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ぬいぐるみたちの世界がたまらない……! たかどのほうこさん最新作『ピースケのいえで』


ハラハラドキドキ! ないしょのおはなし

児童文学作家たかどのほうこさんの最新作、『ピースケのいえで』が刊行となりました!

のぶちゃんちの ピースケが、なぜか みどちゃんの いえに!
べそを かきながら ピースケが わけを はなすと、ぬいぐるみたちの おしゃべりが はじまりました。
そこへ のぶちゃんが やってきて、みどちゃんも ぬいぐるみたちも ドキドキドキ……。

クスッと わらえて たのしい ないしょの おはなし。

豊かな物語の世界 ——はじめて自分で読む“たからもの”の1冊にも!

 

日ごろ子どもたちに本を手渡してくださっているさまざまな立場の方が、『ピースケのいえで』を読んだ感想をお寄せくださいました。


物語に登場するたくさんのぬいぐるみたちに注目!

●ピースケの家出の、切実で可愛らしいこと! ぬいぐるみたちの間にも友情があって、そのゆかいなおしゃべりに耳をすますのも楽しい1冊。
わが子は絵本のまねをして、家中のぬいぐるみを並べて遊んでいました。
ひともぬいぐるみも、大事にされてうれしいのは一緒ですね。
(フリーアナウンサー・絵本専門士 近藤麻智子さん)

●ぬいぐるみたちのつぶやきが可愛くてたまりません。ぬいぐるみたちの気持ちに気づいてあげたいですね。
(ティール・グリーン 種村由美子さん)

●ぬいぐるみたちの会話は、そうやって話しているに違いないと確信するほどにリアルで、幼いころ、家中のぬいぐるみを集めて友だちや妹とごっこ遊びをしたことを思い出しました。
(大阪国際児童文学振興財団 土居安子さん)

●私も、ぬいぐるみたちは夜になると遊んでいると思っていました。日常のなかにある、ちょっと不思議で楽しいお話、文庫にくるおともだちにこっそり教えてあげたいです。
(大阪府子ども文庫連絡会 天瀬惠子さん)

ピースケにめんどりのたまおばさん、こぶたのプーコ、ライオンのライさま……。
たかどのほうこさんが描くぬいぐるみたちは、みんな個性的でとってもかわいい! ないしょのおしゃべりにもひきこまれます。

表紙のみどちゃん、裏表紙ののぶちゃん。

みどちゃんとのぶちゃん、女の子ふたりの関係は?

●みどちゃんがのぶちゃんとの間で感じるさまざまな気持ちが、手にとるようにおはなしと絵から伝わってきます。読む子どもたちも、一緒にドキドキしたり、ほっとしたり、いっぱい共感して心を動かすことでしょう。
(絵本ナビ 秋山朋恵さん)

●のぶちゃんも、いい味を出していますね。ともだちとの性格の違いや心の機微——子どもたちが日常で感じている自分の気持ちと重なるのではないでしょうか。
(ハックルベリーブックス 奥山 恵さん)

●2人とぬいぐるみに起きたできごとが、突拍子もないことで解決されるのではなく、物語の中にあるいろいろなことが自然と重なりあって最後につながる。それが、すてき!
(目白のえほんや にこにこ書店 岩田亜紀さん)


親子でいっしょに楽しむ絵本として、子どもがはじめて読む1冊として……『ピースケのいえで』はこんなふうに楽しめる!

●一気に物語にひきこまれて、「こんな子、いるよね」「うちのぬいぐるみはこんなおしゃべりしてるかも!」と、親子の会話もはずみました。
(ブックハウスカフェ 茅野由紀さん)

●ママやパパに読んでもらうのも楽しいし、小学生なら、1人読みの第一歩にもぴったりですね。
(JPIC読書アドバイザー 諸岡弘さん)

●しっかりした物語がありますが、会話のテンポがよく、キャラクターが鮮やかに立ち上がってきます。自分ではじめて読む1冊にもおすすめです。
(図書館司書・JPIC読書アドバイザー 児玉ひろ美さん)

●園で大好きな先生に読んでもらうのもいいですね。先生のまわりに見たい子がぎゅっと集まって、いっしょにこの物語に入りこむように読むといいと思います。
(ちいさなえほんや ひだまり 青田正徳さん)

子どもたちからの感想も!

