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「近未来」のITから「愛(love)」を学ぶ「ハロー・ワールド」

<SF(10歩目)>
「近未来」のITを学びながら、「愛(love)」に包まれてみる。

ハロー・ワールド
藤井 太洋 (著)
講談社

「10歩目」は日本のIT業界の現場から。技術開発と「愛(love)」にかかわる作品です。

著者の藤井太洋さんは、元SEでベンチャー企業に勤務されていて、ベンチャー企業的な思考はとてもリアルです。

彼が得意とするのが「近未来」です。この「近未来」とは、ITの世界だと「数年~10年以下」のレベル(つまり超短期の未来)で、究極の「近未来SF」作品です。

すると、藤井さんの作品は、刊行後にわずか数年~10年程度で時代が追いつき、陳腐化するリスクがあるのですが、ここに普遍の「愛(love)」が散りばめられていて、読者の厳しい批評に耐える作品が多い作家です。

読むと、美しいプログラムを見つけた時と同様に仕様のバグが究極的に潰されています。まさに「美しい」と感じました。

<技術革新により、読みたい作品が自動生成される時代に>
かつて、SFの世界にはある作家が書かれた「世界観」をファンが集まってスピンオフ作品を制作するトレンドがありました。

(私はラリー・ニーヴンさんの「リングワールド」の世界にハマりました)

おそらく著者の藤井さんは、エンジニアとして現在のAIの進化を見ていて、小説がシミュレーションゲームの様に、「if」で分岐する世界になるであろう。そんな近未来に、読者のオリジナル制作のヒントやアイディアを提供されていると感じます。

「if」で分岐した世界を考えていく。ここにAIが入ると、そもそもの作者が考える「世界観」(オリジナルの考え)がとても重要になる。ここに「気づき」を与えてくれる作家です。

※100年後の世界なんて、誰も予想できません。故に、色々な「アイディア出し」がSF作品であるとしたら、SF作家なるものがAIに淘汰されて、新しい心躍らせるものがAIによりどんどん生まれてくる。

 そんな世界へ移行した際に、「あ~、以前に藤井太洋さんが書かれていた世界になんか近づいているなぁ」とSF者が話す時が来ると思う。

その意味で、作品単品で楽しむ以上に、2030年頃のSF作品のトレンドを学べると感じています。

例えば、SFの世界では巨匠であるアーサー・C・クラークさんや、フィリップ・K・ディックさん。あるいは小松左京さんの代表作が、読者の好みのプロットで書き換わった名作が出てくる。それが、小説ではなく動画等々で共有できる世界。。。それも間近に感じます。(ビジネスで考えると、「動画」が先か!?)

また藤井さんの作品で記載される様々な技術の中でも、特におススメなのは彼の「ブロックチェーン」についての言及です。今では、普通のお爺さんや、普通の若者も「仮想通貨」って単語だけを知っている。(笑)

この状態は、100年前の大恐慌前にNYの靴磨きの少年や中西部の主婦まで「株式」を語っているのと同じです。ここから次のステージに移行する際に参考になるのは、「本質を理解」して、「手段としてどう使っていくのか?」です。

ここが専門分野の私からも「やるね!」「いいね!」です。是非、ちょっと先を知りたい方には藤井さんの作品はおススメです。

また言及していますが、「愛(love)」は沢山注入されています。
「愛(love)」って「いいね!」ですね。

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