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#街

Γ500は燃えているか

孤独に慣れた夜の街を
気違いの様に走るΓ500
売れないパンクスが愛する
あのガンマは燃えていた
時は矢を放つように
無常に駆け抜けて
売れないパンクスは二度と
Γ500に火を入れない
鉄塊と化した単車は
錆びて朽ちて逝くだけ
もう二度と走る事が
叶わないのなら
せめて跡形もなく
消し去ってくれないか
夢の残骸など
余りにも空しすぎるから

禁じられた遊戯

飛ぶ事を禁じられた酉は
躊躇わず空を目指す
死が訪れるまで
吠える事を禁じられた犬は
構わず声を上げる
死に抱かれても
何も禁じられていない私は
暗い街中を彷徨う
死を願いながら

眩しいパンクス

まともじゃないと
言った相手を
地面へ殴り倒す
怒れるパンクス
この街の夜は
とても凍れるから
革ジャンの上に
ラッコの毛皮を纏おう
幼き頃に憧れた
眩しきパンクスみたいに

錆びた鋼花

錆びた鋼花が
枯れる街に
降り立つならず者
まともな心を保てない
民衆は悪魔に縋り付き
他人の命を捧げる
ならず者は魂を売った
民衆を全て殺す為に
焼夷弾を使って
街を消えない炎で埋め尽くす
叫びすら掻き消える中を
静かに歩くならず者
人から遥か遠く離れた
彼に鋼花は似合わない

メロンミルク

カラマッゾのバーで
メロンミルクを飲む不良
愚連の日々は遠過ぎて
灰すら残せずに消えたよ
まともな振りをして
社会に溶け込んでも
隠し切れない衝動が時に
些細な事で顔を出す
巧く生きられやしないのは
貴方だけじゃない筈さ
醒めきった夜に溺れて
許されざる朝が街に訪れる
みな何処に逝くかなんて
あり振れた事を言うのは止めてくれ

白蛇

内向的な少女が
求めるのは静かな日々
山も谷も無く
平面が続くだけの
人生で良かった
夜道で会った白蛇が
影も無く少女に囁く
君は外に出るべきだと
その言葉に背を押され
少女は夜の街へ飛び出す
蛹が蝶へ変わる様に

街外れの悪魔と

秘密の契約を
交わしたならば
街外れの
悪魔と共に踊ろう
乾き切った世界を
嘲笑いながら
猛毒の雨が降る中
悪魔と共に踊ろう
全てを裏切れるならば

ピンヒールと少年

喧噪に包まれる街を
ピンヒールで歩く少年
忌諱の目で他人が
彼を見つめ嘲笑っても
そんな事は如何でもよかった
ただ足元を優しく撫でる
狂った風が心地良く
彼はゆっくり眠れるだろう
新しく生まれ変わる様に

タロッティ

GT750に付けた
タロッティのチャンバーが
暖まったなら
夜の街に出かけよう
喧噪と卑猥に満ちた
欲望溢れるあの場所へ
揺籃に閉じ籠って
震え壊れちまう前に

煙草を捨てる

猥雑な街で
僕は吸いかけの
煙草を捨てる
いつものよに
雑居ビルの隙間から
飛び出した鼠が
消しかけた火を眺め
笑いながら消えた
僕を見上げて
眠れない街は今日も
誰かを飲み込んで
回り続ける
骨すら残さずに

折れた右腕

夜の繁華街で
雪駄を履いた修羅に
喧嘩を売る弱い者
自分は臆病ではないと
嘯きながら生きた
付けが回り出す
一瞬で地面へ転がされ
鋭い痛みと共に叫ぶ
他人の不幸が大好きな
通行人の餌食にされても
何が起きたかすら分からず
折れた右腕を押さえ
病院へ運ばれる
言い訳すら出来ずに

レモンズ

何も起きない日々が
幸せだと知らずに
彼らは大人に為る
誰かに怯えながら
キャバレーで
レモンズが歌う
ロックンロールが
街外れに流れて
僕は少しだけ泣いた
生きる事は悲しいから

気違いな藁の犬

番犬にすら為らない
藁の犬を飼う独裁者
市民のヘイトが溜まり
クーデターが起こる街に
頼みの藁の犬を放っても
僅かな火花で燃え上がり
気違いな叫びを上げ灰に為る
戒厳令が敷かれる中
国外へ逃走する独裁者
燃え盛る街を横目に
呪詛の声を呟いて消えた

焔が落ちる

貴方の為には
生きられない
あの人は唯
そう言って消えた
焔が落ちる
夜の街は今日も
色鮮やかに
人を飲み込む
欲望を隠さずに