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2022年3月の記事一覧
真珠湾、広島長崎、911、イラクをつなげ深掘りするーミニ読書感想「戦争の文化」(ジョン・W・ダワーさん)
ジョン・W・ダワーさん「戦争の文化」(岩波書店)は学びが深かった。副題にある通り、パール・ハーバー(真珠湾攻撃)、ヒロシマ(広島と長崎への原爆投下)、911(同時多発テロ)、イラク戦争というそれぞれの戦争における象徴的事情を俯瞰し、相互を繋ぐ政治、経済、心理、文化的要因を考察する。そして、根底にある「戦争の文化」としか言いようがない根深い地層を言語化していく。
上下巻で重厚だが、文章に格式があっ
「10代のための読書地図」が教えてくれた名作の魅力
「10代のための読書地図」(本の雑誌社)に紹介された本を読むという活動を続けている。読書地図を片手に本の森を歩く。今回で記事にまとめるのは3回目。10冊近くを読んだことになるけれど、どれも例外なく面白い。本当にハズレなしの読書地図だ。
今回、地図が導いてくれたのは「名作の街」とでも言おうか。どこかで聞いたことのある作品名、作家名。「今更読むきっかけもない」と思っていた名作は、やはり名作だったんだ
「何者」に匹敵する就活ミステリーーミニ読書感想「六人の嘘つきな大学生」(浅倉秋成さん)
浅倉秋成さんの話題作「六人の嘘つきな大学生」(角川書店)が面白かった。気持ちよく騙された。就活を舞台設定にしたミステリー。就活作品の金字塔と言っていい「何者」に匹敵する名作だと思う。
就活と嘘
就活と嘘の取り合わせは「何者」で先取りされている。誰が嘘をつき、なぜ嘘をつくのか。「何者」では、何者にもなれない若者が切実につく嘘、いや、つかざるを得ない嘘が読者の胸を打った。
この完成度の高い「就活生
豊かな文化と複雑な歴史を知れたー読書感想「物語ウクライナの歴史」(黒川祐次さん)
元ウクライナ大使の日本人外交官、黒川祐次さんの「物語 ウクライナの歴史」(中公新書)を読んだ。ウクライナにどれほど豊かな文化があるかを知ることができた。また、さまざまな民族、国家が関与してきた複雑な歴史があることもよく分かった。
帯には「緊迫するウクライナ情勢を知るための一冊」「ロシアが影響下に置こうとするのはなぜか?」とある。本書を通読して、歴史的観点からいくつかの答え方があると感じた。もちろ