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ウクライナにおけるユダヤ人の問題を読む「ウクライナの小さな町: ガリツィア地方とあるユダヤ人一家の歴史」

<文学(136歩目)>

ウクライナにおける、ユダヤ人の問題、ポーランドとの関係、歴史学者からの視点でとても参考になりました。

ウクライナの小さな町: ガリツィア地方とあるユダヤ人一家の歴史
バーナード・ワッサースタイン (著), 工藤 順 (翻訳)
作品社

「136歩目」は、バーナード・ワッサースタイン博士はイギリスの歴史学者ですが、この作品は文学的にも素晴らしいと思いました。

ウクライナ西部のガリツィア地方については、ヨーゼフ・ロートさんの文学作品で知っていた「つもり」でしたが、バーナード・ワッサースタインさんによりウクライナと東欧諸国、とりわけポーランドとの関係が理解できるようになりました。

ここ100年以内にこれだけ支配者が変遷した場所はない。故に、今後も「かつて」を標榜して色々な力が作用していく地域だからこそ、色々な立場からの作品を読んでおこうと思いました。

ハプスブルク帝国とか、ウクライナ西部をポーランドが支配していた歴史とか、知らない世界でした。

現代は、過去からの積み重ねの延長線上にあるとすると、未来も現代の積み重ねの延長線上にある。

すると、非常に難しい地域であり、民族の多様性を意図的に守らないと同様の紛争が起きそうと感じました。

現在のガリツィア地方は、歴史的に、オーストリア、ポーランド、ドイツ、ソ連とさまざまな国に支配され、翻弄されてきた。

本書の舞台は、ガリツィア地方の小さな町クラコーヴィエツ。著者のバーナード・ワッサースタインさんはイギリスの著名な歴史家で、彼の先祖はこの町出身のユダヤ人である。歴史家として客観的かつ生き生きとこの町がたどった歴史を語る一方で、この町と深い縁のある自分の祖先を悼むように、家族がたどった苦難の歴史を追いかけてゆく。

舞台はクラコーヴィエツで固定されています。
しかし、背景はどんどん変わる。このことにより読み応えある作品になっている。

ユダヤ人差別はありながらも多民族が共存したハプスブルク時代、国と国のはざまで幾多の戦争に蹂躙された混乱期、ウクライナとポーランド両者のナショナリズムに引き裂かれた近代、ナチスとソ連による恐怖支配、そして現代(ロシアとの戦争)。
ガリツィア地方という、「国と国のはざま」。そしてユダヤ人という、「民族と民族のはざま」。この二つの「はざま」の視点から、ガリツィア地方、ウクライナ、そして東欧の人びとがくぐり抜けた歴史が照らし出される。

今日で271日目、私の朝のルーティーンです。

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