全てが駐車場になる
町のあちこちが駐車場に変わる。そのたびに記憶が消える。いわゆる、「あれ?この場所って元々なんだったっけ?」という状態である。
場所に関する思い出は消えやすいと思う。仮に全ての土地が駐車場になったら、記憶喪失の状態になってしまうかもしれない。そんなことを、駐車場になってしまった場所を眺めながらボーッと考えていた。
そもそも、その場所に何があったのかなんて、始めから記憶していなかったのかもしれない。それらは、目の端を通り過ぎていくただの背景だったのだ。そう考えると、我々は日常でどれほど多くのものを、認識から取りこぼしているのだろう。
二つの世界があると思う。一つは脳の外にある実際の世界で、もう一つは脳の中にあるモデルの世界だ。実際の世界はあまりにも膨大で、それらのうち重要と思われる要素だけが脳の中に入ってきて、我々が認識する世界を作り上げる。僕は、自分が認識する世界をもっと広げていきたい。だから、町をたくさん歩こうと思った。
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