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現役医師、1971年生まれ、Stage 4肺がん闘病中。ラグビーや格闘技を愛するスポー…

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現役医師、1971年生まれ、Stage 4肺がん闘病中。ラグビーや格闘技を愛するスポーツ整形外科専門医、五輪に帯同歴あり。子供2人大学生。スポーツ医として、そしてがん闘病の経験から、自分がやってきたこと、感じたことを少しでも伝えたい。

最近の記事

集中治療体験 死ぬこと以外はかすり傷

右肺の手術して1週間後、自分は再入院した。低ナトリウム血症の診断。呼吸器内科に入院したが、呼吸器外科の先生も毎日回診してくれた。そして実質の主治医はN先生、私の大学ラグビー部の1年後輩で、バリバリの腎臓内科医。「おそらく原因は術後の強い痛みによるストレスでのホルモン不適切分泌によるもの(SIADH)でしょう、でもちゃんと調べてちゃんと治療しなくてはならない、集中治療室に入りましょう。」と言われた。でも、手術後に経験した点滴して、チューブ入れて、心電図つけて、の拘束が思いの外辛

    • Stage 4なのに手術

      というわけで、右中葉から胸膜転移、そして左右の肺に複数の小さい陰影(転移)があるのに、内科の先生のご決断、そして外科の先生の素晴らしい技術により、手術をしてもらった。2/26/2021、忘れられない日になった。 右中葉切除をして、胸膜にシスプラチンを注入してもらう術式であった。胸膜の癒着は凄かったようであるが、外科の執刀医から「いつでもビデオでお見せできるような」やるべきことを全てやってくださった手術だったと伺った。本当に感謝しかない。 手術後、右肋間神経麻痺が複数箇所発

      • すずらん ”幸せの再来”

        今まで時系列に書いてきましたが、これはごく最近のこと。書かせていただく。 時々、妻がぼやく。前からすずらんの花束が欲しいって言ってるのに一度も買ったことないよねー。 あー確かに言われた、でもそう言われて買うのもなんかヤボ。だったら忘れた頃に買おう、なんて思ってまた忘れて、この周期に入る。本音の言い訳。 毎年5月は盛り沢山、私の誕生日、結婚記念日、そして妻の誕生日がある。全部一緒にひと祝いするにも、そもそも自分の誕生日と結婚記念日や妻の誕生日を一緒にやろうだなんて、自分から

        • 人生の醍醐味は逆転劇にあり

          Stage 4の肺がんで、手術をするとはとんでもないこと。でも、抗がん剤治療ではいつかどこかで生存曲線が下に向かう。それも、数年単位。そんな業況で、明るい気持ちにはなれない。 山あり坂あり、上り坂があるから下坂もある。登らない朝日はない。明けない夜はない。昔の人から言い伝えられた言葉は、我々現代人も励ます際に用いられる。でも、そういう手立てやすべがあるから。医療は科学、エビデンスに基づいて進めるものだから、奇跡や一発逆転は、治療方針にならない。 子供の頃の運動会、小学校最

        集中治療体験 死ぬこと以外はかすり傷

          分子標的薬の効果:stage 4で手術?

          2020年11月から開始したタグリッソは、ほぼ副作用を生じなかった。服用してすぐに皮疹が出現したら主治医から「副作用が出る人は効果が高い」とコメントを頂き、沢山の外用剤を処方してくれた。しかし1ヶ月もすると皮疹は無くなり自覚される副作用はない。「効果は?」都市伝説ですから。。。 服用して3ヶ月、2021年2月になると、腫瘍マーカーCEAの低下の勢いが落ちてきた。”半年は効く”そう信じていたので、なんだか不安になる。でも、腫瘍マーカーなんてただの数値と自分で不安を払拭する。

          分子標的薬の効果:stage 4で手術?

          がん患者にスポーツ医学を

          2020年11月からタグリッソを服用して、確かに腫瘍マーカー値が下がってきた。一日一回の薬剤でがんの治療になる、そんな夢物語は、確かに自分の心を明るくした。 1ヶ月休んで、2020年12月に業務に戻った。考えてみれば、体調は1ヶ月前とは変わらない。でも、一夜にしてがん患者になった、stage 4、やっぱり気分は思わしくない。病院の電子カルテを開けると、そこには自分の情報も入っている。あのおぞましいCT画像が、ひょいと見れてしまう。”便利な世の中だ”、そうは思えなかった。

          がん患者にスポーツ医学を

          分子標的薬 さりげなく飲む

          2020年11月16日より、タグリッソという分子標的薬を開始した。一日一錠内服するとのこと。ただし、よく読んでみると、食前なのか食後なのか、朝昼晩いつ飲むのかは書いていない。。見逃したかと色々情報を読んでみたが、見つけられない。 私の整形外科的浅学知識では、吸収率の悪い薬は起床直後に飲む、である。吸収は良い方が良いに決まっている、なので起床時に服用することに決めた。ベットサイドに置いて、目覚ましと同時に内服。正しいかどうか分からないが、決めたのそうした。 腸の吸収に頼るな

          分子標的薬 さりげなく飲む

          再開します。

          僕まだ、生きている。前回の更新から一年が経過した。この一年、色々あった。でも、今の僕は、週末のオヤジ、兄とのゴルフに向けて心躍っている。オヤジは腰椎の手術を受けて、リハビリ中、一年前にゴルフ場で転倒して依頼のプレー。気分が高揚しないわけない。 自分も、まだまだ闘病中、肺には転移があり、化学療法も受けている。でも、楽しみに対して意欲を持つ気分はまだある。 なぜ更新していなかったか。やはり、自分の病気のことを考えるのがイヤだった。男は好嫌を抱くな、どこかで誰か偉い人が言ったらしい

