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生理痛が酷いから噂のピルを試してみた

私は生理痛が重い方だった。

だが、重いとは言っても薬を飲むほどではなく
毎月耐えられる痛みの腹痛や頭痛やダルさと付き合う程度だった。

 
それが段々とレベルが上がり
私はロキソニンが手放せなくなった。
20代の頃だ。

PMSも辛く、情緒は不安定になり
生理前は苛々して周りの人に八つ当たりし
生理中はクヨクヨして落ち込んでいた。

 
30代になると生理痛は更に強く激しくなった。

痛みで立ち上がれなかったり
夜中は必ず痛みで眠れなくなり
血の量が多くなったりと
ろくでもないことばかりだった。

腹痛や頭痛、ダルさはもちろん常にある。 
肌荒れもだ。

 
 
そんな中、去年コロナの影響もあったのだろうが
生理中は

今すぐ死にたくてたまらない

という衝動に毎月襲われた。 
大体生理二日目か三日目くらいに、数時間だけある衝動だ。
特に何か理由があって死にたいわけではなく
本能的に生理的に死にたくなった。

 
そういった衝動に襲われることは、生理歴20年以上の私でも初めてのことで 
毎月のことだから
ホルモンバランスの崩れのせいだと分かりつつも
私は怖くてたまらなかった。

具体的には、道路に飛び出してひかれたかったり
一般道を100km以上で走ってカーブを曲がり損ねて、崖下に落下したい欲だった。

 
ちょうど転職活動中だったので
私は生理二日目から三日目は、家で過ごすように気をつけた。
私は自室で一人、泣いたり、自分の体を叩いたり、抱きしめたりしながら
死にたい衝動と戦っていた。

外にいたら、本当に車の前に飛び出しそうで怖かった。

 
 
親友もたまたま私と同じ時期に、生理中に死にたくなると打ち明けた。
親友は高いビルから飛び降りたくなるらしい。

 
私と親友は生理時期がズレていたし
親友は死にたくなると私に連絡をしてくるタイプだったので
私はうんうん、と話を聞いた。

ホルモンは最強だ。
ホルモンには抗えない。 

 
他の女性はどうか分からないが
同い年の親友が同じ時期に生理中に死にたくなった為
年齢やコロナのせいだと思っていた。

 
 
そんな状態や現状を、昨年秋頃にnoteで書いたところ
女性からの反響が凄まじく 
TwitterのリプやDM
LINEで
様々な女性からメッセージをいただけた。

 
noteに毎日何かしらのエッセイを書いているが
女性からの反響が一番多かったのが
生理をテーマにしたものだった。

 
 
皆様からは非常にあたたかい言葉をいただけた。
優しかった。

「私も生理痛がひどいです。」

と打ち明ける方も多く
いかに女性が人知れずに生理痛と戦いながら
学生や社会人として頑張っているかが伝わった。

 
私に連絡をくれた方ほぼ全員が、ピルの服用をすすめてきた。
県内の友達にいたっては、我が家から近いオススメの産婦人科のURLまでLINEで送ってくれた。

確かにピルを飲むと楽だとみんなが言う。

 
毎日飲まなきゃいけないとか
小まめに通院しなきゃいけないとか
値段も安くないとか
デメリットはいくつもある。

 
だが、noteに書いた時に皆様から心配され、あたたかなメッセージをいただけたことで
私は背中を押された。
ちょうどnoteを書いた後に来た生理が、過去一酷く、お腹や頭以外もズキズキ痛み、しかも生理後も痛みが何日も止まらない自体になった。
生理中にロキソニン一箱を飲みきったことも決定打だった。

私は産婦人科に行くことを決意した。

 
 
