球体(日記・エッセイ)

たぶん毎日何かしら書きます。 本体:https://note.com/torchfis…

球体(日記・エッセイ)

たぶん毎日何かしら書きます。 本体:https://note.com/torchfish_story

最近の記事

青春と入院は似ている いつか出ていく場所

中学一年生の頃、精神的におかしくなって3ヶ月間入院したことがある。入院生活中は、毎日決まった時間に起こされ、看護師さんが運んできた食事を食べて、消灯の時間が来ると薬を飲んで眠りについた。残りの時間は、検査や心理療法を受けたり、本や漫画などを読んだりして過ごしていた。 僕がいた病棟には、子供から青年ぐらいの年齢の人たちがいて、彼らは各々の病気を抱えていた。僕はそこでの記憶のおおかたを失ってしまったが、何となく現実から乖離したような、独特の緩い雰囲気だけはずっと心に残っている。

    • 犬のフンで鬼ごっこ〜最低の思い出話〜

      「あ、ウンコ!」 思わず口に出してしまった。すんでのところでそれを避け、道の端を歩く。僕は未だに、ウンコを見るとテンションが上ってしまう。幼い頃は、生活の中でウンコという単語が登場するたびに爆笑していた。 小学生の頃、ガチ鬼ごっこという遊びがあった。鬼が、犬のフンを棒の先などに付けて子を追いかけるという最低の遊びである。追いつかれた犠牲者はウンコをなすりつけられる。泣き叫ぶ子もいる。走るうちにウンコが空中分解して、それを持った鬼の身体に付いてしまうこともある。 帰り道、

      • 全てが駐車場になる

        町のあちこちが駐車場に変わる。そのたびに記憶が消える。いわゆる、「あれ?この場所って元々なんだったっけ?」という状態である。 場所に関する思い出は消えやすいと思う。仮に全ての土地が駐車場になったら、記憶喪失の状態になってしまうかもしれない。そんなことを、駐車場になってしまった場所を眺めながらボーッと考えていた。 そもそも、その場所に何があったのかなんて、始めから記憶していなかったのかもしれない。それらは、目の端を通り過ぎていくただの背景だったのだ。そう考えると、我々は日常

        • 許される妄想と許されない妄想がある

          妄想というと、おかしな考えを確信することであり、一般的に愚かなことだと思われている。しかし実際には、社会はおかしな考えで満ちている。例えば宗教や紙幣などは分かりやすく妄想である。物理学や生物学を学べば、キリスト教的な創造論が妥当性の低いアイデアだということはすぐに分かる。ただの紙切れにそれ以上の価値があると確信することが集団妄想の類だということも、ちょっと考えれば明らかだろう。 妄想には、社会において正しいと見なされるものとそうでないものがあり、前者は信じることが推奨される

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          買い物という本能

          買った商品を使う楽しみよりも、商品を買った瞬間の楽しみの方が大きかったという経験をしたことは、おそらく誰にでもあるだろう。商品を買う瞬間の楽しみを求めるあまり、家が無駄なものでいっぱいという人も多いのではないだろうか。こうしたことが起こる原因として、人間には物を手に入れることそれ自体に対する強い欲求がある、ということが考えられる。また人間には、実際に物事が起こっている最中より、その物事が起こることを期待している最中に強く興奮するという性質がある。この性質により、商品を手にした

          お湯が出るまでの待ち時間

          寒い日に、蛇口をひねる。そうすると、お湯が出てくるまでに若干のタイムラグがある。手持ち無沙汰ではあるが、暇つぶしをするにはあまりにも短い時間だ。ろくに考え事をすることもできないだろう。どうやっても使い道のない時間だ。 例えば、OD錠が口の中で溶けるまでの時間や、バスの降車ボタンを押してから目的のバス停に着くまでのそわそわした時間なども、そういったものに該当するだろう。使い道のない時間は、なんとなく無垢で美しいと思う。こういった短い時間は、様々な日常の動作の隙間に、半ば無意識

          お湯が出るまでの待ち時間

          治安の悪い町にある、ニコニコした花のマーク

          治安の悪い地域に多く見られる特徴というものがある。それは例えば、全く整理されていないめちゃくちゃな道路だったり、そこをすごい速さで走る車だったり、全ての声がでかいおっさんだったり……とにかく書ききれないほどあるのだ。 そういったものの一つとして、ニコニコした花のマークがある。町内会などが書くような、下手くそなあれだ。描かれているのは看板だったり壁だったりと色々あるが、大抵はボロボロになっている。『ようこそ〇〇へ』とか『〇〇、町の広場』みたいな文句が、添えるように書かれている

