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コミュニケーションを避けたい、人目につきたくない息子の話

「いらっしゃいませ」
「いつもと同じでよろしいですか?」
「ありがとうございました」

息子(ASD/ADHD)が好んで通う理髪店の店主さんは、(お一人だけのお店)この三つしか言葉を出さないそうです。

昭和人間の私からすれば、
「商売人が会話できないなんて、致命的ちゃう?!」
正直言ってそう感じます。

しかし発達障害の息子との生活を通じて、
私には持ち合わせがない感性の存在を知ることになりました。

「常識的に考えて」
「普通はこういうもの」
「みんながそうだから...」
最近まで上記の言葉になんの疑いも抱かなかった私です。
なんて私は心の狭い人間だったのだろうか!と、今では思います。


先日息子は内科受診の際に採血をしてもらいました。

ベテラン看護師さんは事も無げにスッと一発で息子の腕に注射針を刺したそうです。手際が良くて大変ありがたいのですが、お話し好きなのが息子には苦痛だったようです。

看護師さん:「汗かいてるけど、私の顔が怖いからかなぁ?」
息子:「。。。。。。」
看護師さんは冗談を言われたのです、息子の心をちょっとでも楽にしようと。しかし息子はその気持ちに気づいていながら、とっさになんと答えていいのかわかりませんでした。

採血が終了してから息子は私に聞いてきました。
「『いいえ、そんなことありません』て答えればよかったのかな?」
そして暫く考えこみます。気が利いた言葉が出せない自分を情けなく思い、落ち込みます。(難儀やな~)


また、ある時息子は、
「定食屋で『いつもありがとうございます!』て声をかけられるのは嬉しくない、行きたくなくなる。」という感想に共感していました。

私は意味が分かりませんでした。
「憶えていてくださって、うれしいな。」と感じる私だからです。

息子にしてみれば、
「できるだけ人目につきたくない、自分の存在を知らないでいてほしい!」
のだそうです。


私は以前、息子のことを頭から全否定していました。
最初から怒った口調で、
「なんでちゃんと受け答えができないの?」
「こんな時は○○〇○って言うべきでしょう?」

自分が産んだ子どもといえども、感覚は私とは違う、違う人間なんだと思うようになりました。


私:「なぜそんな気持ちになるの?」
息子:「他の人に自分の存在を知られたくないから。」
私:「そうか、知られたくないんやね?」
「今日の場合はどうすれば良かったと思う?」


息子のちょっといびつな態度を見て、怒らずに会話ができるようになったのは、恥ずかしながらつい最近のことです。

母としても成長していきたいと日々願っております。


たおたおです、よろしくお願いいたします。








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