以前から、時折お世話になる産婦人科がある。

姉がかつて子どもを出産した場所で、病院の対応がよかったので
私は何かがあったら、その産婦人科に通院するようになった。

 
産婦人科の受付では、今日どんな状態で通院したのか用紙を配られ、事細かに記す。
番号札を渡され、名前を呼ばれないのが産婦人科ならではだ。

その産婦人科には、熱帯魚の水槽があり、私は名前を呼ばれるまで魚を眺めている。
私は熱帯魚が好きだった。

 
いつも混む産婦人科だが、私がしばらく行かない間にお産をやめたらしく
その関係か患者は少なかった。
私はあっさり番号を呼ばれ、診察室に通された。

医師「その後、●●はどうなりました?」

 
私「大丈夫でした。」

 
医師「再発しやすいのに。君はラッキーだね。」

 
 
数年前の通院の時は、あぁそういえばあんな内容で通ったんだよな、と思い出した。
そうなんだ。再発しやすいんだ。
ラッキーでよかった。

 
前回のおさらいをした後、いよいよ本題に入った。
私は正直に、生理痛が重くなり、一日にロキソニン3錠を飲むレベルであったり、死にたくなることを伝えた。

医師「生理前に死にたくなることはあるけど、生理中に死にたくなるの?」

 
私「生理前は死にたくならないんです。死にたい衝動は毎回数時間だけなんです。」

 
医師「一回の生理でロキソニン一箱!?逆に胃がやられるよ。」

 
私「胃薬はもともと毎日飲んでいますので…(貧血の薬の副作用の関係)。」

 
医師「ピル飲めば全然違うから。そんなにロキソニン飲むくらいなら、ピル飲んだ方がいい。

あと、座薬を出してあげる。座薬なら胃が痛まなくて済むから。一年は使えるから、冷蔵庫に入れておけばいい。辛い時だけね。」

 
ピルの処方は、アッサリ決まった。
そしてまさかの座薬まで処方された。
多分使わないし、いらないなぁ……と思いながら
ロキソニン一箱女は余計なことは言えない。

 
 
私「もしもピルを飲んでいてもお腹が痛い時、座薬やロキソニン等他の痛み止めは飲んでいいんですか?」

 
医師「大丈夫だよ。」

 
私はホッとした。

ピルを飲んでも痛みがある友達もいたし
産婦人科に行く予定がなかった頃、私はロキソニンを大量買いしていた。
もしもの時はロキソニンのお世話になろう。

 
医師「出血量が増えてる、か……。内膜剥離ではないと思うけど、内部も調べましょうか。子宮がん検査もしとく?」

 
私「はい、子宮がん検査もお願いします。」

 
どうせ股を開くなら、隅々までよく診てもらい、調べてもらった方がいい。
ちょうどこのタイミングで通院したのはよいタイミングだったのかもしれない。

私は病院で恥じらいは全くないタイプなので
ちゃちゃっと下着を脱いで、所定の位置に座り、医師の指示通りにした。

 
先生は上手だったと思うが
久々に器具が内部を調べている感が微かに不快だった。

いでででで……

内心、痛みに耐えている時に

 
「きれいなピンク色だよ。病気の心配はないね。異常はないよ。ここは●●で…」

 
と、先生はモニターを使って丁寧に解説してくれるが
半泣きになりながらモニターを見て、分かるような分からないような解説を聞きながら
「はい。」とか「そうなんですね。」とか「よかったです。」とか
私は繰り返し答えた。

そして早く検査が終わることを願った。

 
恥じらいよりも痛みと戦うのが産婦人科だ。
(後日検査結果が出て、子宮がんではないとのこと。)

 
 
医師の話によると、一ヶ月分のピルをまず処方し
来月とさ来月にまた通院し、ピル服用後の様子を伝え
異常がなければ、そこからは三ヵ月分のピルを渡してくれるらしい。
その後も特に異常がなければ、診察なしで処方箋だけ渡してくれるらしい。

 
なーんだ!
毎月通院じゃないんだ!
三ヵ月分まとめてくれるんだ!
ラッキー!!

