マガジンのカバー画像

素敵な映画評・映画論

6
タイムラインでお見かけした素敵な映画評をまとめさせていただきました。
運営しているクリエイター

記事一覧

キャラの価値観とどうして私は煉獄さんで泣いたかの話

キャラの価値観とどうして私は煉獄さんで泣いたかの話

煉獄さんみた?

私は見た。泣いたよね

泣いただけじゃなくて「キャラとは何か」ってヒントを得たんだ。せっかくだから書くね。

キャラは価値観
結論から言うと「キャラとは価値観」だ。価値観っていうと難しいけど「何を大切にしているか」ってことだ。

「キャラとは反応だ」という説がある。確かにそれも一理ある。

怖がりのキャラがいるとする。道端に落ちてる手袋にも怖がってたらそれは確かに「怖がりのキャラ

もっとみる
「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎

「鬼滅の刃」の謎 あるいは超越論的炭治郎

※ 本論は12月9日に開催されたゲンロンカフェのトークイベント「伊藤剛×斎藤環×さやわか 『鬼滅の刃』と少年マンガの新情勢」で述べたいくつかの論点の備忘録として書かれた。ネタバレについては一切配慮をしていないので、原作未読・アニメ未見の方には注意を促しておく。

「鬼滅の刃」のわかりやすさ

 「鬼滅の刃」(以下「鬼滅」)が空前のブームを巻き起こしている。アニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」は公

もっとみる
Dancer - Sergei Polunin

Dancer - Sergei Polunin

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(映画)

間違いなく今年観た映画の中で最も記憶に残る一作となった。僕はそもそもこういうドキュメンタリー映画が好きということもあるのだけど、それでも本作は素晴らしい。映画館に行けないかもしれない人はこの動画だけでも見てほしい。

映画のテーマはこの時代で最高のバレエダンサーとされるセルゲイ・ポルーニンのこれまでの生涯(といっても彼はまだ27歳)。彼の

もっとみる
真夏に見たくなる映画『風立ちぬ』––美しさと“狂気”は紙一重

真夏に見たくなる映画『風立ちぬ』––美しさと“狂気”は紙一重

国民的アニメ、ジブリ。

ジブリと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ラピュタや千と千尋、耳をすませばあたりかなあと思うのですが、そんななかで私が最も好きな映画が、『風立ちぬ』。

宮崎監督の最後の作品(たぶん)ともあって、色々と賛否両論なこの作品。切り口もたくさんあって、好きなくせに何が好きなのかよくわからなくて、私にとっては非常に語りにくい作品でもあります。

何回か見て思ったこと、それはこの映画は

もっとみる
宮崎駿監督「風立ちぬ」の感想:神を振り向かせる死の舞

宮崎駿監督「風立ちぬ」の感想:神を振り向かせる死の舞

この感想文は宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」公開時(2014〜2015)にFBで投稿した内容を若干修正したものです。「風立ちぬ」の初見時、私は映画館の座席から立てなくなるほど心を揺さぶられてしまいました。その後、公開終了まで6回ほど映画館に脚を運ぶことになります。

なぜ、私がこの映画にここまで惹かれてしまったのかを自分なりに考えてFBに投稿したのが以下の文章です。この映画のとある登場人物の描写を称賛

もっとみる
映画「風立ちぬ」と義父

映画「風立ちぬ」と義父

ジブリ映画「風立ちぬ」が昨夜、テレビでやっていた。
公開当初、映画館で鑑賞し、これは私よりは義父が観るべき映画だと強く思った。
義父は昭和3年生まれ。
3年ほど前に亡くなったが、頭脳は終生、聡明だった。

以前、「風立ちぬ」がテレビ放映された時に録画して義父にDVDを渡した。
飛行機好きの義父がどんな感想を話してくれるか楽しみにしていた。
ところが、義父の反応は妙に冷ややかだった。
あれ?本当に観

もっとみる