2023年国内シングルまとめVol. 2
岡山のラッパー、脱兎がリリースしたシングル「BBS (B-BOY SESSION)」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。
岡山を拠点に活動するラッパーの脱兎は10月30日(月)、京都のラッパーの大樹a.k.a.考え中。をフィーチャーしたシングル「BBS (B-BOY SESSION)」をリリースする。
岡山のレーベルのTHE WEST CLASSIC RECORDSで活動する脱兎は、地に足の着いたリリックを力強いフロウで聴かせるラッパー。これまでにジャズやソウルのサンプリングを用いたサウンドの作品を多くリリースしており、今年には国内外のプロデューサーを迎えたEP「IN DA HOUSE」をリリースしている。イベントのオーガナイザーやコーヒーショップ「EMPIRE COFFEE ROASTERS」の店長としての顔も持ち、地元にヒップホップを根付かせるための活動を精力的に取り組んでいる。今回コラボレーションを果たした大樹a.k.a.考え中。とは脱兎が客演として参加したライブで大阪に訪れた際に、同じイベントに出演していた大樹a.k.a.考え中のライブDJが急遽来られなくなるアクシデントが発生し、脱兎が代役でライブDJを務めたことから交流が始まったという。
今回リリースするシングルは、「IN DA HOUSE」にも参加していた岡山のKAZ-SHITがプロデュースを担当した一曲。ウッドベースやホーンを使って生演奏のように組み立てられたビートで、脱兎と大樹a.k.a.考え中。がパーティや音楽への愛情を歌うものとなっている。スクラッチはZALAR、ミックスはOuriK、マスタリングはToru Matsushitaが担当。アートワークは脱兎が自ら手掛けた。
上半期にも国内のシングルをまとめましたが、あの後もいくつかお気に入りの曲ができました。そこで今回は、脱兎のシングルリリースにあわせて再び紹介します。
aimi, JASMINE, Modesty Beats「Risk It All」
R&Bシンガーのaimiが主導したシングル。aimiについては以前レビューを書きました。
Modesty Beats制作のクールなトラップビートに乗り、aimiとJASMINEがラップも交えてR&Bマナーの情熱的な歌声を聴かせる曲です。低速化された声ネタも良い味を出しています。
aimi, JASMINE, Modesty Beats「My Girl」
「Risk It All」のB面的な曲。
2010年代を通過したサウンドの「Risk It All」から一転、こちらでは2001年くらいのノリです。AshantiやMyaなどが好きな方にはたまらないはず。
Child Plate Peops「Fill in」
新潟のラップグループ。以前レビューを書きました。
EP「Diver」はハイパーポップ系のエッジーなスタイルが目立つ作品でしたが、この曲では優しく繊細なエレクトロニカ系の曲です。そこに乗る清涼感のある歌フロウも見事。
DJ KENTAROU, 翔恵「I&I」
石川のビートメイカーと富山のラッパーによる曲。DJ KENTAROUについては以前レビューとプレスリリースを書きました。
ソウルフルなネタ使いが光るビートに、翔恵が堅実なラップやゆるい歌を乗せた曲です。インストはアルバム「Back Mirror II」に収録。
Huncho Fox「Survive Life (feat. Plain Jay & GSparrow)」
仙台のラッパー。客演のPlain Jayについては以前レビューとプレスリリースを書きました。
プロデュースはKaworuMFで、ディープなベースや細かい808が印象的なトラップビートを制作しています。異なるスタイルの濃い三人の絡みが強烈。
ITOKUBEATS, 一青窈「ハナミズキ (Cover)」
福井のビートメイカー。
一青窈の名曲「ハナミズキ」を、巧みにブーンバップ系譜のインストヒップホップに仕上げています。音の太さが素晴らしいです。
J'Da Skit「Soul String (feat. youheyhey)」
東京のラッパー。
J'Da Skitのタイトなヴァースとyouheyheyのゆるいフックが楽しめる、ソウルフルで暖かい曲です。ビートはNF Zessho制作。
JIROW WONDA, DJ KENTAROU「Bonnet」
石川のラッパーとビートメイカーによる曲。
チップマンク・ソウルを使ったメロウでスウィートなビートで、歯切れ良さと歌心を備えたラップを聴かせる曲です。両者の相性の良さが感じられます。
MANON, Sam is Ohm「come again」
福岡出身のシンガーと新潟出身のプロデューサーによる曲。
m-floの名曲のカヴァーで、Y2K仕様のキラキラした音使いの2ステップです。当時のニュアンスを入れつつも、随所に現行の匂いがしっかりと漂っています。
MONBEE, E.R.I.「TROY」
長野のプロデューサーと東京のシンガーによる曲。
メロウで落ち着いたウワモノを使ったR&B色強めのレゲトンです。E.R.I.のR&Bマナーの歌声も馴染んでいます。
PEAVIS「Torch (Jersey Club Remix)」
福岡のラッパー。以前レビューを書きました。
ジャージークラブリミックスですが、全編でそのリズムを使っているのではなく部分的に使ったセンスが絶妙です。エディット感強めなフックも楽しく聴けます。
T-Groove「Love On The Rise (feat. Dave Goodridge)」
東京のプロデューサー。以前レビューを書きました。
客演のDave GoodridgeはUKのシンガーで、T-Grooveによる上品でスウィートなサウンドに誠実でソウルフルな歌声を添えています。R&Bファンの方は悶絶必至。
Timpo da flippa, M!KEE「買いに行くぅ」
東京のラッパー二人による曲。
M!KEE制作の現行メンフィスヒップホップを未来的にしたようなトラップビートで、二人で適度な軽さを持ったラップを聴かせる曲です。連呼系フックがキャッチー。
WELL-DONE「毎日」
京都のラッパー。
ストリングスやエレピが効いた穏やかなビートに乗り、一言一言を大切にするようなラップを聴かせるエモーショナルな曲です。ポジティヴなリリックが沁みます。
xiangyu, Gimgigam「People Dancing Future」
神奈川出身のシンガーと東京のプロデューサーによる曲。Gimgigamについては以前レビューを書きました。
ブリブリのエレクトロニックなシンセを鳴らした、四つ打ちのダンサブルな曲です。xiangyuの脱力感のあるラップや歌とも好相性。
ZEN-LA-ROCK「継続はPARTY (feat. Kick a Show)」
東京のラッパー。客演のKick a Showについては以前CDの帯コメントやレビューを書きました。
早めのBPMと軽快な808、爽やかなシンセが印象的なアトランタベース系の曲です。アクの強いZEN-LA-ROCKのラップとスウィートなKick a Showの歌声の絡みも美味。
カニ研究会「メカニズム」
日本海出身のシンガー兼ビートメイカー。
フューチャーベース経由っぽいポロポロとしたシンセを用いたビートで、キュートな歌声を聴かせる曲です。カニに絡めたリリックが癖になります。
ぷにぷに電機, 西野恵未, ESME MORI「霹靂」
シンガー兼プロデューサーのぷにぷに電機、ピアニストの西野恵未、プロデューサーのESME MORIによる曲。
エレクトロニックな要素を加えつつもピアノの生演奏を活かしたサウンドで、クールなR&B系の歌声が楽しめる曲です。後半の展開がお気に入り。
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