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くらしのともしび

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病とともに生きること
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2024年3月の記事一覧

本当の目で見たら

本当の目で見たら

わたしの大事なものが

半分に欠けたとしたら

それは半分ないのでも

半分あるのでもなくて

新たな欠片のいのちに

じゅうぶん満ちている



神さまに触れられると

愛に満たされるように

わたしの目をとおして

欠けて見えるものでも

ほんとうの目で見たら

どんなに美しいだろう

***

希望と信仰の目で見れば
コップは半分空でもなく
半分満たされてもいない

あなたがよく見るならば

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広くはるか遠くへ

広くはるか遠くへ

くるしいことも全てふくめて

わたしのいのちに善いことが

起きていることを知ったとき



まなざしを広くはるか遠くへ

全てのいのちとのつながりに

わたしのいのちを乗せるなら



ときをわたり空をかけめぐり

全てを知るおおきないのちが

わたしのいのちを導くだろう

***

あなたが何に苦しんでいても
神さまはもうそれを見られて
よいほうへと進められている

どんなに苦しくてもあな

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ひかりは消えない

ひかりは消えない

いちにちが終わって
よる眠りについても
あまり眠れないまま
やがてあさが始まる

つかれはなくならず
きのうが過ぎさって
からだはおもいまま
またきょうを過ごす

それでも病とともに
しぜんにまかせると
くらやみのむこうに
ちいさな光がみえる

いま分からなくても
あすが待っていると
ただ信じられるから
わたしは生きていく

***



消えないひかりの
おはなしもう一つ

だいすきな大学病院の先生
今日がさいごの診察の日で

にこやかに感謝のきもちを
つたえることができました

そのあとお手洗いで泣いて
院内のカフェでおちついて

チューリップを2本買って
いっしょに帰ってきました



いつかどこかでひょっこり
再会できたらうれしいです

光をさししめす人

光をさししめす人

暗闇のなかに放り込まれて

何も見えなくなった人には

ほんのわずかな小さな光が

生きてゆく希望になること



手術を終えた病室のなかで

希望を見失い闇にのまれた

忘れられない感覚をかてに

光を指し示す人になれたら



できないことが増えていく

病気を授けられたわたしの

向かう先に見えているのは

消えることのない美しい光

***

わたしのせんせい

わたしのせんせい

わたしにとって主治医の先生は
おおきなふかふかのクッション



病気のこわいお話だって先生の
口から出るととてもやわらかい

進行性でいのちにかかわる難病
だけどゆっくり受けとめられた



検査の結果がわるくても先生の
お話をきくと何だかあたたかい

できないことが増えていくけど
ここまで穏やかに歩んでこれた



心も体もすっぽりつつみこまれ
わたしは安心して身をゆだねる

***

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