          治安の悪い町にある、ニコニコした花のマーク

          コップで水を飲むコツを教えて欲しい

          慣れないコップで水を飲むと、結構な確率で水を零してしまう。コップを傾けたときの水の流れ方が予測できないからだ。 水なら勝手に蒸発するから良いが、牛乳なんかだと拭かないといけないから、嫌だな〜と思う。飲食店とかだともう最悪だ。しかも、飲食店で出てくるコップは基本的にはじめましてのコップなので、たいへん危険なのである。 というわけで僕は、初めてのコップが出てきたら基本的に警戒して、ゆっくり飲むことを心がけている。慎重に飲めば零すことはあまりない。問題なのは警戒を忘れた場合で、

          コップで水を飲むコツを教えて欲しい

          暴走族の前世は戦国武将

          真夜中になるとよく、バイクの大きなエンジン音が聞こえてくる。もちろん大きいとはいえ、それは遠くの幹線道路から来るものなので、実際には虻の羽音ぐらいの音量ではある。しかしとにかく、真夜中でもあるし迷惑な音だ。 これらの音は、自分とは一切関係のない世界からやって来るような感じがする。なぜなら、僕はバイクで暴走どころかバイクに乗ったことすらないし、そういうことをするガラの悪い友達もいない。彼らはどんな日常を送って、どんな社会を築いて、どんな価値観で生きているのか。僕にはぼんやりと

          暴走族の前世は戦国武将

          石器時代のオナニー

          現代人はエロ本やエロ絵やエロ写真やエロ動画などでオナニーをする。もちろんそれらの助けを借りずに、空想でオナニーをする人も多いだろう。江戸時代なら春画だろうか。もっと昔のことはよく分からない。源氏物語などで抜いていた人も多そうだと推測する。ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャンでは、空条徐倫が留置所の鉄格子に興奮してオナニーをする。なんか凄いな、と思う。 あるときふと気になった。石器時代の人々は、何でオナニーをしていたのだろう。もちろん空想で抜いていたというのが、一番ありてい

          コインランドリーにある永遠

          一人でコインランドリーにいると、なぜか永遠を感じる。洗濯物はずっと回り続けるような気がするし、世界がコインランドリーと自分だけになってしまったような錯覚に陥る。それは、回るという動作そのものが輪廻的な永遠を連想させるからかもしれない。あるいは、あまりにも淡々としているから、その無機質さに永遠を感じるのかもしれない。 無機質。コインランドリーの無機質さは、たくさんの機械がひたすらに動き続けていることに由来すると思う。そして、なぜかは分からないけれど、機械と永遠は人のイメージの

          コインランドリーにある永遠

          お風呂で睡眠、濁点の謎

          湯船に浸かったまま眠ってしまうことがよくある。大抵はお湯が冷めて震えながら目を覚ますことになるので最悪である。最初はぬくぬくだけど時間が経つとどんどん冷えていく逆の布団みたいなものだ。逆布団。 ところで今、『逆布団』を『ぎゃくぶとん』って読んだでしょう?なぜ『ふとん』ではなく『ぶとん』なのか。では『火蜥蜴』はどうか。これは『ひとかげ』。『木星亀』は『もくせいがめ』。なぜ濁点が付いたり付かなかったりするのか。今まで日本語に存在しなかった架空の単語でもどちらかぱっと分かるので、

          お風呂で睡眠、濁点の謎

          中古品には前世がある

          リサイクルショップが好きだ。ただ見て回るだけでも楽しい気分になれるし、何となくだらりとした店内の雰囲気も肌に合っている。 リサイクルショップの商品には、当然前の持ち主がいる。その人がどんな人かは分からないし、その物をどんなふうに使ってきたのかも分からない。分かるのは、今ここに現物があって、それが使える状態だということだけだ。そしてこれらの商品は、売れれば次の持ち主に渡る。どんな人が買い、どんな使い方をするのかは完全に不明だ。こういった事柄は、今店にいる僕がその物を観察しても

          中古品には前世がある

          めちゃくちゃ怒鳴るお爺さんが近所に住んでる

          タイトルの通り。 僕の近所には、ときどきものすごい剣幕で怒鳴りながら電話をするお爺さんが住んでいる。その人のアパートと僕の住んでいるアパートは(たぶん)70mぐらい離れているのだけれど、窓を全部締め切っていても家の中まで聞こえてくるぐらいにはうるさい。今これを書きながら、『騒音 音量』でGoogle検索してみたが、なんか80dB(パチンコ店内や走行中の電車内の騒音)ぐらいある気がする。あのお爺さんの怒鳴り声のせいで近所の不動産価値が下がっているんじゃないかと思ってしまうほど

          めちゃくちゃ怒鳴るお爺さんが近所に住んでる