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耳鳴り潰し130

 来週から二学期が始まるということもあってか、子どもたちの「遊びたい欲」がマックスにまで上がる。暑すぎるから出かけたいというわけではない。家の中で楽しめることを存分に楽しみ尽くしたいという感じだ。昨日に引き続きちゃんばらごっこをする。これが意外と楽なんで、などと言っていた昨日の自分を責めたい。私対娘、私対息子、私対娘&息子、といった対戦が続く。つまり私は休めない。朝食前に既に燃え尽きそうになる。

 朝食後私一人で買い出しへ。幸い米に遭遇。要はタイミングである。帰り道、すれ違う人たちに「あそこのスーパーに、米ありますよ」と声をかけたい気持ちになるが自重する。

 帰宅後保冷剤を首筋にあてている最中にも「早く遊ぼう」の声がかかる。次はドラえもんごっこが始まり、先生役の私が、娘の演じるしずかちゃんの妹と、息子演じるドラえもんの対応をする。なおかつ私はのび太役やジャイアン役も兼ねる。役が変わるごとに立ち位置も変更するのは、大変疲れるので勘弁してもらった。

 この間図書館で借りた本の一冊に「寿命図鑑 生き物から宇宙まで万物の寿命をあつめた図鑑」というのがある。合間に少し読んでいると、娘も手に取って読みだした。
「クイズ、カラスの寿命は?」
「8年」
「なんで分かるのパパ」
「さっきちょっと読んでたから」
「チョウチンアンコウの寿命は?」
「野生の寿命は不明だけど、飼育下では一週間しか生きなかったって」
「こわっ、何で覚えてるん? じゃあ寿命が数世紀もある生き物」
「サンゴだね」
「ダチョウは?」
「よく覚えてないよ。15年とか?」
「ぶぶー、35年でした」
「同じページにフラミンゴ載ってるでしょ。寿命長くてびっくりしたんだけど」
「何年?」
「50年」
「正解。なんで?」

 娘は自分の手元の本の内容が私に見えているのかと疑っていたが、そんなことはない。直前に読んで印象に残っていたいくつかを覚えていただけだ。このやり取りでふと気付く。「同じページにフラミンゴ」あたりのくだり、まるで「ハードボイルド書店員」の主人公みたいじゃなかった?

※「ハードボイルド書店員」Y2K☮さんが毎週日曜に連載している「ハードボイルド書店員日記」の主人公。書店にやってくる様々な客の要望に応えて、書籍を提供する。その際に、自分では本を開かずに「172ページをお読みください」などと、お客さんに読んでもらいたい箇所を教えたりする。作者のY2K☮さんは実際に書店の店員さん。

 残念ながら「寿命図鑑」のうち、序盤の動物と鳥しか私は読んでいなかったので「ハードボイルド書店員さんごっこ」はすぐに終了してしまった。

「時代別AIによる生成画像の使い方変遷まとめ」を投稿。画像生成小ネタ集。記事中でも触れているが、こちらはyoshinoさんという方に影響を受けて書いたもの。ちょくちょくこういった記事も挟んでいきたい。

 子どもとの遊び後半戦はまだ続く。「おいしい給食ごっこ」が始まり、私は甘利田先生を。娘は引き続きしずかちゃんの妹を。だからそんなキャラいないって。息子は引き続きドラえもんを。だからドラえもんは学校に来ないって。私は給食時のハイテンションではなく、低い声で冷静に生徒に問いかける演技をする。これは演じやすい。授業中であるにも関わらず、机の下で本を読む娘、机の下で犬と猫とジンベイザメを飼い始める息子。私が机の下を覗くと、慌てて隠れた。授業を再開すると、息子の動かす犬のぬいぐるみが私の膝を噛んでくる。甘利田先生のように、生徒たちの顔に詰め寄る。予定を変更して、一時間目から給食とする。校歌をハイテンションで歌い、机に拳をぶつけて痛がる。

 さすがに疲れた息子が、宿題の残りを始める。私と相談しながら書くことを決め、私が下書きをまとめ、キャリア・パスポートを仕上げる。残りは絵日記だけとなった。

 翌日の最後のプール授業も暑さにより中止の知らせがくる。10回の予定のうち9回が中止となった。

 夏休みが残り少ないからたくさん遊びたい、という子どもたちの焦りかと思ったが、それは夏休みに限ったことではなく「子ども時代の終わり」「元気な父親と遊べる時代の終わり」を感じているせいかもしれない、などと感傷的なことを想った。


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