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本探しが苦手な人向けの本探し端末を考える

書店で本を探すのが
苦手なのは
私だけでしょうか?

 文庫版の小説なんか尚更です。

 作者名もタイトル名も出版社名もメモ帳に控えてから書店へ行っても見つけられません。書店によって陳列も違い、出版社順だったり、あいうえお順(本のタイトルだったり作者の名前だったり……)だったりと色々と差異があるので難易度をより上げてきます。

 最近はデスクトップPCのような端末が書店内に置いていたりして、タイトル等を入力すると『○○番の棚にあります。』と紙切れが出てきたりもするのですが、その文明の力を持ってしても目当ての本が出てきません。紙切れに書かれた棚を何往復しても目当てのタイトルが書かれた背表紙が無いのです。

 最近は端末も撤去されるようになり、アプリで探すように誘導されてしまい、外出時にスマホを持ち歩かない派の私には、本探しの難易度がより一層高くなりました。

 最終手段として店員さんに
『この本ってどこにありますか?』
 と問えば、さっきまで血眼になって探していた棚から当たり前のように出てきたりします。

 先週も40分ほど本を探して、アプリでも見つけられず、店員さんに探していただいたところ、さっきまで私が血眼になって探していた本棚の横から、ものの30秒ほどで見つけてくださりました。

 本探しが苦手な人間は私だけでは無いはずです。

 本探しが苦手なら、書店を変えれば良いじゃない。と私の心の中のブックス・マリーアントワネットが囁き出したので、考えてみることにしました。


タワーパーキング式
本探しマシンの可能性

 タワーパーキングみたいな方式で書店を作れないかなと思うのです。

 巨大な本専用の倉庫を作って、入り口に端末を設置します。倉庫側と端末側は壁で隔てた方が良いと思います。
 欲しい本のタイトルなどを入力して最終決定をすると、端末の向こう側の倉庫でロボットがピッキングするという方式です。

 必要な本が揃ったら、入り口側の端末の横にシャッターか何かを設置して、そこから取るというシステムです。

 タワーパーキングや紙パック式の自動販売機、或いは回転寿司の注文レーンに近いシステムの書籍バージョンになります。

 これだと、本を探す時間も割けますし、決済をキャッシュレスのみにすれば、倉庫内で書籍を補充する人員の身を雇うだけで良いので(本をピッキングするマシンのメンテナンスは開発企業で実施する前提)人件費も節約が可能です。
 既存の書店で取り揃えている本の数で一般的なの顧客の必要とする書籍は賄えると思いますし、新規に建物を建設する必要性も薄いと考えられます。そもそも、タワーパーキング式書店の場合は“顧客の歩くスペース”を考慮する必要が無い為、既存の書店の建物により書籍の棚を配置する事が可能となり、より多くの在庫を置くことも可能です。

 しかし、お客様が何人も一気に来店して書籍を探し出した、或いは同じ本をほぼ同時に注文されたらどうすべきかという点や、端末を置く台数、本の取り置きの対応など検討するべき点も多くあります。


配膳ロボット式
本探しマシンの可能性

 タワーパーキング式書店を考えている内にデメリットに気がつき、何か別の一手は無いかと考えました。

 配膳ロボット式本探しマシンを思いついたのです。

 今やファミリーレストランなどでお馴染みのネコチャンに代表される配膳ロボットですが、彼らも本探し端末になれる可能性を秘めていると考えます。

 従来通りの既存の書店に配膳ロボットを配備し、何かしらの方法で探している本の情報を入力します。すると配膳ロボットがその本を置いている場所まで行き、ロボットアームで本を掴みそれを届けてくれるというシステムです。届けるまでしなくても、本の情報を入力し、書籍を置いている棚まで案内して本を掴み取ってくれるという形でも良いでしょう。こちらであれば、本命の本は配膳ロボットに頼み、ついでに書店内をグルリと見て周り人間の感性による“ジャケ買い”をする事も可能です。

 既存の書店を大きく改築する必要性も無いのもメリットといえますが、配膳ロボットを導入する費用が必要になります。さらに配膳ロボットの配備で元々いた人間を削減する必要性もあるとは言えないので、従業員の負担軽減という観点では良いと思いますが、人件費や経費削減の面では疑問点が残ります。


探す“手間”と探す“楽しみ”

 私は本を探すのが苦手ですが、一方で“本のジャケ買い”をたまにします。

 本の表紙を見て、裏面のあらすじを見てビビッと来たら買うという購買手法です。意外とこういうインスピレーションで買った本というのは、発売日を待ちに待って購入した書籍より、のめり込んだりするので思わぬ発見があり面白いです。

 タワーパーキング式本探しマシンや、配膳ロボット方式の場合は“本のジャケ買い”が出来なくなってしまうので、そこはマイナスポイントではあります。しかし、購入した書籍に基づき、機器に内蔵されたAIがオススメの本を提案したりと人間ならざるモノならではの活用方法の可能性は探れそうです。

 何れにしても、本探しが苦手な私と本探しが楽しい私がそれぞれ存在していて、どちらかを優先したらどちらかに角が立ってしまいます。

 昨今はAIに奪われる仕事というのが時折話題に上ります。本一つにしても、オススメや売れ線はAIにも容易に出来ますが、人間の感性や創造性に左右される事に関してはまだまだ難しく思えます。深層心理テストでもAIとやればもしかしたら近い事は出来るかも知れませんが、それを“ジャケ買い”と並べる事には疑問が残ります。

 書店員さんがあっさり見つけてくれたお目当ての本を買った私は、本探しロボットの可能性なんて珍妙な事を考えつつも、歴史を遡れば紀元前まで辿り着く“本”というご長寿コンテンツは案外まだまだ奪われる余地の無い範囲の方が広いのではと、どこかすこし安心しながらお店を後にしたのでした。

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