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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#ベトナム戦争

オリバー・ストーン他「天と地」新潮文庫

オリバー・ストーン他「天と地」新潮文庫

オリバー・ストーンといえば「JFK」や「プラトーン」で有名だが、俺はこの映画作品を知らなかった。実はストーン自身がベトナム帰還兵である。ストーンの話によると、この戦争でありえない残虐行為があった背景には、「アメリカ本土で虐げられた無教育の兵」が大量に送り込まれたことと無関係ではないらしい。とにかくありえない残虐行為が繰り返された。
この映画は、レ・リー・ヘイスリップ( Le Ly Hayslip

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土田宏「アメリカ1968 混乱・変革・分裂」中央公論社

土田宏「アメリカ1968 混乱・変革・分裂」中央公論社

第二次大戦後、南北に分裂した内紛にフランスにかわってアメリカは介入した。ジュネーブ条約によって1956年に統一選挙をするはずだったのに、アメリカは南ベトナムにこれを放棄させた。アメリカが積極関与した理由で大きいものは「ドミノ理論」。共産圏の拡大を防いで世界の覇権をアメリカが保たなければならないというものだ。アイゼンハワー・ケネディは「軍事顧問団」という名目の軍力をベトナムに送り関与を深める。南ベト

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バオ・ニン「戦争の悲しみ」めるくまーる

バオ・ニン「戦争の悲しみ」めるくまーる

ベトナム戦争に関連した文学作品としては「トゥイーの日記」以来の本だった。この本は小田実の「われ=われの旅」という本で紹介されていて手に取った。ベトナムでは戦後この戦争について「栄光の戦争」という政治的な立場から、自由な発言や出版は許容されない状況だったが、ドイモイによって自信をつけ、その社会的な空気の中で、ベトナム戦士だったバオ・ニンが、当時の闇を抉るような作品を書き下ろしたわけだ。この作品はベト

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ダン・トゥイ・チャム「トゥイー(Đặng Thùy Trâm)の日記 」経済界

ダン・トゥイ・チャム「トゥイー(Đặng Thùy Trâm)の日記 」経済界

ベトナム戦争に医師として志願したトゥイーは死と隣り合わせの戦場で、愛と憎しみ、悲しみを詩情に込めて日記に綴った。彼女の死後、この日記は偶然手にした敵兵(米兵)によって発見される。米兵はこれを燃やそうとするが、同僚の南ベトナム兵士に「これは燃やすな!この日記から炎が出ている!!」と言われ、それ以降この米兵はその内容に関心を持ち、辞書を片手に丁寧に読み解いていく。その中で、いつの間にかトゥイーは米兵の

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