          再開します。

          病気を伝える責務 期待と過信

          診断もついた。治療も始まった。私のすべきことは、私の現状をお世話になっている方に伝えること、になる。 がん患者として病を知り治療始めて、それでも医師として通常通り診察して手術して、という日常を続けられるかどうか。おそらく個人差があると思う。でも、明るく前向きに、時に思慮を重ねて患者の診察を行い、数年後を見越して手術の執刀に関わることは、その時の心身の状態では出来なかった、いや、やるべきではないと考えた。 秋の空や山の天気より大きく変動する、自分の心をコントロールすることは

          病気を伝える責務 期待と過信

          肺がん 治療開始

          20年以上前、研修医の時に、内科病棟で肺がんの治療に携わった。 もちろん、診察方針の決定には加わらず、病棟で上級医の指示に従うことが我々の業務だった。内科病棟で、手術をしない、もしくはできない患者さんに対しては、化学療法が治療の主体だったと思う。我々の業務は化学療法の薬剤を指示通り間違えず指示をすること。そして定期的に、中心部静脈ラインを患者さんに挿入すること、と記憶する。患者は病期が進むととても苦しそうで、化学療法の影響で食事も摂れないことが多かったように思う。まだ緩和ケア

          肺がん 治療開始

          治療開始 楕円球に託す

          肺がん発覚から約1週間、検査結果を主治医に聞いた。 凍結標本検査では、肺腺がんであった。EGFR遺伝子変異が見つかり、それに対しては分子標的薬のタグリッソが効果的、という話であった。 私は医師なので、主治医の説明はおそらく一般の方とは異なっていたのだろう。ズバズバと説明してくださる。 いつまでも効くとは言えない、大体一年位で効果が無くなるだろう、色々副作用も無いわけでない。でも、良くなります、飲むしかないですよ、と。主治医の言葉選び、話し方は、失礼ながら”自分好み”と直感し

          治療開始 楕円球に託す

          検査ひと段落 終わりと始まりの間

          肺がんの診断から、3日間で瞬く間に三種類の検査が終わった。自分が勤務している病院とは言え、特例の速さであり、主治医や病院の皆様に感謝しかない。 でも、検査のたびに結果を恐れる自分がいて、その繰り返しだったので、時間経過だけでは測れない、とっても重たい出来事の連続だった。1週間後に結果をまとめて主治医の診察を受ける、そのような予定になった。 自分の中に、肺がんはおそらく数年前から存在していたのだろう。でも、肺がんが見つかった時から、人生の第二章が始まったかのように感じる。S

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          頭部造影MRIとPET検査 恐怖と勇気と

          MRIが怖いと思うのは、私だけではないはず。 肺がんの転移巣の検査としては、他に脳転移を調べる造影脳MRI検査と、その他の部位の転移を調べるPET CT検査を受けた。 元々、自分の専門分野の研究として、MRI画像を用いていた。自分自身も被験者になったことがある。MRI器械の狭い空間に閉じ込められるように検査を受けることは、好きではないが何度も経験はあった。とはいえ、”閉所”は得意ではない。子供の頃はエレベーターを怖く感じることもあった。高校時代の部活の合宿で、じゃんけんで

          頭部造影MRIとPET検査 恐怖と勇気と

          気管支鏡検査:ドタバダ帰宅劇

          11/13/2020に、気管支鏡検査を受けた。主治医からは「一泊入院予定ですけど、日帰りでも、なんとかなるでしょう。」と述べていた。 入院して検査時間を待つ。担当医が来室、検査の説明を聞く。そう言えば、検査の細かなことを、何も聞かず、もしかしたら何も聞こえず、今日を迎えていたようだ。 どうやら凍結生検ををするとのこと。この病院では2,3例の実績、つまり新しい検査法だとか。リスクを色々聞いたが、やらない選択肢はない、つまりやるしかない。 私は整形外科医なので、気管支鏡検査

          気管支鏡検査:ドタバダ帰宅劇

          肺がん発覚の時

          やはりこのことに触れないと。診断の時。あんまり思い出したくはないけど。忘れもしない、2020年11月12日夕方。 現在勤務している病院から、大学病院に転籍になる予定で、転籍先からの依頼で健康診断を受けた。健診は、2018年は受けていたが、2019年は忙しさを言い訳に、受けていなかった。 胸部X線検査撮影直後、ベテランの放射線技師さんが 「あれ?」と声をあげた。そして見たら、右中葉に大きな陰影。そのまま放射線科医師が確認。 「あれ、この陰影、2018年もあるなあ、でもこ

          肺がん発覚の時

          さて、始めるか。

          皆さまこんにちは。 コロナ禍の2021ゴールデンウィーク、大学生の子供達も予定が空いたため、期せずして両親、兄夫婦と全員集合。楽しい会のはずが。。 オヤジが転倒、顔面から地面に落ちた。幸い顔に複数の擦り傷と、メガネ破損のみ。でも見た目は顔から大出血。 「もう、無理して歩くなよ。」 なんて言いながら車椅子を押す僕は、肺がんのStage 4闘病中の現役医師、スポーツ整形外科医。 2020年の秋、衝撃の診断から薬物治療で転移巣をコントロールして、主治医にお願いして手術を受けた、

          さて、始めるか。