活動をする。

これ、やってみると、
最終的にできたものは
ごくごく常識的な、
普段の学校で目にするスローガンやルールの類になります。
多分、1時間の学級の話し合いでも、
このレベルの内容は作れるでしょう。

でも、①〜③までのプロセスを経て、
生徒も大人も思う存分話した上で完成した言葉には、
重みが宿るといいますか、
自分も約束づくりに関わったんだ!
という自覚がありますので、
大切にしようとする度合いが変わってくるんですね。

①〜③をたとえば40人クラスで作ろうとすると
面談時間にもよりますが、
2〜3週間はかかると思います。

でも、それでいい。
それがいいと思うのです。
そのくらいの時間をかけて取り組む価値のあることです。
関係性づくりは順番が大切で、
スタートアップに最も尽力するべきなのです。

拙速で、ありふれたスローガンを掲げるよりも、
じっくり時間をかけて対話の末に完成したスローガンは、
確実にメンバーの共有物になっていますから。

大切なのは「プロセス」。
手間暇かけて、対話を重ねて、
私たちは「約束事」を作ったんだ!という感覚。

それが「関係性」を形作る上での土台になります。

この「理念」「約束事」は作っておしまいではなく
定期的に話し合いをもうけて見直しをするといいでしょう。
僕は半年に1回、必ずブラッシュアップの時間を設けています。

今日はここまで。
次回から、さらに細かく具体的なお話をしていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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