だって
アメリカ回想録。時系列はバラバラ。
読んだ本の感想を気が向いた時に記します〜
読書が好き、ということで備忘録的にはじめてみる。 道ゆく人を取っ捕まえて、「私誰よりも読書が好きで本のことに関しては誰にも負けません、寝る間も惜しんで年間500冊読んでるんです!」と主張する程の読書家ではない。 でも、世間一般的には激務とされる業界で働いているわりに一ヶ月に4-5冊読めているのは、私の本への愛(と、「私生活が一番大事だ」と声を大にして言う私に望んだ働き方をさせてくれている会社の懐の深さ)の賜物だと思っている。 「あんまり好きじゃないかな」と思った本でも、
雨が多い街に住んでいた。それも、冬に雨が多い街だ。 私は雨が好きだが、冬の雨というのは本当に暗くて冷たい。 「あ〜お〜いそ〜らが〜見えぬなら青い傘ひろ〜げて〜」ではないが、そんな気候に気が塞ぎつつあったからか、私は開くと大きなひまわりが出現する折りたたみ傘を買った。 青い空の柄の傘もあったが、それはなんだか恥ずかしかった。ひまわり柄も同じくらい恥ずかしいだろ、と今では思うのだけれど。冷たい雨が降って体の芯からジワジワと冷えていく冬に、まともに物を考えられる人間なんていな
自分でも、よくやったなと思う。 私は人生初の一人暮らしを、とあるアメリカ西海岸沿いの州の、小さな街ではじめた。 しかもアパートは内見もせず、日本にいる間に決めてしまった。 本当に幸運なことに大家さんはとっても良い人で、家賃は7万円以下なのに家具付きで、リビングは10畳くらいあるし、寝室は6畳くらいあって、キッチンも素敵だった。 マットレスは寝返りをうっただけでかなり大きな音できしんだし、隣人はただで私のWifiを使わせろと乗り込んできたけれど、私のアメリカ生活史上最高
あれは、俗に言う一目惚れのようなものだったんだと思う。 その日私は女装パーティーなるものに参加していた。 そもそも知らない人と話すのが全く好きではないし、計3人以上での会話というのはストレスでしかないと当時の私は気がつきはじめていたので、友人が入れてくれた紅茶とビスケットを食べながらそのパーティーに誘われた時は断った。 友人はその時「そう」と引き下がったが、私が紅茶とビスケットの礼を言って自分のアパートに帰ったあと、「やっぱりあのパーティー行かない?どうしても行きたいの
久しぶりの読書記録。 最近「世界の小説大百科 死ぬまでに読むべき1001冊の本」という分厚くて重い辞典のような本を手に入れ、その1001冊を読むことを人生の目標にしようかしらと考えている(ちなみに恥ずかしながらまだ14冊目)。 でもそこに載っていない本だって読みたいし、昔読んだ本を再読したくなることもある。 そこで手に取った「ノルウェイの森」。 高校生の時にはじめて手に取った村上春樹の作品が、「ノルウェイの森」だった。 それは随分昔のことだし、当時の私にはこの作品の
私はとにかくお酒が弱い。 その日クラブに行く前にどこかで呑んでいたのだけれど、それがどこだったのか、さっぱり覚えていない。 覚えていないのは、別に酔っていたからではない。私はお酒を呑みすぎて記憶がなくなったことはないし、だいたい記憶をなくすほど呑んでみたくても、記憶がなくなる前に嘔吐してしまい、それ以上は呑めないからだ。だから幸い、気がついたら新宿のアスファルトの上にゲロまみれで転がっていたという経験もない。 それでも当時、私は弱いながらも毎週のようにお酒を飲んでいた。
ドドドドドドド田舎に住んでいた。 車のない生活など想定されていないので、歩道のある道路などない。この街の人たちは、産まれ落ちた瞬間から車を充てがわれているに違いない。 私はこの街に長く滞在する予定もなかったので、車も持っていなかった。それでも自分が思い立った時に足を伸ばせる行動範囲を広げたかった。しかし歩道のない車道を歩こうものならしきりにクラクションを鳴らされるし、心優しい人(と信じたい)が「乗っていく?」と車から声をかけてくれることもあった。もちろん乗らない。 そん
秋だったと思う。 Anthropologie(私の好きなブランドだ)で、いちょう柄のスカーフが目に留まった。真っ先に彼の母親の顔が思い浮かぶ。秋生まれでスカーフが大好きな彼の母親に、ぴったりだと思った。 値段はスカーフにしては随分高い、と当時の私は思った。スカーフと言ってもマフラーみたいに防寒性のあるものではなくて、首が少しだけ寒い時に巻く、ツルツルで薄いものだったから。自分の母親世代の人にAnthropologieをチョイスするというのも、まあ若干年齢層が若すぎるかもし