●のぶちゃんがおへやにはいってくるところは、ほんとうにドキドキしました。わたしはみどちゃんににてるのかなあとおもいます。なんどでもよみたいです。

●黄色やピンクがかわいくてあったかい感じがして、このおはなしにぴったりだと思いました。

いち早く『ピースケのいえで』の世界を味わってくださったみなさんのお言葉をご紹介しました。みなさんのご感想もぜひお寄せくださいね。

つかったインクはスペシャルな3色! ユニークな印刷方法

通常、いわゆる「カラー印刷」というのは、C・M・Y・Kの4色のインクを用います。C(シアン)は青色、M(マゼンタ)はピンク系の赤色、Y(イエロー)は黄色、K(ブラック)は黒色です。

ところが今回、『ピースケのいえで』は、ピンク、青、黄の特別なインク(特色)を使って印刷しました。

今回、線のみの絵をパートごとに分け、色指定をして印刷をする、という方法をとりました。
色指定を行うため、それぞれのインクをかけあわせたときにどんな色になるのか、印刷を手がけた小宮山印刷さんがカラーチャートをつくってくださいました。

赤〇%×青〇%はこの色、といったように、色のかけ合わせ方によってたくさんの色を表現することができるのです。
みどちゃんの靴下の色、ひつじのめいちゃんのリボンの色……など細部にいたるまで、たかどのほうこさんご自身の手で色を決めていきました。

青×赤、黄×赤、青×黄それぞれのカラーチャート

鮮やかな3色をもとにうまれた、『ピースケのいえで』の絵。
ちょっと不思議で楽しい物語をより魅力的にしています。

『ピースケのいえで』をめぐって たかどのほうこ

作者のたかどのほうこさんから、童心社が発行する「母のひろば」712号(2023年9月)に、『ピースケのいえで』にまつわるエピソードが寄せられました。

たかどのほうこさん

30年以上も前のこと。素敵な幼児絵本を何冊も描かれた作家の方から直接聞いたという言葉を、ある編集者が教えてくれた。「自分の子どもをモデルにしたお話が作れるようになったのは、その子が大人になってからで、リアルタイムではできなかったんですって」と。

それからほどなく、私は女の子の母親になり、そのまま描写するだけで楽しいお話になりそうな光景にたくさん出会った。けれどもったいないことに、なぜかそういう気分にならず、目の前にいる娘とほとんど関係のないところで書き続けてきたのだった。件の言葉を思い出しては、(深く考えることもなく)まあそういうものなんだろう、なんて納得しながら。
 
一昨年、「日本児童文学」(※)から絵童話の依頼をいただいたとき、ふと、娘とよく遊んでいた女の子のことが頭をよぎった。同じマンションにいたその子は、ブイブイと元気いっぱいで気まぐれで、娘は時どき振り回されながら、階段を上ったり下ったりと、一時期を共に過ごしたのだ。ぬいぐるみを連れて上り下りすることもあった。その光景を振り返っているうちに、3見開きのささやかな作品が生まれたのだが、思えば娘もその子も、今では30歳を超えているのだった。そこに思い至った時、先の作家の言葉が再び浮かびあがり、ああ本当にそうだ……と不思議な気持ちになったのだ。——遊んでいた子どもたちとそこにいた私。かつて遊んでいた子どもたちと、それを思い出している私。お話にしてみようという、ふとした意志は、なぜ後者の場合に生じたのだろう。その作家にしても、私にしても……。このことについて、そのうち静かに考えてみたい気がする。

さて、「日本児童文学」にお話が掲載された後、隅々までもっと読みたい、もっと見たいと童心社の永牟田さんが言って下さったことで、3見開きが1冊へと生まれ変わることになったのだが、制作する段になると、冒険心がむくむくと頭をもたげてきた。女の子たちの世界、ぬいぐるみたちの世界、2つが溶け合った世界、これを、どこか懐かしく、明るく賑やかに、でもうるさくなくシックに表現できないものかしら……。

こうして、なかなか厄介な、しかも刷り上がるまで結果がわからない色指定なる方法を思いきって用い(印刷屋さんにもずいぶん苦労をおかけして)、『ピースケのいえで』ができあがった。開くと、遠く退った日々が蘇るのだが、今の子どもたちだって、きっとこんな感じだろうと思っている。

—―たかどのほうこ(児童文学作家)

※「日本児童文学」……日本児童文学者協会が編集、発行する児童文学総合誌。

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