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ムクドリの逆襲

【前書き】
特に実のある話でもなく、私の周りで起きた出来事を振り返る回です。

 駅への道を歩くたびに、「キイキイキイキイ」と声がする。何だかめっちゃ近くに鳥がいる!と思っていたら、続いてその声に呼応するかのようにそこから少し離れたところから「キイキイキイキイ」と声がするではないか。

 こんな至近距離で愛の囁きを交わしているのか、それならば近づいて一緒に行動すれば良いのに。と若干呆れた。すると次の日も同じ場所から同じような声がするではないか。

 変だなと思って調べてみたらなんとムクドリの糞があまりにもひどいため、近づかないように対策しているようだった。なぁんだ、と少し拍子抜け。ところが事態の深刻さを私は数日後に知ることになる。

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 たまたま図書館への道すがら駅の近くを通りかかったら突如黒い影が私の頭上を覆い被さる。なんだなんだと思っていたら、なんとムクドリの群れだった。まさかこれほどまでに多いとは思わず思わず凝視する。びっくりしすぎて写真を撮るのを忘れた。

 そして私の前にいた女性が悲痛な声をあげる。「やられた!」と言って腕をさっとティッシュで何かを拭っている。どうやらムクドリの糞が落ちてきてしまったらしい。まるでロシアンルーレットである。誰がその糞爆弾を食らってもおかしくない状況だった。久しぶりにゾッとした。

 本当にこのトップ写真にあるような光景なのだ。いつかムクドリによってこの世界は征服されてしまう日が来るのかもしれない。

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 何も害を及ぼさないと思っていた存在に突然生活を脅かされる恐怖。コロナで自宅から出る機会が少なくなった折、久しぶりに外へ出たら異様に目をギラギラさせた真っ黒な鴉に睨まれたことを思い出した。

 鳥つながりで言うと、鳩も恐ろしい。「平和の象徴」とされているが、うっかりこの世に放たれた侵略者ではないかと思ってしまうくらい奴らはなかなかに恐ろしい存在である。

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 また話はコロリと変わるが、昔有川浩さんの『海の底』を読んだ。

 『空の中』、『塩の街』と並ぶ自衛隊三部作と言われている。突然海の底から大きなザリガニが現れ、人々を襲っていくという話だ。もちろん荒唐無稽だと一笑に付すこともできるだろうが、どこかそう思わせないリアリティがどこかにあった。

 一時期有川浩さんの作品にハマっていた時期があって、当時俄かにブームとなっていた『図書館戦争』も番外編含めて全て読んだ。図書館を死守するために図書特殊部隊がメディア良化委員会と戦う話。結構授業そっちのけで読んでいた気がする(全く何やってんだか、、)。 

 有川浩さんの小説はどこかエンターテイメント性があって、これまであまり本を読むことが習慣ではなかった人もかなりとっつきやすい。読んでいてワクワクするし小説の終わり方もなんだかスッキリする。気分転換したいときに手に取りたくなってしまう作品が多いのだ。

 ミステリーにおける読みやすさでいうと東野圭吾さんがぱっと思い浮かぶのだが、ラブコメディ×自衛隊というジャンルで言えば有川浩さんの次に並ぶものはいないと個人的には思ってる(その組み合わせ自体かなり特殊だが)

 一昔前映像化された『阪急電車』、『植物図鑑』、『三匹のおっさん』あたりも比較的さっくり読めるのでおすすめ。どれもなんかほっこり心が暖かくなる。

 鳥の大群に襲われて運悪く糞を浴びてしまい最悪な1日となってしまった方は是非。それはそれでなかなか特殊だとは思うけど。

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 突然得体の知れないものに襲われた時のことを考える。ゴジラとかガメラとかに襲われたらひとたまりもないだろうな。その時は潔くされるがままになってしまうのか、はたまた一定の抵抗をしようとするのか。何が起こるのかわからないこの世の中。何か起こった時のために身を守る術はしっかりしておこうと思う今日この頃。

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