見出し画像

治安の悪い町にある、ニコニコした花のマーク

治安の悪い地域に多く見られる特徴というものがある。それは例えば、全く整理されていないめちゃくちゃな道路だったり、そこをすごい速さで走る車だったり、全ての声がでかいおっさんだったり……とにかく書ききれないほどあるのだ。

そういったものの一つとして、ニコニコした花のマークがある。町内会などが書くような、下手くそなあれだ。描かれているのは看板だったり壁だったりと色々あるが、大抵はボロボロになっている。『ようこそ〇〇へ』とか『〇〇、町の広場』みたいな文句が、添えるように書かれていることが多い。もし歩いているときにこういったものをたくさん見かけたら身を引き締めた方がいいし、引っ越しの予定があるなら、その土地は候補から外した方がいい。

なぜ治安の悪い地域には、ニコニコした花のマークがあるのだろう。ありていな仮説としては、治安が悪いことに対するカモフラージュのため、といったことが考えられる。だとしたら、その偽のメッセージは何の役に立つのだろう。

僕は、ニコニコした花のマークはカモフラージュではなく、祈りの一種だと思う。なぜなら、そんな偽のメッセージを発したところで、その町に住んでいる人が恩恵を受けることはほとんど無いからである。それは平和への祈りであり、また、死んでしまった治安の墓標でもあるのだ。だから、ニコニコした花のマークを見かけたら、心のなかでそっと十字を切るべきなのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?