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荷花
2023年12月15日 18:12
街灯すら眩しくて手を翳したあとに、果たして生き物としてどうなのだろうと思う。月はまだやや低く、か細い線がつるんとひかっている。光を弾いた夜の水面は油絵みたいで、その横をひかる犬を連れたひかる人間が漂ってくる。 わたしの左肩に重みをのせるトートバッグは彼からもらったもので、毎日使っているからかあまり彼の気配は感じない。わたしと君として出会ったはずがいつからか私たちになってしまうように、曖昧にわた
2023年12月5日 16:38
小説というものは自分とはかけ離れたものと思っていた。たとえばそれは歪んだ並行世界のようなもので、決して交わらない。ふわふわと浮かんだり鋭く横切ったりするものであって、息を吸うとふくまれている冬の匂いのようなものでは決してない。そう思っていた。 それがさっき揺らいだ。いつものように帰り道のルーティンとして駅前の本屋に寄り、(最近リフォームしたばかりで薄暗くなってしまった)肉を剥いだり溶かしたり