すずらん ”幸せの再来”


今まで時系列に書いてきましたが、これはごく最近のこと。書かせていただく。


時々、妻がぼやく。前からすずらんの花束が欲しいって言ってるのに一度も買ったことないよねー。
あー確かに言われた、でもそう言われて買うのもなんかヤボ。だったら忘れた頃に買おう、なんて思ってまた忘れて、この周期に入る。本音の言い訳。

毎年5月は盛り沢山、私の誕生日、結婚記念日、そして妻の誕生日がある。全部一緒にひと祝いするにも、そもそも自分の誕生日と結婚記念日や妻の誕生日を一緒にやろうだなんて、自分からはとても言えない。
でも、病気になると、次はないかもしれないと考えてしまう。今年はしっかりやりたい、プレゼントして感謝を示したいと、心に誓う。23回目の結婚記念日、数字のきりは良くないが、唯一無二の大切な23回目。
すずらんを思い出した。今年こそプレゼントすると誓う。花屋さんに行こう、でもすずらんっていつもあるのか?そうだ、電話してみよう。
電話して恐る恐る「すずらんの花束を買いたいんですが。」すずらんですか?うーん、花束にはあまりしませんよ、しかも今はありませんし、との答え。えーと。。
妻の希望だと伝えると、それならブーケが良いでしょう。見栄え良くするには、20本くらい必要ですが、それでも良いですか、と問われる。どのくらい大きくなるのか、いくらかかるのかわからないけど、欲しいからお願いしますと伝える。なら、今は店頭にないけど仕入れたら連絡しますとのこと。是非とも明後日の誕生日にお願いしたい、そう伝えた。
 
そして当日になり、電話で確認すると、すずらんは今北海道から入荷中、2日後になるとのこと。あー、当日には無理かぁ。妻には、あげたいプレゼントが今ないので取り寄せるとボンヤリ伝える。無理しなくて良いよとの声。

なんだか突然不安になる、あれ、妻が欲しい花って、すずらんだっけ。。違ったらどうしよう。すみれ?いや、違う、でも今更もう聞けないし。
そして2日が経過して、花屋さんから電話があった「準備できました、いいのが買い付けられました」なんだか自信ありげな声。後ほど参りますと伝える。すずらんだよなー、正しいのは。

すずらんをシンプルに紙で包んだブーケを渡された。「すっごくいい香りですよ」花屋さんの笑顔に嬉しくなる。良いものを注文して選んできてくれたんだ、が伝わる。素敵なすずらんのブーケを素敵な三角形の紙袋に入れてくれた。

「プレゼント」と、座っている妻の膝の上に置く。「ありがとう、覚えていてくれたんだ。キレイ、すっごいいい香り」シンプルで最上級の言葉たちに、私の気分も高揚する。

ホントニヨカッタ ちょっと泣きそうになった。

”幸せの再来”  すずらんの花言葉。

ガンになった。でも、家族は皆元気で頑張っている。今の自分の幸せは、幸せな家族を見ていること、家族の幸せを願って生きていくこと。

幸せは、改めて幸せを実感した時に、心に再び訪れるのかも知れない。そうであれば、小さなすずらんが、幸せな気持ちを再び呼び起こしてくれた。妻との愛は、その繰り返しによりさらに育まれるに違いない。笑顔の妻は、特にキレイだ。

幸せの再来、すずらんに感謝

たくさんの幸せ、そして家族を幸せにするために、もっともっと生きよう。

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