「東アジア」共有の原風景「歩道橋の魔術師」
<文学(34歩目)>
台北の原風景から、「東アジア」共有の琴線を学ぶ。
歩道橋の魔術師
呉明益 (著), 天野健太郎 (翻訳)
河出書房新社
「34歩目」は還暦以上の方ならば、「郷愁」。また若い読者の方ならば、「成長への息遣い」を感じる作品です。
作者の呉明益さんは、ちょっと驚く才能を持つ作家だと思います。
他の作品も一気読みしたのですが、とても素晴らしい。台湾と日本、台湾と中国を強く意識した作品で、現代台湾を知る私にとって、うなる作品でした。
台湾は、今も古いものと新しいものが混在する良さがあります。混在の理由は、急速な発展です。大陸の中国も発展のスピードが凄まじい。イメージは「古きを一気に壊して刷新する」。
台北は「古きの中に、無秩序に新しいものが混在して塗り替わるように刷新していく」。
この「匂い」を強く感じる作品です。
おそらく、日本の高度成長期にも同じような風景があったと思いますが、この「成長への息遣い」を強く感じることが出来ます。
2024年現在は、まだ台北の街には日本的な場所も多くあり。でも、あと10年程度で「塗り替わる」と感じています。そんな時でも、「人間はうまく適応」するのですね。でも、塗り替わることによって、消えてしまった風景って、「成長」には大切だと思うのです。
ちょっとマイナーですが、「東アジア」で共有できる心の琴線を学ぶ上でとても優れた作品です。また、大学生の娘たちから見ても「良い」作品だとのことです。
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