「ダークパターン」という罠に陥るな!
ダークパターンってご存じですか~。
最近増えているので要注意!
ということでちょっと説明します。
|ダークパターンとは
消費者庁のホームページには、「ダークパターン」について
と書かれているのだが・・・、実は、「ダークパターン」について法律上定義しているものはなく、かつ包括的・かつ直接的に規制する法律は見当たらないのだ。
|海外の例では
OECD(経済協力開発機構)が発出された報告書の中で、「ダークパターン」を以下のように7つの類型に分類している。
① 強制:ユーザー登録や個人情報の開示を強要する、など。
② インターフェース干渉:事業者にとって都合のよい選択肢を事前に選択している、視覚的に目立たせている、など。
例えば、HPやパンフレットなどで、「定期便で購入」を赤く大きく目立つように表示し、「1回だけ購入」は小さく目立たないように表示するなどして、定期便を購入するよう誘導している。
③ 執ような繰り返し(ナギング)
通知や位置情報の取得など、事業者に都合のよい設定に変えるように何度も要求する。
④ 解約やプライバシーに配慮した設定に戻すことなどを妨害する行為
サービスを解約しようとしても解約の方法がわかりづらい、または解約の手続きが複雑・煩雑であるなど、解約やプライバシーに配慮した設定に戻すことなどを直接または間接的に妨害する行為を行う。
⑤ こっそり(スニーキング)
取り引きの最後、気付かないうちに手数料を追加する、トライアル期間後に自動で定期購入に移行する、など、契約者の本意に基づかないような手法を講じる。
⑥ 社会的証明
ほかの消費者のうその感想、口コミや行動などを通知する。
「自分以外の多くの人が見ている」という情報を表示して、人気があるかのように見せかけて予約するよう誘導している。
⑦ 緊急性
ネット通販で気づかぬまま「定期購入」に誘導してしまう。
|解約を妨げる様々な手口 ~ 身近に潜む「ダークパターン」
人々の認知領域の隙を突き、商品を購入させたり、契約の打ち切りを防ぐなどの方法を講じたりしている例も多い。
インターネット上のWEBページに仕掛けられたその手法は「ダークパターン」と呼ばれる場合が多い。
<事例>
〇 解約したいのに・・・・
48歳の女性は父親(80)が携帯電話を手に焦っているのを見て、話を聞いてみたところ、
ネット通販で「シミが消える」「1,980円」とPRする美容液を注文したのだ。1回のみの購入のつもりが、その後送られてきたメールでは定期購入契約が結ばれており、2回目以降は1回6,000円近くかかる旨が書かれていたので解約したい。
というもの。
父親に代わって解約のための電話をするも、「電話が大変混み合っております……」という自動アナウンスが延々と流れるだけ。
ほかの手段(SNS)でのメッセージのやり取りで、二つの選択肢の提案があったという。
表示された内容は
☆ <本当にやめますか?>:<やっぱりやめない?>
というもの。女性は迷わず<やめる>を選択したのだが・・・、実際には、「解約手続きを取りやめる」という意味の<やめる>で、手続きは振り出しに戻ってしまったという。
☆ <やめるとポイントが失効します>。
契約を解除することでポイントが失効して無駄になることを告げる文言が執拗に表示されたという。
なんとか契約を解除した後、通販サイトを確認すると「定期購入」を示す文言は、ごく小さな文字で表示されていたという。
「定期購入」という文字をあえて小さく書き、高齢者がよく読まずに契約してしまうことを狙った手口で、無意識のうちに行動を操られることになってしまう(陥ってしまう)ような仕組みを講じているといえるのだ。
|消費生活センター情報
消費生活センター(国民生活センター)によると、ダークパターンが用いられている目的には、 次の3つが挙げられるという。
① ユーザーにより多く消費させる:
ダークパ ターンによって、ユーザーは不必要なものや、 必要以上の量を購入してしまう。
あるいは、 必要ないのに定期購入(サブスクリプション) してしまう。
または、ユーザーが退会するこ とを妨害する。
② ユーザーからより多くの情報を引き出す:
ダークパターンによって、ユーザーの個人情 報や本来提供する必要のない情報まで企業の 手に渡ってしまう。
③ サービスをより中毒性の高いものにする:
ゲーミフィケーション(ゲーム的要素でユー ザーがもっと挑戦したくなるような施策)な どによって、ユーザーがサービスなどを必要 以上に使うように仕向ける。
ということだが、逆にいえば、企業が前述のような目的を持っ て、目的達成のためにさまざまな施策を繰り返 していくことで、ダークパターンが生み出されたという。
|改正特定商取引法
前述のようなダークパターンなどにより不本意な契約がされないようにするための手段として、特定商取引法が改正された(令和4年6月施行)。
そのポイントとしては、
事業者は、取引における基本的な事項について、最終確認画面で特に定期購入意思の有無、解約方法などを明確に表示することが必要
となった。
もちろん消費者も、注文を確定する前の画面で、必要事項をしっかり確認することが重要だ。
なお、令和4年6月1日以降、誤認させる表示により申込みをした消費者は、契約を取り消せる可能性がある。
|おわりに
いずれにしてもダークパターンとして誤解や誤認を生じさせるような文言や表示などを行って契約を成立させようとする手口が横行している実態を踏まえ、消費者も定期購入契約なのか、取り消し方法はなど必要なポイントをしっかり確認したうえで契約をすることに努めよう。
<参考>
消費者庁HP:
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