2022年に紹介しきれなかった作品
2022年に紹介しきれなかった作品をまとめて紹介します。
AceMula「KING OF JERSEY DRILL」
ニュージャージーのプロデューサー。
ピアノなどのヘヴィな音を多用した、ハードなジャージードリル作品です。ほぼ全曲に客演を迎えた作りで、参加ラッパーはメロディアスなタイプや鬼気迫るタイプなど様々。荒々しいスタイルのラッパーが若干多い印象です。
REK BENGAのダミ声が強烈な「HIT DAT」がお気に入り。
BIG30「Last Man Standing」
メンフィスのラッパー。
シリアスなトラップ中心のサウンドで、しなやかでイナタいラップを聴かせる好作です。切り詰めフロウやアドリブも巧みに用いており、現行メンフィスの旨味が詰まっています。
ATL Jacob、Hotboii、Pooh Shiestyなどが参加。
Child Plate Peops「Diver」
新潟のラップグループ。
ドリームポップっぽい浮遊感のあるものやロック風味、ハイパーポップなどを聴かせるエッジーな作品です。メロディアスで声の加工も多く取り入れたラップも見事。
フリーキーなシンセやドラムが強烈なハイパーポップ路線の「BLUE HEAD」はベストトラック。
Count Bass D「All Due Respect」
ミルハイムのプロデューサー。
1980~1990年代の甘いR&Bのエッセンスを切り取り、ヒップホップの形に変換したビートテープです。インストヒップホップ好きの方はもちろん、R&Bファンの方やオヤGの方も楽しめると思います。
ブリブリのベースと低速化された歌声が効いた「Choose Don't Lose」がハイライト。
DJ KENTAROU「Back Mirror II」
石川のビートメイカー。
哀愁漂うネタを多用しつつ硬質なドラムや地を這うベースなどでハードな側面も見せた、ブーンバップ系譜のインストが中心のヒップホップ作品です。ラッパーを客演に迎えた曲も少し収録。
緊張感のあるヘヴィなビートでEftraが静かに凄味を見せる「Neew Past」がお気に入り。
Drumma Boy「Welcome to My City, Vol. 4」
メンフィスのプロデューサー。
ピアノやストリングスなどの音を中心に使った、メンフィスマナーのトラップ作品です。ほぼ全曲に客演を迎えており、いくつかの曲ではDrumma Boy本人もメロディアスなラップを披露しています。
Big Boogie、Young Dolph、Gangsta Booなどが参加。
Dudefaze「Good Intentions」
香川のビートメイカー。
ソウルフルなネタ使いと人間味のあるドラムで、どこかいびつで美しいビートに仕上げたインストヒップホップ系の作品です。随所で聞こえてくるアメリカのラッパーの声ネタも絶妙。
細かい音使いが圧巻な「Gotta Hold Heat」がベストトラック。
EST Gee「I Never Felt Nun」
ケンタッキーのラッパー。
ヒリヒリとした緊張感を漂わせるラップを、重苦しいトラップが中心のサウンドで聴かせるGな作品です。歌心のあるフロウに挑んでもハードさが抜けないラップに唸らされます。
ギターをループした哀愁系トラップの「Come Home」がハイライト。
KICKIN ENISHI'S vs Tatwoine「One More Shot」
沖縄のラップデュオと東京のビートメイカーのタッグ作。
ストリングスやギターなどの音を巧みに用いたブーンバップ系譜のビートに、無骨な二人のラップが絡む好作です。手数の多い808の導入など、適度な幅もあります。
ソウルフル&ドラマティックな「Honey Moon」がお気に入り。
MoneySign Suede「Parkside Baby」
西海岸のラッパー。
Kodak Blackを思わせる高めの声質のヌルリとしたラップが、現行ウェッサイマナーのメロウやバンギンなどで楽しめる良作です。Shoreline Mafiaあたりが好きな方は是非。
Remble、Ralfy the Plug、Ty Dolla $ignなどが参加。
Plain Jay & ¥OUNG ARM¥「Slime 4 Life (DELUXE)」
宮城のラッパーと福島のラッパーのタッグ作。
トラップやプラグを軸としつつもGファンクといったウェッサイ文脈のスタイルも取り入れたサウンドで、柔軟でユーモアもある二人のラップが絡む名作です。KaworuMFなどプロデューサー陣の手腕にも痺れます。
FreekoyaBoiii & Yungboi Pをフィーチャーした南部Gマナーの¥OUNG ARM¥曲「HOW MUCH (Remix)」も収録。
POD & Ramon Castro × Yotaro「Iron Mike」
神奈川のラップデュオと奈良のビートメイカーのタッグ作。
ジャジーなネタを巧みに用いてクールに仕上げた極上ビートに、リラックスしきった二人のラップが乗る好作です。チルめな空気が漂っていますが、ゆるすぎないバランスが絶妙。
歌寄りのアプローチも聴かせる「Anyhoo」がベストトラック。
Thee Sacred Souls「Thee Sacred Souls」
西海岸のソウルバンド。
1950~1970年代の匂いが漂う、オーガニックで誠実なソウル作品です。ソウルフルですが暑苦しくなく、程良い脱力感のある歌もスウィートな魅力があります。Silk Sonicファンの方も是非。
女声コーラスも楽しい「Lady Love」がハイライト。
toulavi「神殿」
新潟出身のビートメイカー。
妙にクリアな音質のシンセが伸び伸びと自由に変形していく、ノイジーでいて瑞々しいエレクトロニカ作品です。細かく刻むような音の使い方や極端なパンニングなど驚かされる瞬間が多数あります。
タイトル通り雷に打たれたようなノイジーな音使いが強烈な「避雷針」がお気に入り。
そのほか、TURNの2022年年間ベストアルバム記事にて一枚レビューを書いています(セレクトはしていません)。当ブログでは未紹介の作品です。
また、アルバムやEPのレビューではありませんが、神奈川のラッパー兼ビートメイカーの15MUSについてDIGLEで書きました。何曲かピックアップしてビートとリリックを解説するものになっています。
以下、レビューは書きませんがリンクだけ貼っておきます。
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