 
私はウキウキした。
ピルの何がデメリットって、【毎日飲まなきゃいけない】【毎月通院】の二つがメインだ。
そのデメリットの一つがアッサリ解消されて私は嬉しかった。

 
更に薬局で、【ピルを飲み忘れた場合】について説明を受けた。
なるほど、一日飲み忘れた場合と二日飲み忘れた場合が想定され、説明が入っている。

 
【絶対】ではないんだ。
【万が一飲み忘れても】大丈夫なんだ。

 
私は晴れやかな気持ちで病院を後にした。
これで生理痛とおさらばできたら、ピル代なんて安いものだ。

 
 
私はピルを服用するのは二回目だ。

前は中学時代に一回だけ飲んだことがある。
学校行事と生理を被らせないためだった。  

その時、副作用がどうだったかは忘れた。
ただ、生理が遅くなってすごいと感じた。

 
10~20代は避妊薬のイメージが強く
アラサーになると生理痛軽減のイメージが強いが
当時の私にとって、ピルは生理が来る日を調整する薬という認識だった。

  
 
ピルは三週間一日一錠飲み続け、飲まなくなって三日後に生理が来る。

私は生理の周期が早く、生理期間が長く
毎月ほぼPMSと生理痛で一ヶ月の半分以上が終わるが
ピルにより、周期は遅くなることも分かった。

ありがたかった。

 
【ピルは副作用が強いが、2~3日で副作用はなくなると思われる】と説明を受けた。
私は念のため、ピル服用3日間はプライベート予定はいれなかった。
副作用が出ない人もいるが
友達は夜中に吐き気に襲われたと言っていた。

 
ドキドキしながら、私はピルを服用した。

吐き気はなかったが
お腹の張りや胃の違和感を感じた。

 
なるほど、これが副作用か…?

 
それは3日間でピタッと止まった。
薬剤師さんの説明通りだった。
体に薬が馴染んだのだろう。

 
副作用で不正出血も出ると聞いていたが
なるほど、想像以上に不正出血の日が続いた。
体が新しい薬に反応している。

小さな白い錠剤一粒でここまで変わるのだから
薬とは大したものだ。

 
 
ピル服用後、初めての生理が予定通りに来た。 

30代になり、生理前にも腹痛は3日間くらいあるし
生理中も酷いものだが

なるほど、少しだけマシになった。

 
 
「楽になる。楽になる。」とみんなが言っていたから、もっと楽になると思ったが

少し楽になる

程度だった。
ロキソニンを飲む量は減ったが、相変わらず手放せないし
お腹の痛みが薬を飲むか飲まないか絶妙なラインなので
結果飲まないで耐えようとしてしまい
本末転倒みたいなところがあった。

 
医師「飲み続けると体がどんどん変わってくるんですよ。そんなにすぐには楽になりません。

一気に三ヵ月分処方しますか?」

 
ピルデビュー後初めての通院時は、前回と違う医師が担当した。
どちらも男性医師である。

とりあえず薬出しときゃいいだろう的な反応が気に入らず

 
「前回の通院時に●●先生からは、もう一度様子を見るように言われましたので、もう一度生理が来て、問題なければ三ヵ月分ください。」

 
と、つっぱねた。

 
確かに社会人ならば、まとめて三ヵ月分ほしい。
だが、初回時はピル効果が絶大まではいかなかった。
そして今は転職活動中の身だから、時間はまだ融通がきく。もう少し見極めたい。
欲を言えば、ピルで生理をコントロールしてから転職したかった。

 
 
お腹の張りや不正出血は最初だけだったので、ホッとした。
私は飲み忘れることなく
毎日ピルを飲んだ。

 
二回目の生理も、めちゃくちゃ楽!ということはなかった。
だが、一回目の生理よりは楽だったし
飲まないよりはマシ
というレベルだった。

 
 
腹痛の痛みを例えるなら地震がいい。

ピルを飲む前は
直下型地震で震度4や震度5クラスが生理二~三日目、生理中の夜中、朝方にあり
生理三日前~生理中、生理後数日間は余震で震度2~3クラスが小まめにあった。

