検査ひと段落 終わりと始まりの間

肺がんの診断から、3日間で瞬く間に三種類の検査が終わった。自分が勤務している病院とは言え、特例の速さであり、主治医や病院の皆様に感謝しかない。

でも、検査のたびに結果を恐れる自分がいて、その繰り返しだったので、時間経過だけでは測れない、とっても重たい出来事の連続だった。1週間後に結果をまとめて主治医の診察を受ける、そのような予定になった。

自分の中に、肺がんはおそらく数年前から存在していたのだろう。でも、肺がんが見つかった時から、人生の第二章が始まったかのように感じる。Stage 4の診断により、頭の中、見えるもの全てが劇的に変わり得る。
でも、今は検査結果の詳細を知らず、治療も始まっていない。第二章は、闘う場とすれば、今はかなりbitterな狭間の時。この時をいかに過ごそうか、戸惑っていた。

病気や先行きの不安から、頻回に痛いほどの強い感情が自分の中から生まれ、そして僕を包む。でも、全ての事実が明らかになっていない今は、何かに縛られているようで、でもそうとも言い切れない。

私が関わってきた業務も、生活も、いつも一つのことが終わったら、その時が次の始まりでもあった。学生時代、試験が終われば部活が始まり、部活が終われば勉強が始まる。外来が終われば研究し、学会発表が終われば論文を書き、手術が終わればまた、次の診察が始まる。
学生でも社会人でも、「切り替えが大事」なんて言われてきた。優等生になりたくて、頑張ってきた。

でも、今は確実に違った。がんを思考しない生き方は悲しいかな終わってしまったけど、がんと闘う生活はまだ始まってない。

終わりと始まりの間

「アマン東京に宿泊しようよ。」
妻が提案してくれた。我々勤務医は、言わばサラリーマン、私立大の息子2人をなんとか通わせている身分、世の中で思われているほど、生活は贅沢ではない。
でも、今は、言わば特別、いや特殊な時、人生で二度とない時。行こう!ワクワク。

そこは別世界だった。現実を逃避し、別世界から現実と向き合う、最良の場所であった。
沢山泣いて、沢山笑った。

妻は、本当に素敵だ。連れてきてくれて、ありがとう。

そして、終わりと始まりの間は、bitter sweet、格別のひとときだった。

#がん #肺 #Stage  4 #医師  #スポーツ 闘病 #アマン東京

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?