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雑木の庭をつくり続けて42年の庭師が考える「これからの日本の庭」(雑木の庭師/大島裕)

自己紹介
雑木をこよなく愛す庭師です。趣味は、山遊びや渓流釣り。
自己紹介はこちらをご覧ください。

季節の変化を感じることができる「雑木の庭」

「雑木の庭」は、山に生えているような木々や草花を使ったお庭です。都市に暮らしながら、自然を感じられるのが特徴です。どんな時代でも日本という土地に住んでいれば、日本人としての感覚を持っています。特に庭に興味のある人は日本の風土に自生する自然味あふれる木々を好まれます。

雑木の下に山野草を植えた園路。森を散歩している気分になれる
雑木がデッキに緑陰をつくる

私がよく使う雑木は広葉樹の中でも落葉するものです。一般的な広葉樹は、モミジやヤマボウシ、エゴ、シデなど。四季の変化によって、新緑から紅葉まで楽しめるだけでなく、窓際に植えれば、夏は日よけとなり、冬は落葉して、日差しを部屋の中に取り入れることができます。

春の芽吹き、新緑が楽しめ、夏は緑陰をつくってくれる
雑木は天然のカーテン。冬は落葉し、日差しを取り入れることができる

近年、「雑木の庭」が注目されるようになったのは、人々の自然に対する視線が変わってきたことがあると思います。日本各地が世界遺産に認定され、日本の風土、自然が見直されているのではないでしょうか。

伊豆の山河

これからは、「品格」のある庭

五木寛之の本にこんな言葉がありました。「敗戦から見事に登頂を果たした今こそ、実り多き、下山を思い描くべきではないか」と。敗戦から立ち直るには、利便性、金欲が必要だったかもしれません。しかし、資源の枯渇や自然破壊に直面している今、山下りながら、日本も自然に対する付き合い方を学ばなければいけません。

今こそ、日本人の根本的なものを考え直さなくてはいけない時期に来ているのではないかと思うのです。

時流は「派手な庭」ではなく、「目立たず目立つ庭」「さりげなく目立つ庭」ではないでしょうか。

日本人の「品」が見直されているのを感じます。

photo by tomomi

古い石畳や年輪を感じさせる木など、古さを感じるものに対していいなと思う人が多くなっています。石畳の目地がぴしっと決まっている庭や木々の選定がきちんとしてある庭など、腕のある職人が手をかけている庭には、自然と色気や品が出るものです。

神は細部に宿る。目地にも石張り職人の細やかな神経が行き届いている

自信をもって本当にいい庭をつくりたい


私はひとりよがりの芸術家ではなく、職人です。職人とは、お客様の気に入るものをつくってさしあげる仕事のできる人間のことだと考えています。

私がお客様と直にお話して、私が図面をひいて、私が庭をつくります。下請けには出しません。

photo by tomomi

庭をつくるのも造園をするのも、絵や車を買うのと同じです。買える範囲で一番いいものがほしいはず。その希望をかなえてさしあげたい。お客様がほしいものは何か、いつも考えています。

庭をつくるときにいちばん大事なのは、お客様の好みや希望を察すること。打合せをすると、お客さんの雰囲気で、好きそうな庭が見えてきます。庭で何をやりたいかも肝心です。バーベキューをやりたい人には、デッキの近くに水場をつくってあげたい。デザイン的にいいなと思っても、お客様のための庭ということを忘れてはいけないのです。

バーベキューをする時に便利なようにデッキそばに立水栓を設けた
隅々まで手を抜かない。立水栓回りを見せ場に

プロとしてお客様の願いを形にする

ただ、庭づくり・造園・エクステリアづくりに関してお客さまは素人なので、プロとして、リードしてあげないといけません。お客様の言う通りに何でも植えて、「後でこんなはずじゃなかった」と後悔してほしくないのです。だから、全てをお客さまのいいなりにはなりません。「オリーブを植えたい」と言われたら、「10年で枯れてしまいますよ」、「コニファーが好き」と言われたら、「コニファーも悪くないけど、手入れできないと大きく育つから大変ですよ」と、はっきりと伝えます。

「なんでうちに決めたのですか?」とお客さまに聞くと「いろいろ教えてくれたから」とおっしゃる方が多いのです。それが、プロと素人の差です。100%喜んでいただける庭をつくりたいと思っています。

photo by tomomi

自分の目で選んだこだわりの雑木を使う

こだわりは、自分の目で見て選んだ、山採りの雑木です。実際に、山へ行き、形を見て買ってくるのです。自分の頭に全部入っているので、「この庭にはあの木だな」とピンときます。

日本の庭にはモミジがよく似合います。使うのは、ヤマモミジやイロハモミジ。モミジは、枝振りが直立しないので、枝と枝とがかぶりやすいところに大変味わいがあります。

水場には小鳥も訪れる

庭は、元々癒されたり、こころ豊かになるための場所です。楽につきあえる庭が楽しい庭。草取りや水やりが生活の負担にならない庭づくり(造園)を心がけています。

アウトドアリビングとして使うなら目隠しフェンスは必須

うちには、何でもこなす職人がいますし、私は率先して、何にでも挑戦するタイプ。長く庭づくりに携わっていると、時代の流れとともに、求められる庭の形が変化していくのを感じます。私は、常に、ほかとは違う色をお客さんに見せてきたし、これからも、見せていきたいと思っています。

※私がつくった庭は、実例紹介に一例を掲載しています。

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ご連絡先
大宏園
044-975-1939
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daikouen0607@gmail.com


大宏園
大島裕が代表を務める大宏園(神奈川県川崎市)では、1982(昭和57年)に設立してから今まで、日本全国500件以上で、日本の風土に合った庭づくりを行っています。テレビ東京 「TVチャンピオン」「ガーデニング王選手権優勝、NHK 「趣味悠々」「とびっきりガーデニング自然流 AtoZ」
、ガーデン&ガーデン各号(エフジー武蔵)、「花と雑木の庭」(主婦と生活社)、「雑木の庭づくり」(学研パブリッシング)他メディア掲載多数。