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ヨロイマイクロノベル

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思いつくままツイッター上であげていた140字ほどのお話(あるいはその断片のようなもの)をまとめています。
運営しているクリエイター

#ショートショート

ヨロイマイクロノベルその20

191. こんな夢を見た。「それってあなたの感想ですよね? と口にする彼氏を助走つけて殴った…

7

ヨロイマイクロノベルその19

181. 工場で愛の言葉を缶に詰めている。フレッシュで温かい声を吐き出す。ずらりと作業員が並…

3

ヨロイマイクロノベルその18

171. 夏の夕暮れ、口裂け男が商店街に現れた。私はきれい? 頷くとマスクを外す。育ちがいい…

3

ヨロイのマイクロ連作

「ネオンの虎」1. いよいよ王は狂い、ネオンカラーの虎を国中に放つ。春めいてきたから、とい…

2

ヨロイマイクロノベルその17

161. 決起集会に集まったのは俺と犬(ジロ)。そもそも呼びかけてなどいないのだから充分な成…

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ヨロイマイクロノベルその16

151. 無敵中だい、と朝からぶつかってくる近所の子供たち。夕方にも後ろから当たられた。ずっ…

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ヨロイマイクロノベルその15

141. 川面は花びらで覆われていた。けれど一本も桜の樹が見当たらない。気になって上流へ向かって土手を歩く。花筏の景色はいつまでも続いた。夕暮れ前になり、スポーツドリンクの粉を撒いている老人に出会う。これが四月の川に溶けると春の終わり風になるのさ、と潰れた声で教えてくれた。 142. 「もう転がす時代は終わりだ」とフンコロガサナイが言う。そいつは糞を立方体に固める。球体派のフンコロガシとの対立は必至だ。にらみ合いと罵り合いが長く続いた。両派の糞が完全に乾き切るころ、未曾有の

ヨロイマイクロノベルその14

131. ひたすら米粒に文字を書かされている。「ふっくら」「つやつや」「GGRKS」。謎の言葉もあ…

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ヨロイマイクロノベルその13

121. スマートウォッチに表示されっ放しの「サンタ遅延のお知らせ」が消えた。ベルみたいな通…

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ヨロイマイクロノベルその12

111. 朝から玄関先のクリスマスツリーが騒がしい。大量の鳥たちがツリーに宿り、大きな黒い山…

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ヨロイマイクロノベルその6

51. 白昼、右向きに眠る妻の口が開き、小さな探検隊が列をなして出てきた。サファリ帽を被る先…

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ヨロイマイクロノベルその5

41. あの人が飾っていたレコ―ドジャケットを今になって塗りつぶす。本日のラッキーカラー、群…

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ヨロイマイクロノベルその4

31. 満ち欠けが狂ってからはあっという間だった。三日月が垂れて地上へ落ちてくる。一部は夜の…

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ヨロイマイクロノベルその3

21. おしゃべりカタツムリがやって来た! でも全然しゃべらないし、黒いプラスティック板の上でじっとしている。夕暮れ、やっとのそのそ這い出した。ねっとりとした半透明の軌跡が浮かび上がる。「ワープ中」。嘘つけ! と思わず叫ぶけど、カタツムリはすでに殻の中に閉じこもっていた。 22. 蟹の季節ももうすぐ終わる。生き延びた蟹たちは砂の中に潜る。深く深く、静かで湿ったところへ。季節が再び巡ってくるまでの長い眠りにつく。その前に鋏を研ぐ。しょんしょん、しょん。この音は地上では聞こえな