頭部造影MRIとPET検査 恐怖と勇気と

MRIが怖いと思うのは、私だけではないはず。

肺がんの転移巣の検査としては、他に脳転移を調べる造影脳MRI検査と、その他の部位の転移を調べるPET CT検査を受けた。

元々、自分の専門分野の研究として、MRI画像を用いていた。自分自身も被験者になったことがある。MRI器械の狭い空間に閉じ込められるように検査を受けることは、好きではないが何度も経験はあった。とはいえ、”閉所”は得意ではない。子供の頃はエレベーターを怖く感じることもあった。高校時代の部活の合宿で、じゃんけんで負けてOBの先輩の運転する乗用車のトランクに閉じ込められたことがあった。あれは、少々トラウマになったように感じる。シンドカッタ。

ただでさえ、肺がん stage 4が見つかり、なんだか弱気になっている。MRI撮影の直前になって、なんだか嫌な気分が増大した。でも、理性を持って検査台に乗る。あれ、いつもと向きが反対、頭から検査器械に侵入する。あれあれ、頭がフレームのようなもので固定されてしまった。。


私が関節MRIの研究で被験者になっているときは、MRIの器械には”足側”から入ることが常だった。もちろん、肩や股関節の検査であればその部分の固定はするが、頭の固定はなかった。

しかし、今回は頭部が固定され、かつ狭い空間に頭から侵入した。閉塞感が心に湧き上がり、それが恐怖の感情へと移行した。

”棺桶の中”とは言いたくない。でも、すぐには逃げ出せない空間ではある。しかも、検査の時の強烈かつ不規則な機械音は、神経を逆なでされるよう。それでいて、不可解な浮遊感も感じる。「だめだ、ここから出たい。」思いが爆発しそうになった。冷汗が流れ、足先、指先を動かさずにはいられない。

そう言えば、後日、再度MRIを撮る時に、この検査の奇妙な感覚、どこかに動かされるような浮遊感の話をしたら、激しく同意してくれた方がいた。やっぱり、身体がシンドバッドの魔法のじゅうたんのように、ふあふあ飛行しているのかもしれない笑

造影検査なので、15分ほどで一度造影剤注射のため、MRI器械から出られた。「助かった。」看護師さん、技師さんに、自分の恥ずかしい”恐怖心”を伝え、残りの検査時間があと何分なのか再確認した。看護師さんは傾聴して、同調してくれた。技師さんは、丁寧に残り時間を適時教えてくれた。この優しさに、本当に救われた。

PET CT検査は、注射をして腫瘍に取り込まれたブドウ糖をCTで検出することで、転移巣を見つける検査だった。注射後1,2時間の待ち時間があり、全体としてはスローペース。CTはMRIほど器械に閉塞感はなくこちらはのんびりと受けれた。昨日のドタバタ気管支鏡検査後から、身体がたるかったので、待ち時間にうたた寝して過ごした。

自分が勤務する病院の付属施設での検査であり、久々にお会いする放射線技師さんにお世話になった。ベテランの方で安心感があり、かつプロ意識から検査結果が把握できても”医師でない”技師さんは結果を言わない。でも、さりげなく「多分大丈夫です」小声で囁いてくれた。

そして、施設内で会ったもう一方のベテラン技師さんは、実は悪性リンパ腫からのサバイバー、治療を受けて元気になったと話をしてくれた。悪性リンパ腫は血液のがん、肺がんは固形がん、もちろん簡単には比較できないが、それでも自分は十分に勇気をもらった。


検査は怖い、結果が怖い。でも、恐怖を感じるのは、生きているからこそ。
生きてれば、希望や勇気にも出会える、と。

#がん #肺 #医師 #スポーツ  #MRI #PET

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