 
ピル服用後は
直下型地震はなくなった。
痛みで夜中や朝方に起きることもなくなった。
ただし、生理前日~生理中、生理後二日間くらいは震度2の痛みがあった。
生理二日目か三日目は震度3くらいの痛み…横揺れのような痛みが長く続いた。

 
即ロキソニンを飲むほどの痛みではなくなったが
違和感を消せるほどの痛みでもなく
結局ロキソニンに手を出した。

 
 
だが、確かにピルを飲むようになり、死にたい衝動はなくなった。
夜中や朝方に痛みで目が覚めたり、立ち上がれなかったり、泣くほどの痛みはなくなった。
生理の周期は長くなったし、痛みの期間は短くなった。

 
これが、ピルの力か。

 
医師「飲み続けると体がどんどん変わってくるんですよ。そんなにすぐには楽になりません。」

  
前回と同じ医師は同じ台詞を繰り返した。
私は今回は三ヵ月分まとめて処方をお願いした。 

 
 
 
ピルを飲み出してから、劇的に楽にはならなかった。
即効性なら、ロキソニンの方が断トツだ。

 
ただ、ピルを継続的に飲むようになり
私の体は確かに
徐々に徐々に痛みが少ない体質へと変わっていった。

 
ピルを飲み出してから、3回目の生理が来たが
なるほど確かに、前回より更に痛みが少ない。

ありがたいことだ。

 
産婦人科に行く直前の生理時(生理前、生理中、生理後)は
約一ヶ月間痛みが止まらなかったので
今は痛みがだいぶ軽減され
ホッとしている。

高校時代~20代前半くらいの生理痛レベルだ。
ありがたい。

 
 
 
生理痛レベルが上がったことの理由の一つが、晩婚化らしい。
ピルを処方された際、現代人女性の生理痛悪化の話が冊子に書かれていた。

昔より今は発育がよくなり
昔の人より早く生理が始まるようになった。
にも関わらず
昔の人よりも初出産が遅くなった。

 
そのことにより、ホルモンバランスが崩れたり
生理痛が重くなっているらしい。

確かに言われてみれば
私に生理痛がひどいと伝えてきた人は
アラサーもしくはアラフォーの方が多く
妊娠や出産をしていない方々だった。

  
周りの友達に話を聞くと
ピル服用率は想像以上に高かった。

晩婚化や私が独身でいることで
こんな弊害があるとは思わなかった。

 
私の子宮は赤ちゃんを待っているのだ。

準備バッチリなのだ。
生理が人より早かった分
妊娠や出産で子宮が使われないことにより
バランスを崩し
生理痛激痛に繋がったのだ。

 
 
私は自分のお腹を撫でる。
かわいそうに。

ちゃんと健康的に機能しているのに
毎月ただただ生理は来て
私の子宮は赤ちゃんを育てることに使われないまま老化していく。
申し訳なくて仕方ない。
 
 
世の中には子どもがほしくてもできない人がたくさんいるのに
子どもを望む夫婦はたくさんいるのに
独身の結婚予定のない私に
立派な子宮だけ用意してあるなんて

なんという皮肉と残酷さだろうか。

 
 
まだ私は生きているし
人生どうなるか分からないし
これから先、結婚したり、出産したりするかもしれない。

だが、30代女性の結婚率や出産率は非常に低い。

そして私は恋愛の諸々の経験や
自分の性分や価値観
本家を継ぐという立場上
この人生で結婚や出産は絶望的だと思っている。

 
 
生理痛悪化からピルを服用した。
だが、その背景には、結婚できない私が理由としてあった。

本当はピルに頼ることなく
愛する人と結婚し
愛する人との間に子どもを授かれたら
それが一番よかっただろう。

 
頭で分かっていても
自力ではどうにもならないことが
世の中にはたくさんある。

 

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