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舞台芸術の素敵なエッセイ

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#エッセイ

【そして幕が開く】最終話 コロナ禍の演劇2021

【そして幕が開く】最終話 コロナ禍の演劇2021

ドラえもんに「石ころ帽子」というひみつ導具がある。それを被ると誰からも見えなくなり、そこに居るのに気にされなくなるのだ。
「どこにでもある石ころ」みたいに。

2021.3.12.
初日の幕が開く。

今や劇場には準備の活気と埋まった座席からお客さんの熱気や密度は
通信や電波で送られてきた冷静な映像でなく、それぞれが
JR中野駅を降りて交番横の線路沿いを歩き、

一つの舞台に向かって、
たどり着い

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noteの皆さん★演劇人の涙に目頭が熱くなった

noteの皆さん★演劇人の涙に目頭が熱くなった

この時期、演劇の話は伝えずにはいられません。私は、演劇を観る楽しさと喜びを生活に取り入れようと思う市民で組織している「市民劇場」に入会しています。2ヵ月に一度、全国的に活動している劇団のお芝居を観劇する機会があります。先日もコロナ禍ではありますが、万全の備えで、観劇してきました。

今回は、劇団俳優座の公演で、「北へんろ」というお芝居でした。

現代劇で、岩手県の中心部からやや離れた海沿いの集落に

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【場の説得力】第11話

【場の説得力】第11話

この劇場で
池田ヒトシさんの芝居がみるみる変わっていくのを目の当たりにした。

いい演技は、瞳の奥に灯が宿る。

間近に、そんな顔の表情を見ながら自分が役者として稽古できることこそ、コロナでずいぶん久しぶりだ。活き活きとしたツヤのある芝居を僕より年配の俳優さんが、額に汗しながら僕自身に演技を当ててくれている。だから僕も誠意いっぱい返そうとする。

セリフだけではない。

なんだろう彼自身がこの劇場

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