お化け屋敷。ギネス博物館。不思議な世界への旅を約束する乗り物。 私たちは、テキサス州で3番目くらい(勘)に大きい街にいた。 とはいえ、平日の昼間に観光客向けと思われる3つのアトラクションに目を向ける人はいない。よくある「3つのチケットセットで安くなるよ!」といった類のあれだ。 隣にいるのは、お化け屋敷嫌いの友人。私だって、怖いものは苦手だ。洋画はまだしも、邦画のホラー映画には挑戦できないまま大人になってしまった。特に「この物語を聞いた人にも同様に呪いがかかります」系の映画
随分とnoteを放置していたような気がする。 これまで読んだ本の感想をツラツラと書いてきたが、それもなんだか書く気が起きなくなってしまった。本は変わらず読んでいるし、飽きたというのともなんだか違う。ただただ書く気がなくなってしまったのだ。そのうちまた書きたいことが出てきたら、ひょっこり書き始めるだろう。 そんな中、私が「書き残しておきたい」と衝動を抱いたのは、アメリカでの生活のことだった。私のアメリカ生活の半分以上は独りでいろんなことを考える時間だったから(「海外で暮らす
カズオ・イシグロがノーベル賞をとってから彼の作品を書店で見かけることが多くなり、ずっと気になっていた。でもなぜか「よくわからない小説に違いない!」と思って敬遠していた。 それが「さあ読むぞ!」となったのは、村上春樹がカズオ・イシグロの小説をよく読むと言っていたからです。 この本は、簡単に言うと、執事のStevensがイギリスの田舎を旅しながら過去を振り返り、旅の最終地点で以前の同僚Ms.Kentonに会うお話。 カズオ・イシグロがどんな話を書くのかも知らなかったし、あら
ノンフィクションを読んで考えすぎて疲れてしまったり、びびりながらホラーを読んで疲れてしまった結果、「元気が出る本」と検索するに至った。 そして出逢ったのがこちらの一冊。 「卵の緒」と「7's blood」、「普通」とはちょっと違った形の家族の物語が2編。「普通」かどうかなんて、どうでもいいよね。 なんてことないシーンでもいちいち心が温まり、なぜ泣くのかわからないところで号泣する自分が心配になった。 お涙頂戴物語ではないのに心が温かくなってほろりとしてしまう、そんな一冊
ようやく読んだ村上春樹さんのデビュー作、「風の歌を聴け」。 デビュー作にも関わらず、「村上春樹はずっと前から村上春樹だったんだ...!」と感動した。 僭越ながら、好きな作家のデビュー作って期待外れなことが少なくない。 「え、こんな女子高生いないわ!女子高生の描写気持ち悪いな!」とか 「アルコールの匂いがする化粧落とし?肌荒れるわ!!」とか 私の中のガヤ芸人が暴走してしまうのだ。 たぶん初めて読む村上春樹さんの作品がこの本だったら、「よくわからないなあ」となって、そ
この本を読んでいる人を見かけて、このタイトルだけ見たら、ちょっと心配になりますよね。 私は元気です。 「村上さんのところ」で河合隼雄さんの話がよく出たので、ここはひとつ河合隼雄さんの著書を読んでみようと思い立ったわけです。 最近エッセイ続きだなあ。 かなり重いノンフィクションとかひたすらワクワクドキドキハラハラ楽しむ系のミステリーとかもわんさか読んでいるんだけれど、なかなかこうしてnoteに書き留めようとならずネタがなくなりそうだ。 ストーリーが面白くても、私個人に
大好きな北大路さんのエッセイ。このエッセイは苦手図鑑の次に好き。 私と北大路さんの出逢いは、私がアメリカに住んでいた時に遡る。 おそらくみんな聞いたことのある都市だけれど、わざわざ大金を払って航空券を買って訪れるような魅力的な街ではなく(失礼)、日本人もそんなに住んでいない街の図書館でなぜか苦手図鑑に出逢ったんです。 それ以来大好き。 あの街での唯一の心残りは、あの図書館に苦手図鑑の購入依頼を出した人にお会いできなかったことだけです。 このエッセイは北大路さんが流行
題名と可愛らしい表紙からわかる通り、「一生懸命頑張らなくてもいいじゃん」というメッセージが詰まった一冊。 この間ちらっとAmazonのランキングを見たら、50位くらいだった。 みんなけっこう疲れているのかしら。 私はけっこうな負けず嫌いで、人生の半分以上「1番じゃないと嫌だ!!!」という気持ちを原動力に爆走してきたように思う。 自分よりできる人、あるいは自分と同じレベルの人がいれば、真正面から正当な方法で蹴落として上に行きたいと思っていた。 それで1番になったことも